放課後の仲間達
天人大学には数あるサークルがある
そんな中で人の悩み事に寄り添い、そして共にその悩みを解決させるサークルが存在する
正確なサークル名は、インターナショナルサークルだ
つまり彼らの行動はボランティアだ
しかし、名前が長いとの理由で部室の標識には相談部と書かれている。
その部室は、二棟ある
大学の門の付近に一棟
そして、二棟目は大学の門から最も離れたところで、大学で一番人通りがない所だ。
部室棟は、二階建ての全20部屋になっている。
そして、そのうち二階の一番奥にある202号室が相談部の部室だ。
学校の最も奥地に設けられた、人知れず、人の悩みを解決する場所
不思議とこの部室には問題を抱えたものが来る
おっと、悩みを相談しに来るのだから問題を抱えているのは当然だろう
しかい、問題というのは彼らが相談しに来る物事だけではない
例えば、体質のせいでいじめを受けた者や、思考回路が他人と多少違うという理由で孤立せざるを得ない者や、はたまた逆に一人でいたいのに一人になれない者や
彼らは世間一般では、理解されない悩みを持ちながらも、それを相談する相手がいない
一生解決できないだろうという、疑惑が常日頃頭の中にこびりつく
まるで、掃除を怠ったお風呂のカビのように
だが…もしそのカビを少しでも取り除ける者たちがいたら?
いずれカビがまた出るということを理解していても、きっと彼らはすがるだろう
何故なら、相談部に来る者たちは何かしらの、特殊な悩みを抱えてくるのだから
家族や近しいものにすらいえない悩みを持ってくるのだから
そして、今日もまた一人の相談者が、相談部の扉をノックした。
部室棟202号室、そこは外の光を最も多くもらえる場所
そんな部室が、そとの夕日の影響で朱色に染め上げられていた。
コップに入った水は、さながらオレンジジュースのように見える。
コップを手に握る長奈子は、ワクワクしながらその水を飲むが、味はやはり水だったようで、少しがっかりしたようにうなだれる
そんな長奈子の様子を、先ほど自販機で買った本物のオレンジジュースを飲みながら、笑いを押さえるのに必死な和人
自分の背後からせせら笑う和人に気づき、長奈子は和人が手に持つオレンジジュースに狙いを定めた。
和人とはというと、長奈子が紙パックのオレンジジュース(100円)に興味を示しているのに気づき
小さなコップを一つ取り出し、紙パックの端のほうを伸ばしてはさみで切ると、コップの中にオレンジジュースを淹れた。
コップを差し出された長奈子は、頬を部屋と同じ朱色に染めながらも、少し申し訳なさそうに受け取ると、そのまま隣で立っている和人に向かって、上目使いで(身長の関係上勝手に上目使いになるが)見る。
「あ、ありがとね」
「いいえ」
長奈子からの感謝の言葉を率直に受け止めて、少なくなった紙パックの中身をぐいっと飲み干す
量は少なかったが、和人はあまり気にしなかった
何故なら、目の前でオレンジジュースを飲んで満面の笑顔を向けてくる長奈子の事が可愛くて仕方なかったからだ、この(笑顔のためならなんだって出来る気がする)っと自信を鼓舞する
「うん、守りたいこの笑顔」
「うわっ、なにそれオタク用語、きもいんですけど…」
「いいえ、事実を口にしたまでです、後きもいなんて言うならオレンジジュース取り上げますよ」
「もう全部飲んだから、無理でーす」
そういって、空のコップを見せつけてくる長奈子と、そんな長奈子に特に怒りもせずに笑顔で対応している二人の姿を見る者が一人
部室内に設けられた畳の床に胡坐で座るその者は、体の形状から女性であると分かる。
長奈子ほどではないが、長髪と呼べるその髪を後ろで結んでおり、いわゆるポニーテールである
そして、その顔は仏頂面である者の美人である
不機嫌そうに眉根を寄せて額に皺を作っているが、騙されないでほしい、これは怒っているのではなく、笑おうとしているのだ。
しかし、笑顔が得意じゃないこの女は、口を動かすことよりも先におでこの皮膚を動かしてしまっているだけの事なのだ。
その証拠に、先ほどから唇がぴくぴくと動いている
そんな様子の女を長奈子が気づいて話しかける
「どうしたの、霧子なんで笑ってるの?」
神楽坂霧子このインターナショナルサークルこと相談部の部長だ。
そして、一般人が見たらただの怒り顔が、長奈子には笑顔だとちゃんと理解ができていたようだ。
この様子から見ても、二人がそれなりに長い年月を一緒に過ごしたことがわかるだろう
「えっ、あれ笑おうとしているのですか、全然分からない」
長奈子とは真逆に、表情が読み取れなかった和人
和人と霧子との関係の浅さも仕方がない、なぜなら彼はまだ霧子と会って数か月しかたっていないのだから
そして長奈子はこの学校に入って以来ずっと一緒にこの部活を支えてきた仲である。
何を隠そう、この相談部の最初に相談者は長奈子なのだから…二人の出会いの話しはまたの日に
長奈子がコップを洗おうと立ち上がった時
相談部の扉が叩かれた。
ハコガキを書くのが面白くて、とりあえず50話分のストック確保しましたが、全部を公開できる日がいつになるやら、しかし新しい文体に表現方法を、模索しながら書いていきたいです。
作者のコンプレックスを抱える人物に対する考えと、そして世の情勢から、彼らがこれからどう生きるべきなのか、未熟ながら今の私の考えを述べていこうと思います。
では、いつものマホウタンとは全く違うアプローチの作品ですが、楽しんでいただけたなら幸いです。
では、皆さんもしもよかったら、感想、評価、レビュー、ブックマークなどよろしくお願いします。
んじゃね