弐拾伍.闇色の……。
待ちに待った《戦争》前夜。
明日から、四日程の《大戦記祭》が始まる。
と言う訳で作戦会議だぜ!
「じゃあルールなどをあらためましょう」
「「はい」」
参加者は俺とシャリーとヒナ。
作戦会議では、あらかじめ配布された地図を使う。
「まず、私たちが駐在する《ベース》はここ、第七森林管区にあるこの小さな穴です。入り口が上手くカムフラされ、近くに泉もあると言う、なんとも豪華な場所ですね」
端っこの山の頂上付近。確かにここなら敵も来なくて、至れり尽くせりだ。
「モン○ンだな」
「モ○ハン森丘の12番ですね。アイルーの隠れ家」
「その表現解り易い!」
「ま、私たちは何処にも所属していないのでこれくらいは当たり前でしょう」
シャリーは指示棒で、真っ平らな草原を差す。
「ここがアルノアード軍の駐留場になります。ていうか、今回の戦争はアルノアード軍と生徒会軍の二大勢力合戦になります」
アルノアード軍VS生徒会精鋭部隊VS魔王軍(三人)。
「て事は…………」
秀兎は、指で迷路の様な図が書かれた部分を指差す。
「この廃墟が《戦場》になるわけか……」
「なにせスローガンが『燃えよ市街地戦』ですもんねぇ」
ヒナは反対方向の学園部分を指差す。
「ここが生徒会部隊の駐留地。ていうか、移動手段は色々ですが……」
「生徒会部隊アルノアード部隊共にストライカー装甲車10台に戦車が20台。総兵士は二つともざっと500人」
「こっちはストライカー一台のみ、って俺らオールドス○ークですか?」
「いやいや、正確にはドレ○ンさんでしょ?」
「到底勝てるとは思えませんねぇ……」
「でも勝つんだよね?」
シャリーは自信満々の笑みで言う。
「ああ、勝てば特別単位一週間分。絶対勝って一週間休んでやるぜ!」
全ては休みの為に!
「で、まず具体的な作戦ですが……」
「まずは敵の戦力を削ろう。その為に、最初は戦わない」
「なるほど、五分五分の戦力ならどうせ泥沼化するでしょうしね!」
勝手に互いに戦力を削り合ってもらう。そうすれば、こっちも簡単に動く事が出来る。
「行動を起こすのは三日目の午後からかなぁ」
「もしそれほど被害が出ていなかったら?」
「ん〜、やっぱり増援とか呼ばれるとめんどくさいから三日目の午後、市街地を攻めよう」
「一人ずつやっていくんですか?」
「いや、そこはシャリーに頑張ってもらうよ」
「はっはっは。こんな事もあろうかと物凄い魔術を開発しましたあっはっは」
と、シャリーはもう天狗状態。
「へぇ〜、一体どんな魔術なんですか?」
「それはその日のお楽しみで〜す」
「で、その魔術で戦力を削り、防衛線が薄くなるのを見計らって大将を叩く」
「なるほど、大将をたたけばこっちの勝利ですもんね」
「出来れば両方の大将で相打ちってのがいいなぁ〜、ハイエナ戦法だ。そしてら四日間楽々で昼寝できるのに」
「私は漫画を持ってきたいですねー」
「あ、いっその事転移魔法でこことベースを繋げては!」
「おおそれいい!」
「そうですね!」
そんな感じで、もう超いい加減な作戦はまとめられた。
◇◆◇
その夜。静かな、穏やかな夜。
事件が起きた。
◇◆◇
「…………おいおいおい」
これは、一体どういう事だろう?
魔王城にある、キングサイズのベッドの上。
ここはお気に入りだった。最高級らしい布団に滑らかなシーツ。洗い立ての、良い匂いのする枕。まるで天国のような寝心地だった。
作戦会議も終わり、はぁやっと寝れるぜはぁ〜、と部屋の扉を開け愛しのベッドを見た。
そして見た。
愛しの天国ベッドの上に、我が物顔で居座る人物が一人。
《悪魔》。
《悪魔》だ。
コウモリの羽を生やし、全身が真っ黒で、角が生えて、目が真っ赤で、鬼のような形相。
これを悪魔と呼ばずになんと呼ぶ?
「……まさか紅葉、じゃないよなぁ」
アイツならこういうことも可能だが、しかし殺気が違う。《幻想》や《偽像》だけでこんな殺気は放てない。
「おいおいおい。マジで理解不能な状況なんですが……」
と、言っても
「ぐぁぁぎゃぁぁああああああああ!!」
相手に知能は無かった。
「会話は無理か……、って!?」
《悪魔》が襲い掛かってきた。
しかも物凄いスピードで、秀兎に体当たりだ。
秀兎はそれを、腕を組んで受け止める。
が、力を余り入れていなかった所為でそのまま吹き飛ばされる。
「ちょ……!なんつー馬鹿力ッ!」
ドゴンッ!と木製の扉を突き破る。
そのまま空中――中庭庭園上空――に放り出させれた。
「うわっとと!」
慌てて闇を翼状に展開する。
翼を広げ、魔王は空中停止。
羽ばたく為の物ではなく、結論的に浮力を得る為の《口》。翼でなくともよかったんだけどね。
「しっかしなんなんだー?あんな生きもん見た事ねぇ……」
と、あの悪魔が魔王がぶち破った穴から顔をのぞかせ、真っ赤な口を開く。
悪魔だから、炎でも吐くのかな?と思ったが、どうやら違うらしい。
赤い光が、悪魔の口の前で集まり、馬鹿でかい光球と成っていく。
「なんだ?ありゃ……」
と、そこで言葉は止まる。
その光の球が、ブルブル震えだして、そして『放たれた』。
赤い光球が、一直線に、物凄いスピードで魔王に向かって来る。
赤い線を引きながら、魔王に向かって来る。
そして、魔王は、
それを避けられない。
「うおっ……」と言う声も、消されてしまう。
閃光と轟音。爆発と衝撃波。
夜の闇が、一瞬だけ明るく、オレンジ色に染まる。
魔王が、中庭庭園に落ちていく。
◇◆◇
その轟音が響く、少し前。
魔王城騎士団団長のエルデリカは、城内の異変にいち早く気付いた。
邪気、というよりも膨大な殺気を感じ、彼女は誰よりもはやく魔王を探す。
「…………」
その速さは人間の限界を超えていていた。
エルデリカがやらなければならない事は二つ。
まず魔王の安全を確保する。
そして侵入者の抹殺。
本来ならば、この《魔王城》に入れる前に自分が首をすっ飛ばすなり、そいつを細切れにするなりにしなければならなかった。
だが、
だが、不思議な事に、気配が無かったのだ。
自分でも驚いた。夜、鍛錬を追え汗を流し、さて剣を磨こうかと思った瞬間、殺気を察知したのだ。
それも、膨大な、普通なら立ち竦んでしまうような、濃い殺気。
それほどの殺気を放ち、なおかつ自分に察知できないほど気配を無くすことが出来る。
正直言って、かなりの手馴れだ。
これでは少なからず、魔王が危ない。
死ぬ事は無いだろうが、怪我でもされては困る。
と、そこで壁を貫くような、ドゴンと言う音が耳に届く。
エルデリカは慌てて方向を転換する。
音からして上の上の階。焦りからか、殺気の源を間違えてしまっていた。
そしてあの、轟音と閃光。方向は中庭庭園。
エルデリカは誰よりも速く中庭庭園に到着、上空を見て、
「陛下!!」
起こって欲しくない事態に、思わず叫んでいた。
久し振りに戦闘シーンです。どうだったでしょうか?
出来ればすぐにでも続きを……って何にも書いてねぇぇぇぇ!!