096 孤児院とお肉
9/22更新2つめです。
「「「「シュークリームだーッ!!!」」」」
はいはい、沢山ありますからねー。
まず小さいお子さんからですよ?
「はぁーいッ!
ありがと! 魔女のおねえちゃん!!」
元気いっぱいですね、子供たち。
持ち込んだシュークリームの山にドンドン突撃してきます。
40人はいますかね。けっこう迫力ありますよ?
「ありがとうございます。
こんなに沢山の甘いモノは初めてです」
優しそうなシスターさんですね。
この孤児院の院長先生だそうです。
本物のシスターです。
シスター姿と言えばカーミラ様ですが、あのヒト本職は大吸血鬼ですからね。なんちゃってシスターなのです。
孤児院は教会の慈善施設らしいのですが。
予算が限られているそうでいつでもオナカいっぱい、ってワケにもいかないそうです。
この世界の宗教組織は基本質素なようです。
商売下手というか。
だからミライナさんも母校の危機?にひと肌脱ぐワケです。
「慈悲深き『ヒジカタ錬金堂』に女神のご加護あらんことを……。
え、ミライナちゃんも?
ええ? なんですかこの銀貨の山?
えッ、寄付!?」
さらに追加で、市場で大量に買い込んだお肉と野菜をポーチから引っぱり出します。
50人分の焼肉セットです。
これはミライナさんの手土産ですね。
院長先生が息を呑み、叫びました。
「みんなッ!
今日はお肉よッ!!
ホンモノのお肉よッ!!!」
「「「「わーッ!!
お肉ッ!!お肉ッ!!お肉ッ!!
ホンモノのお肉ッ!!!」」」」
皆さん大興奮です。
院長先生までガッツポーズで雄叫び上げてます。
ところでホンモノじゃない肉ってなんなんでしょうね?
「エリンギ炒めて焼肉のタレつけるとそれっぽくなるので」
ミライナさんの説明です。
ほほう。今度マスターで試してみましょう。
しかし、ここまで喜んでくれると手土産のしがいがあるというか。
「……わたし、頑張って働くので次もお願いしますね!」
メチャクチャ気合い入ってます。ミライナさん。
「こちらこそ。錬金堂の未来はミライナさんにかかってますよ?」
これは本当です。
マスターが予定通り『錬金術師』になれたとしても、生産ばっかりやってるワケにもいかないですからね。
いちおう冒険者で。
少なくともログアウト中の錬金堂はわたし達が回すのです。
「これからも、はりきっていきましょう。
当然、シロもですよ?」
「はいッ!!」
「わうッ!!」
いいお返事です。
ヒジカタ錬金堂の未来は明るいですね。
あれから孤児院で焼肉パーティに突入。
わたし達もチャッカリご相伴に預かりました。
超楽しかったです。
40人以上の子供達と仁義なき焼肉大会。
生存競争の厳しさを思い知らされましたね。
戦果? 惨敗ですよ。
シロは勝負を避けて肉をおねだりする作戦に移ってました。
多大な戦果を上げたようです。賢すぎます。
ミライナさんはあのまま孤児院に残りました。
お泊まりするそうです。
里心って言うんですか?
院長先生や後輩の皆さんと一緒に寝るそうです。
嬉しそうでしたね。
家に帰ってきた、って感じでした。
ちょっと羨ましいですね。
家族とか、わたしはよく分からないので。
初めての食べ歩きの旅は、ジャンクフードに始まりラーメンを経由し焼肉パーティに終わりました。
実り多き旅でした。
ちょっと食べ過ぎましたかね?
いきなりラーメンスープは厳しいですが、他のレシピはなんとか作れそうな気もします。
焼肉ならすぐにでも。
うん。家で焼肉大会、いいですね。
当然マスターも一緒に。楽しみです。




