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弐拾弐.ドッカンドッカンギャァァア。

 

 黒月学園。

 高等部の学長が、分厚い書類を提出してくる。

 パラパラパラっと、流しで確認する。

 

 高等部学長、栗町カクリは楽しそうに言う。


「今回は、よりレベルの高い戦争になるでしょう」


 風紀委員会顧問の、煤原空璃も言う。


「私が知る勢力の中でも有力なのは二つです」



「…………ふぅむ」


 

 雪魅は、思案する。


 戦争。学生たちの戦争。

 有力な勢力は二つ。


 一つは、ミラン・アルノアード率いる大軍隊。


 もう一つは高等部生徒会長、黒宮美烏率いる超精鋭部隊。


 二大勢力戦。

 これはまさに戦争だ。


「両者の武力、勢力、士気、共に五分五分の状態です」


「このまま始まれば泥沼戦ですね」

 

「もう、そんな季節か……」


 蝉が鳴き始める、初夏。

 ――戦争が始まる。


 ◇◆◇

 

 ――昼――。快晴。初夏の気温。

 魔王こと黒宮秀兎は、いつものメンバー(ヒナ+シャリー)で昼食を摂っていた。

 

「《大戦記祭》ってなんですか?」


 そんな中、突然ヒナがそんな事を聞いてきた。


「ダイセンキサイ?」

「ってあのドッカンドッカンギャァァアアア!な祭りの事ですよね?」


 なんじゃそりゃ……。


「なんでいきなりそんな事を?」

「いえ、廊下にポスターが張ってあったんです。でちょっと気になって」

「あー、そういえばもうそんな季節かー」

「具体的に何をするんですか?」

「私たちも今年初めて参加するから良く知らないけど……」


「確か、《戦争》するんだよ」


「…………はぁ」

 

 ヒナは少し呆け気味に言う。

 

「いや意味不明なのも分かるが、他に表現できない」

「じゃ、もっと具体的に教えてください」

「オーケー。シャリー任せた!」

「って人任せ!?自信満々で人任せ!?」

「しょうがないじゃんか俺あんま知らないしー」

「……はいはいしょーがないねー……」

 

 こうして、シャリーによる大戦記祭の講義が始まった。



「大戦記祭とは、高等部の学生全員が参加するサバイバル形式の戦いのこと。

 早い話が《戦争》ですね。

 この《戦争》では生徒同士で徒党を組んで優勝を目指します。

 今回の戦争は、ミランさんと生徒会長の二大勢力の戦いになると思います。


 そして、内容についてなんですが、戦争では基本的に何をしても反則にはなりません。

 

 爆弾を使うのも良し。魔法を使うのも良し。刀、木刀、ナイフ、等々、生徒は様々な物を利用して優勝しようとします。

 まぁ負傷者は出ますが、死者はでたことがありません」


「なんで死者が出ないんですか?」


 すると、シャリーは黒いの携帯電話を取り出す。


「生徒全員に義務付けられてるけど、私たちはこのケータイを持っていなくちゃいけない」


 そう、黒月学園の生徒は皆、学園が支給する黒いケータイを持っていなければならない。

 そのケータイに、自分たちの情報を内蔵しているのだ。

 要するに、生徒手帳の代わりになる。

 

「生徒専用通信端末。《ルールフォン》って呼んでるんだけど、ヒナ持ってる?」

「いえ、私そんなの貰ってません」

「じゃ、後で生徒会に取りに行くとして、話を戻すけどこのルールフォンがちょっと曲者でね?通信機能、生徒手帳代用の他に、大戦記祭の時ににしか使われない機能ってのがあるの。

 まず、GPS機能。学園は、戦争の勢力状態やら何やらをリアルタイムで監視しなくちゃいけない。その為のGPSが備わっている。

 もう一つ、生体反応計測機能バイタルサインチェッカー。持ち主の血圧、心拍数、脳波、身体的損傷の計測、発見。

 そして、物理現象を一回だけ反射させ、相殺現象を起こす事ができる超高度反射機構リフレクションシステム

 さらに、その二つに連動して発動する簡易的な転移魔法。これは、持ち主が身体的に、もしくは精神的に戦闘不能になった場合と超高度反射機構が作動した場合に発動します。

 これらの機能によって、怪我人は迅速に病院送りにされ、死者も出ないように工夫されています。ま、ざっとこんな感じかな。はい、何か質問は?」


「…………黒月学園スゲェー」


 ものスゲェハイテクじゃん!

 正直半分くらい何を言っているのか分からなかったけど、用はあのケータイがものスゲェハイテクらしい。



 そんな感じで、講義終了。


「ってなんでそんな血生臭そうなものがお祭りなんですか!?」

「今更!?」


 ◇◆◇


 六時間目、ホームルーム。


「は〜い席替えしま〜す。皆自由に席取りしてくださ〜い」


 くそったれ担任が言う。

 

 しかし、これが引き金。瞬間的に、生徒は暴徒と化す。


「白宮ちゃん!隣になろう!」

「俺!白宮さんの前がいい!」

「男子は黙ってなさい!私たちで白宮さんを護るのよ!」

「白宮さんは渡さないわ!」


 ギャーギャーギャーギャー!


 口論が始まる。

 そのうち魔法とか打ち出しそうな勢いだ。

 こんな惨状を担任は止めなくていいのか、と思い我が担任を見てみると……、


「ぐー……」


 寝てる!教卓の上で寝てる!しかも枕持参!?いいのか、そんな事で!

 ……でもあの枕超気持ちよさそうなんだけど。


 と、そんな教室の惨状を遠巻きに見ていた秀兎は、教室窓側一番後ろの席から一歩前に移動しバッグを置く。

 漫画の主人公とかよくこの辺の席になるけど、ここってホントに快適だ。

 すると、シャリーは隣に座りバッグを置く。


「ヒナ人気ですねー」


 なんて事を言ってくる。まぁしばらく収拾がつかなそうなので、適当に話でもしよ。


「そうだなー。あれも《光》の力か?」

「まさか。まぁみんな夢中になるのも分かりますけどね。顔とか可愛いし」

「ん?それは不意打ちをして欲しいというアピなのか?」

「いや別にそんな事ないですけど?」

「シャリーの方が可愛くね?」

「人の話聞いてた?」

「シャリーの方が可愛くね?」

「ねぇちょっと……」

「シャリーの方が可愛いよ」

「おーい……」

「やっぱシャリーの方が胸大きいよ」

「あ、何この人。さりげなくおっぱい観察してる」

「やっぱシャリーの方が可愛くね?」

「…………」

「おいおいそんなに照れちゃって、もうこの恥かしがり屋め♪」

「…………」


 シャリーは、秀兎を半眼で見詰め、


「……あんまりふざけてると今までのやり取りをヒナにチクリますよ」

「……すみませんでしたー」


 ホントにすみませんでしたー。


「とまぁおふざけはここまでにしておいて、そろそろヒナを助けますか」


 と、シャリーは集団の中心でまぁまぁとなだめているヒナを見る。


「そうだなー。そろそろホントに魔法とか打ち出しそうだし」

「で、どうします?またセバスチャンノリで?」

「ノーノー。あんなの俺のキャラじゃないし」

「ですよねー。じゃ、ホントにどうします?」


 すると、秀兎は親指を立てて、


「……グッドラック」

「え?何?何がグッドラック?」

「俺殺されたくないし。シャリーなら友達ってことで」

「他人任せか!酷い!私だって命あるのに!」

「お願いします!俺死にたくないのよ!だって俺死んだら魔王軍誰が指揮んのよ?」

「う!…………なんか私、いっつもこんな事ばっかりのような」

「いや、俺もそんな毎日だから。仲間仲間!」

「……あうぅ。じゃ、じゃあ、何かそれ相応の報酬を」

「シャリー、今度《禁書》を持ってきてあげるから」


 禁書とは、禁止された魔術、呪術などが記録された書物の事。魔術を研究する人なら喉から手が出るほど欲しいもの。


「う……!」


 シャリーの表情が揺らぐ。


「ね?」

「せ、せめて五冊!」

「オーケー」

「う、あうぅ。分かりましたよ……。行ってきます」

「グッドラック」


 シャリーは自席を立ち、ヒナに近づいて行く。


 シャリーがヒナに話しかける。(集団の口論が止まる)


 シャリーが爽やかに笑いながらヒナの手を引いて連れ出そうとする。(女子の目付きが変わる)

 

 シャリーが女子に囲まれた!


 なんか胸倉掴まれてる!


 そのまま集団に呑まれていく。


「…………」


 ああ、シャリー、君の勇姿は忘れない!


「って勝手に殺すなー!!」


 暴漢撃退用の真空弾で集団を吹っ飛ばした。ちなみに、あれは衝撃波なので一時的な気絶効果がある。ので全員気絶した。


「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……!」

「はいお疲れさん」

「すみませんシャリーさん」

「お、お願いしますよ……例の奴」

「オーケーオーケー」


 そんな感じで、席が決まった。


 しかしこの時、にこやか笑顔のクラスメイトたちにボッコボコにされるのを、秀兎はまだしらなかったりするだった。

この後秀兎はホントにドッカンドッカンギャァァア!な感じになります。

そして、次は美烏が来ます。

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