拾七.学校へ行こう。……え?やなんだけど。
どうでもいー話。
少しだけ、この世界について言っておく。
世界最大の人口と領地を持つ帝国『フリギア』。
説明が超面倒臭いので、コード○アスのブリタ○アだと思ってください。
科学主義国家『グノーシア』。
要するに、ロイ○さんとかセシ○さんとかラクシャー○さんとかがいっぱいいる国。
魔術主義国家『マジスティア』。
さすがにこれは例えられない。
んーと、なんて言うの?頭が固い?伝統に固執?……と、まぁそんな感じの人達の国。
んで、小中の国(他に比べるとめっちゃちっちゃい)が所々にある訳だ。
で、
多重に結界を張り、霧の魔法を使い、転移魔法の罠を至る所に仕掛け、そうしてまで外界との関係を絶った場所がある訳だ。
別にもう隠す必要も無いのでバラすと。
『魔王城』は、日本にある。
《日本》。『極東』に存在する『絶対中立国』。
そこに、絶対中立の城『魔王城』がある。
これは、日本が世界で最も特殊な国だからこその結果である。
少し難しくなるが、日本は『多文化主義の社会』を形成している。
つまり、「来る者拒まず、差別起こらず」の、最も『混血』の多い、仲良しな国が日本。
戦争に否定的な政策、絶対中立国。
そんな国に、『魔王城』がある。
◇◆◇
少しだけ、『魔王』について言っておく。
『魔王』とは、古代、旧時代から破壊の化身、災いの権化として恐れられてきた悪の象徴、又は親玉的存在の総称だ。
しかし、今の時代にそんな『魔王』は存在しない。
もちろん他の国家は、『魔王』という《分かりやすい象徴》に罪やらなんやらをなすり付けまくる。
別に魔王は世界を壊そうとしている訳じゃない。
いやむしろ、魔王は日本では『英雄』だ。
絶対中立国の日本が、どうして何処からも攻撃を受けないか、何故絶対中立など謳っていられるのか。
それは魔王が、日本人である魔王が日本を護っているからだ。
魔王が《闇の皇帝》である事は、誰もが知っている。
そして、《闇の皇帝》がどれだけの力を持っているのかも、知っている。
だからこそ、国は手が出せない。下手したら、国が潰されてしまうから。
魔王と日本は、共存関係にあった。
で、かなりどうでも良い話になるけど、魔王には『家族』があった。
《先代魔王》の父。
《魔女王》の母。
姉が一人の妹一人。
――姉、名前は美烏。
彼女は、もうマジで嫌な事に、彼女は母方の血を色濃く継いでいた!
外見は、もう小学四年生。紅葉と良い勝負なのだ。
が!
困った事に性格が母そっくり!
で!
犠牲者は俺!弟だからという理由で俺一人!
酷い!酷すぎる!これこそ不幸!不幸の中の不幸!ぐわぁぁぁあああ!
……ま、まぁこれも追々。最後に妹。
――妹、莉鵡。
母の血が受け継がれなかった妹!優しい妹!
母と姉に虐待を受けていた俺に優しくしてくれる妹!
ああ、君は女神か天使?ってくらい優しい妹。シスコンになりそう……。
ほんとに可愛い妹よ、お前だけは母や姉の毒牙にかからないでくれ。
でもちょっと困った事にお兄ちゃん子なのだ。
何故か俺にべったりなのだ。まぁ嬉しい事は嬉しいが、兄としては先行きが不安である。
で、全くどうでもいい話になるが、
魔王は今日学校へ行きたくなかった。
「てほんとにどうでもいいわぁぁぁぁ!!」
そして輝くSPECIAL☆KICK(嫁)!!
◇◆◇
「も〜、いきなり不登校宣言しなくてもいいじゃないですか〜」
と、シャリーが言ってきたので、負けじと俺は言い返す。
「イヤだイヤだ!俺は自分の部屋が良いの!俺の部屋が天国なの!だからでたくなぁぁい!」
「いいから早く制服に着替えてください!遅刻しますよ!」
「いいじゃんかよ〜。一日くらい休んだって単位心配ねぇよ〜」
「なんでそんなに面倒臭がり屋に……、て元々か」
「それにさ、俺連休全く休んでねえじゃん?ヒナが来て結婚とかなっちゃうしフリギア皇帝のジジィは襲ってくるし、一度デートに行けば無人島に行くわ勇者が来るわでもうほんと休んでないよ?俺、ほんとに休んでないよ?」
「はいはい知らなーいそんなの知らなーい。いいから布団から出ろ!」
布団を剥ぎ取られる俺。ああ程よい暖かさの布団がッ!
「秀兎さんて、いっつもこんな感じなんですか?」
ヒナが苦笑いをしながら聞く。
「うーん、まぁレイア様が居なければこんな感じだよ。「あ゛ーもうめんどくせぇー」起きろォォォォ!」
「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎぎぎッ!」
「起きろォォォォ!」
「やだだだだぎゃぎゃああああ!!!」
「あーもうメンドクセェェェ!!最終手段!魔術師団団長私班(今命名)!着替えさせろッ!」
すると、何処からともなくメイド服姿の女性が現れて、
「「「「承知!!」」」」
と、言った瞬間に魔王は寝間着から学生服に変わっていて、
「おおぉぉぉ!」
とヒナが驚いた。
「次は食事!五秒以内!」
「「「「承知!」」」」
すると、ほんとに五秒以内にトーストとコーンスープという簡単な朝食が出てきて、
「おおぉぉぉ!」
とヒナが驚いた。
「つっこめぇぇ!!」
「「「「承知!」」」」
すると、一人がパンに向けて魔法を放つ。魔法陣展開、色は緑。属性は風。
「風よ、切り裂き給え!」
パンが綺麗にスッパリ四等分にされる。
もう一人がそれを束ね魔王の口に突っ込む!
「ぐごごっ!」
そして、もう一人の女性が魔法を使う。色は黒、属性は闇。
「闇よ、奪い給え!」
すると、熱々のコーンスープの熱が奪われて一気に丁度良い温度になる。
そして最後に、もう一人の女性が魔王の口をこじ開けコーンスープを流し込む。
「おごごぼぼぼ!!」
そして、
ゴックン。
「ええええぇぇぇ!!呑み込んだぁぁぁぁ!?」
口からはみ出ていたパンが、魔王の口に吸収される。もうなんていうか、人間業じゃない感じ。
「げほっ!ごほっ!……ぐぇぇ。うわ、はぁぁぁあああ……」
いつの間にか、団長私班の皆さんは消えていました。
魔王はゆっくりと立ち上がる。
「はいはいいきますよ〜……」
「やっとその気に……」
と、見せかけて!
「逃げるぜヒャッホゥ!!」
スザ○さんもびっくりの跳躍!そして光速のランニングバァァァァァッ……、
「させるかぁぁぁ!!」
シャリーの指から光の糸が飛び出し、魔王に絡みつく。
「たすけてぇぇぇぇ!!」
「駄目で〜す。さぁ行きましょう!」
ずるずる引きずられて行く。
平和な、何気ない日々が始まる。
しばらくはほのぼの行きます。