相談者の訪れ
叩かれた扉を開くと、そこには一人の男がいた。
身長は160㎝弱で、見た目は若干ぽっちゃりとしている。
自身なさそうに手をいじり、視線を下に向けている
髪の毛は前髪が伸びており、眉毛は良く見えない
服装は、地味な色の半そでと短パンを着ている、そして背中に背負っているリュックには、アニメキャラの缶バッチなどがある。
男は、視線を下に向けたまま、自己紹介を始める
「えっと、その…こんにちは、僕天神大学二年の天野龍之介です。」
天野龍之介と名乗る男は、明らかに見た目がアニメオタクそのものだった。
扉を開けた和人が、龍之介の鞄についてるアニメキャラクターの缶バッチを見る
そのうちの一つ、金髪のロリっ子猫耳メイドという属性が渋滞を起こしているキャラを見るけると
和人が龍之介の手を握って
「同士よ!」
「えっ、なんですか急に?手放してください」
急に手を掴まれたことで、テンパる龍之介
同じキャラクター好きを見つけた和人は、嬉しさのあまり手を離すことをせず
そんな和人の後頭部に鞄が投げつけられた。
後頭部に突然来た衝撃に驚きながらも、衝撃を与えた本人のいるであろう方向を見る和人
そこには、コップを洗い終わって、棚にしまい終わり、畳の上で和人の事を睨む長奈子がいる
長奈子は、畳に置かれたちゃぶ台に肘を置く長奈子を、龍之介が見ると小さく「ひっ」という悲鳴を上げる
「分かる、怖いよねあそこにいるロリっ子」
「誰が、ロリっ子だ!いい加減にこっちに来なさい」
怒鳴られた和人は渋々と言った風に、長奈子の鞄を拾いながら、畳にいる長奈子の右隣に座る
そして、ここまで一言も何も発していない、相談部の元締めこと霧子は、笑顔という概念がない表情で、なるべく明るめの声を出しながら龍之介をちゃぶ台のほうに座るように誘導する
「ほら、龍之介君こちらにあなたの悩み、聞きます。」
「は、はい…」
龍之介は思っていた、(この人、表情筋が氷河期なのかな?)
こんな事を考えている限り、龍之介もまた少しばかりずれた思考の持ち主なのだろう。
龍之介は、霧子の誘導のままにちゃぶ台の傍に座る
正座で座る龍之介に霧子が言う
「それで、君は一体どんな悩みを相談しにきたの?」
「あぁっと、その僕…実はいじめを受けているんです。」
その後は、龍之介が相談部の部室に至るまでの経緯を、三人に話し
そして、空っぽの鞄を三人に見せる
「ポスターを見てたら、ここなら僕の悩みを聞いてくれるかなって、それと…できればなくなった僕の荷物を一緒に探して欲しくて…」
申し訳なさそうにもじもじしながら言う、龍之介の言葉に三人とも特に何も反論なく
すぐに立ち上がると、龍之介に言う
「それじゃあ、行こうか」
「えっ?どこにですか?」
「そうだね、君の荷物が捨てられた場所かな?」
霧子がなくなった荷物がなぜ捨てられたと決めつけるのかはさておき、頼る相手がいない龍之介は相談部の三人についていく
和人と長奈子もまた霧子がどこに行こうとしているか分からないままだが、この学校に三年以上も通っている人だ、きっと何か心辺りがあるのだろうと思い黙ってついていく。
そして、四人で歩き始めて数十分
現在時刻、夕方五時半
霧子が一言「着いたわ」と言った場所は、天神大学の門を出て右手側に見える大きな橋の下
「たぶんここにあるよ」
橋の下は人の手が付くことがないため、背の高い草が大量に生えており一度その中に入ってしまえば、出口である河川敷のサイクリングロードの傍に設けられた階段を見失うだろう
龍之介は霧子の発言に疑惑を持つも、しかし反論することなく自身の荷物を探し出す
龍之介に倣って、他の三人も龍之介の荷物を探し始める
しばらくすると、川付近の背高草の一帯に、何者かの教科書やノート、さらには筆記用具までもが落ちているのを見つける和人
「みんなこっちにあるよ~」
和人のその声を聞いて何とか、傍まで来る霧子と龍之介
「あれ?長奈子先輩は?」
「ここよ…」
背高草のせいで視界が下に行かなった和人、服の裾を不機嫌そうに頬を膨らませて自分の存在を示す長奈子を見て、一言謝罪をする
「す、すみません」
「別にいいよ、それでこのアニオタの荷物は?」
「あ、アニオタ…」
「こらこら、長奈子、相談者に変なあだ名をつけるな」
アニオタと言われて、少しだけ悲しそうな表情を見せる龍之介に、霧子がフォローを入れる
龍之介は、川に若干浸かって濡れた自分の荷物をリュックの中に閉まっていく
荷物をしまう龍之介のその背中はどこか悲しそうであった。
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んじゃね~




