砂の星
「前方に星を発見! 文明もある程度発達しているようです!」
隊員の言葉に歓喜の声が上がった。
「よし、目標をその星へ」
隊長の指示に艦内は慌ただしく着陸の用意へ移る。
彼らはピミ星人。非常に発達した文明ではあるのだが、文明の成長に伴い労働を忌避するようになり、次第に働き手が不足するようになった。
働き手が足りないなら足せば良い。そんな呆れた風潮がいつしか世論となっていた。
働き手を足す──別の星から労働力を探し、星へ連れて帰る。要するに奴隷船だった。
目標の星へ無事着陸した艦から降りた隊員達を待っていたのは、どこまでも続く地平線、砂漠だった。
「本当にこのような場所にいるのか?」
隊長の疑問に隊員の一人がすかさず応えた。
「はい、間違いありません。レーダーの反応で300~500ほどの生体反応を検知しています! しかし……」
「しかし、なんだ?」
「それが、どうやら生体反応が地表面では無く地下に生息しているようでして」
どうしたものでしょうか。と付け加える隊員に対し、隊長は回答はシンプルだった。
「そうか、ならば地面ごと持ち帰るとしよう」
かくして作業が始まった。逃げ惑う目標を捉え終える頃には空が白んできていた。
「気付かれる前に急げ! 撤収!」
隊長の指示が早いか、瞬く間に艦が星を離れていく。
「ところで」
一息吐いたところで隊長が問う。
「労働者達の能力は?」
「はい、その点は問題ありません。筋力が非常に発達しているようで自重の何倍もの重量の運搬が可能なようです。別地点の映像記録を見るに皆勤勉な態度で労働に勤しんでおりました」
「そうか、ならば安心だな」
しかし、いざ労働者達を働かせようとすると全く何もしなかった。
「どういうことだこれは! 話が違うぞ!」
「様々な方法で働かせようとはしているのですが、奴ら、『女王様はどこだ!』の一点張りで要領を得ません!」
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──ところ変わって地球
いつもの公園に遊びに来た子供たち。
けれどもびっくり! なんと砂場の砂がまるごと消失していたのだった。