報告書っぽい筆談 その壱。
誤字、脱字、おかしな文章は見つけ次第(以下略)
「あ〜、う〜ん……」
――どうした。珍しく執務机で作業か?
ああ、ここって中々人が来ないから結構集中できるんだよね。
――で、何をしているのだ?
いや何、ちょっと世界が不穏ぽいし?一度情報を整理してみようかと……。
――なんだ、そんな事私に言えばちょちょいのちょいだぞ?
お前が何も教えないからだろ!
――ふぅむ仕方が無い。代わりに私がまとめてやろう。
とそこで秀兎の手元で、闇が灯る。
一つ、二つ、三つ。それぞれがそれぞれ動き、闇の線を引いていく。
――魔女を召還する為の魔法陣だ。
そして、魔法陣が、より黒く輝きだし……。
ぽうんっ、と。
その魔法陣から、『10cm程度の少女』が飛び出した。
「……なぁ、前々から思ってたんだけど、なんで小さくなって出てくるの?」
「はぁ?いいじゃないか別に。それともなにか?元のサイズの方が見たかったのか?確かに元の私は天を両断するほどの美しさだからな」
「なんだろう、前より人格が歪んだ気がする」
「ふっふっふ、私を甘く見るなよ?貴様は事あるごとに私を虐めてくれたからな。だがもう初心なあの頃とは違うぞ?私は貴様の記憶の中で学んだのだ。性に関する知識をな!もう私を虐めれらると思うなよ!」
「あ〜あ、ついに魔女様も発情期に突入か」
「そこはせめて思春期だろう!?」
「お、魔女様ノリノリですね」
「ふ、貴様こそ今に見ていろ、目に物言わせてやるからな」
と、まぁ変態二人の話は閑話休題。水に流す。
そして今までの情報を整理し始めた。
◇ヒナ・ラヴデルト・フリギア(偽名白宮ヒナ)
・世界最大の軍事国家、帝国フリギアの第三皇女様。フリギア皇帝の第四子息、皇位継承者第四位。
・艶やかな黄金の髪にサファイアの瞳。顔は童顔。
・彼女は幼い頃から人形のような美姫として有名だった。
・花を愛でる事でも有名で、好きな花は古代種の『百合』と『薔薇』。
・彼女は昔から聡明で、冷静で、容姿は端麗で立てば芍薬座れば牡丹で歩く姿は百合の花と言われるほど。
・魔法の心得があり、一通りの魔法は使いこなせる。苦手な魔法は特に無い。
と、そこまで書き終えて。
「……どうよ?」
「ふむ、良い感じだ。だが少し貴様の見解が少なくないか?そういうのを入れたほうがいいぞ」
「わかった」
・ある日、突如として魔王城に侵入、紆余曲折の後に俺と結婚した。
・今は魔王城に自由気ままな生活をエンジョイしている。
・帝国にいた頃の彼女の面影は何処へやら。今の彼女は姫と呼べるほどの気品は皆無だ。
・代表的な例として、極度の甘えん坊。
・それはもう色々と、無理難題を要求し、過度のスキンシップを要求し、夜這いを要求し……って感じでもう毎日死にそう。色んな意味で。
・基本的に可愛くて良い子で妻と言うより恋する乙女。
・人に対する優しさも人一倍深い。
・好きな色は白。最近黒にも興味が出てきた。
・胸はちょっと大きめDカップ。
・シャリーの話でMな疑惑があったりなかったり。
・寝間着はもっぱらネグリジェや裸Yシャツ。たまに俺のYシャツが消えているのはこいつの所為らしい。
・好きな服装はスカート類にワンピース等。理由は「青カンが楽そうだから」らしい。ちょっと頭おかしいかも?
「こんな感じ?」
「ふむ、最後の方はぷらいばしぃも無視だな」
「ぷらいばしぃって、お前ちょっと狙ってるだろ?」
「何の話かわからないな」
◆光について。
・彼女は《光》を宿していることから《光の姫君》と呼ばれている。
・《光》の力とは、代表的な物として《光の物質化》《存在の否定》《負の感情の抹消と希望の付与》などがある。
・しかし彼女にはなんらかの封印術式がかけられている為《光の物質化》が出来ない。《存在の否定》も魔術にしか働かない。封印術式の事は彼女本人も知らないみたい。
・彼女自身、《負の感情の抹消》と《希望の付与》にはコンプレックスがある模様。
・《光》を宿すと幸運になる。うらやましい限りだ。
「ふー、出来た」
「少し堅苦しくないか?」
「そうか?」
「まぁ貴様が見やすければ何でもいいのだがな」
そんな感じで、情報は整理されていく。
◇シャリー・クシャー
・魔王魔術師団長、中庭大規模魔法陣の管理、及ぶ行使人。
・普段はカラーコンタクトで隠しているが目の色は赤い。
・元は奴隷から生まれた子供で両親は他界。シャリーはこの事実を知らない。
・俺が初めて奴隷マーケットを潰した時に助け出した(当時六歳)。その為幼い時からいっつも一緒。
・艶やかな黒髪、しかしボサボサでロングだ。顔は綺麗。
・公私を使い分けるのが信条。『公』の時は俺に忠実。『私』は魔導学オタク。
・一日の大半を自室で過ごし、常に新しい魔術魔法の開発、禁書の解読に勤しんでいる。
・昔はキス魔だった。
・着痩せする。実はヒナより胸がデカい。
・一通りの礼儀作法は心得ている。
・私服は特に気にしない。公の場では旧世代の女性用軍服を好んで着る。
・本妻よりも奴隷や部下といった立場に興味津々。
・マゾヒストの気持ちが知りたい今日この頃。
・ヒナをマゾだと予想。
◆魔法魔術について
・彼女の身体にはいくつもの魔術が染みこんでいる。その為彼女の身体にはいくつもの魔術的効果が常時発動している。
・魔導学に対する情熱(?)は人並みを外れている。
・体内に宿る魔力が俺より遥かに高い。
・魔導学の師匠は魔術界の女王とまで呼ばれた我が母である。
・我が母からEpilas errorと言う腕輪を貰った。魔力がほぼ無限になるらしい。チートだチート。
◇エルデリカ・ヴァーリエ
・魔王騎士団長。外敵から俺を護る。
・元々彼女は女傭兵集団『戦争天使』に拾われた戦争孤児だった。
・余りにも強くなりすぎた為処刑されそうになった所を俺が助けた。
・当時彼女に感情と呼べる物は存在しなかった。
・最近ではよく笑うようになった。
・黄緑色の髪に整った顔。騎士団の野郎共は彼女のことを『女神様』と呼んでいるらしい。
・胸は大きめFカップ。
・コミュニケーションが苦手と自負している。
・服装は踊り子のような露出度の高い物を好んできている。
・サディストだ。主な標的は俺。
・でもなぜか俺に絶対忠誠を誓っている。
・『戦争天使』所属時代、世界最強の騎士、クレス・ヴォレス・エディア(渾名:白髪の戦神)を若干六歳で倒した。
・異常なまでの訓練をこなし日々剣術を極めている。
・最近の楽しみは着物。紅葉に着付けを教わったりしている。
・神は信じない。
・毎日の鍛錬を怠らない。
◆不思議な剣術について。
・古語の呪文によって多種多様な光の剣を出すことが出来る。
・何時、何処で、どうやって古語の呪文を覚えたのか、本人は覚えていないらしい。
・使える古語はざっと千くらいあるみたい。
◇柊 紅葉
・魔王技術開発部のリーダー。
・実は人間じゃない(正体を勝手に言うと泣く)。
・見た目は小学生。
・髪の色は珍しいピンクブロンド。
・泣くと手に負えなくなる。
・古代から現代までの科学技術の知識はかなり記憶していると自負している。
・趣味は新兵器の開発とその性能実験。必ず俺が実験台になる。
・着物を好んできる。
・思考回路は単純。小学生並み。でも頭がいい。
・不思議な力が使える。
・俺をよく慕っている。忠誠とか関係なく、俺にとっては第二の妹のような存在だ。
・義理だが姉がいる。
・変に身分とかを気にしない。
・天真爛漫純粋無垢。
・頭のネジ(比喩)がふっ飛んだ時は注意。近付く事無かれ。
◆不思議な《力》について。
・『物質自在操作』。はっきり言って、これ以外に表現の仕様が無い。詳しく説明↓
・一つ、彼女は周囲にある物質を認識し、意図的に違う物質に変換する事が出来る。
・二つ、彼女は気体、液体、固体という、物質の状態変化を自由に操作する事が出来る。
・三つ、彼女の《力》の影響範囲は彼女を中心に半径1km。
・四つ、影響範囲内の物質を自在に合成、収束、万物の形成が可能。
・結論からして、彼女は周囲の物質を支配、操作出来る。
・しかしいくつか制約のような物があり、軽々しく使えるものでは無いらしい。
・かなり大雑把に、要点を省き、噛み砕くと『錬金術』に近い感じになる。
◇柊 萌黄
・魔王城の給仕使用人長。
・影が薄いと思われがちだが、それは彼女が真面目に働いている為。
・濃紺の髪に紫色の瞳が特徴的。美人だ。
・性格はぱりっとしていて気さく。彼女目当てに食堂にくる人も多い。
・紅葉を本当の妹のように思っている。
・胸のサイズはエルデリカと同じくらい。最近腰周りが気になる。
・エルデリカでさえ頭が上らない人。彼女を怒らせると得意のジャーマンスープレックスが炸裂する。
・かなりの料理の腕があり、彼女の作る料理は見た目は豪快かつ味繊細と、我が母も絶賛。
・最近はヒナが弟子入りし、休憩や仕事の合間を縫って料理の手解きをしている。
・シャリーをメイドの道に引きづりこんだ張本人。
・優しく、頼りになる。みんなの姉さん的存在。
・実は我が姉も頭が上らない。姉に格闘技を仕込んだ張本人。
・噂では恋人がいるらしい。噂だけど。
・シャリーの公私を使い分ける信念は彼女が原因。
・大切なものは城の皆。嫌いなものは根性の捻じ曲がった奴と言う、なんとも筋の通った芯の強い人。
・料理人としての腕も高いものの、メイドとしての腕も相当なもの。
・メイドの時は冷静で、二重人格化と思うほど。
◆戦闘について。
・はっきり言って魔王城最強のオールラウダー。
・剣術、魔法、魔術、武術において、彼女に勝てるのは副団長以上の実力を持つ人のみ。完璧超人。
・特筆すべきは驚異的な身体能力。メイド服を着ながらでも素早い動きが可能で、多分格闘技だけでは魔王城最強。
・魔力を不思議な力、気力に変えて扱う『気功武術』の達人らしい。
◇ルシア・クワイエットアンデッド・ダークキス
・白髪白眉の魔女。
・自意識過剰、傲慢無礼、ちょっと前まで初心だったのに、今ではすっかり発情期。
「ってこら!なんて事を書いてるんだ貴様は!」
「大丈夫だって。俺しか見ねぇんだから」
・闇の力の使い方を知っている。
・姿を自在に変化させる能力がある。
………………………………………………………………………。
………………と、そこまで書き終えて。
黒宮秀兎は、ルシアについて、何も知らない事に気が付いた。
それまで当たり前の様に近くに、傍に、隣りに居て、それが当然だと思い込んでいて、あまりにも近くて、彼女の事について秀兎は表面上の事しか知らないでいた。
そして、それを今気が付いた自分に驚いた。
「えっと……、そういや俺、お前のこと全然知らないや……」
「ん?ああ、そういえばお前に私の身の上話をした覚えは無いな」
何故だろう?知っているはずだった。知っていると思っていた。
「なんだ?私の過去が知りたくなったのか?」
それが錯覚。勘違い。思い違い。
「だが残念だったな!私の心はぷらいばしぃでがっちりガードしている!貴様の様に女をはべらせてげへげへやってるような女誑しに開けるほど私の心は安くないわぁ!」
……なんだろうこの違和感は?
「げへげへなんて気持ち悪い事言ってねぇよ!ていうか女誑しって何?誑してねぇよ!」
「……ふむ、まぁお前は誑すというより虐められる方だからな」
「……うん、虐められてる」
「まぁそんなお前の身の上話はどうでもいいのだが」
「どうでもよくねぇよ、ていうか何ではぐらかそうとする?」
「魔女に黙秘は付き物だろう?」
「う、またはぐらかす気満々じゃねぇか……」
「心配するな。物忘れの激しい貴様に言っても無駄なだけだ」
「なんだと!?俺自慢じゃないけど記憶力はいいほうだぞ!」
「はいは〜い」
「なめてる!ぜってー俺の事なめてる!」
しかし魔女は笑ったり、適当な返事で誤魔化す。
そんな事を何度も続けて、やがていつもの様に二人はじゃれ合う。
違和感も、日常に埋もれていく。
少なくとも、その違和感の正体は、今は知らなくても良いのかも知れない。
答えは、魔女の心の中に……。
「まぁ気を取り直して……」
◇魔王城。
・親父が建てたくそ馬鹿でけぇー城。
・中庭には母親が自作した噴水がある。噴水の水は幅10cm程度の水路を流れ循環する仕組みになっており、水に魔力を注ぎ込むことによって大規模魔法陣になる。魔法陣の種類は千通りあり、《管理及び行使人》が発動権限を持つ。
・中庭魔法陣にて濃霧を発生させる魔術《霧の迷宮》を常時発動し魔王城は普通の人間には発見できない。
・周りは魔法罠の地雷原になっている為城から出るときは固定転移魔法《門》を使う。
・
…………………………………………………………………。
「…………」
「……ん?どうした?なんで続きを書かない?」
「…………」
「…………」
「あーなんかもう面倒臭い!全てが!全てが面倒臭い!」
ぽいっ。
「激しく放棄したー!気を取り直して一分と持たず放棄したよこの人!」
...to be continued
なんか段々と近づいてるなぁ〜。
何がって?
……それは言えないぜ!