090 物足りない夜
9/18更新2つめです。
ミライナさんが商品作成を完了させました。
仕事が早いですね。
ひとつひとつが早いのもそうなんですけど、幾つもの工程を並行に進められるのがスピードの秘訣のようです。
『傷薬』作成しながら、お鍋で毒キノコ煮詰めたりしてました。
マスターでも出来るんでしょうかね?
こんど聞いてみましょう。
こっちも煮込み終えたので晩ご飯にしましょう。
毒キノコじゃないですよ?
本日のメインディッシュは因縁のカレーライス。リベンジです。
今回はちゃんと市販の固形ルー使いました。
野菜も小さく角切りです。
お肉だけちょっと変更チキンで。
無事完成しました。よかった。
あとサイドにサラダと卵焼き。
特に卵焼きはしばらく集中して鍛えるつもりです。
大将に頂いたアドバイスに感じ入りまして。
考えながら反復練習ですね。
「そういうワケで卵焼きはしばらく皆勤賞です。我慢してくださいね?」
「美味しいですし大歓迎です。私こそ毎日凄く助かってます。
ゼンゼン料理できないので」
ミライナさんは美味しそうに食べてくれるので励みになります。
なんなら朝ご飯もご一緒します?
「いえ、そこまで甘えちゃうワケにも」
遠慮することありませんのに。
でもここまで腹ぺこで歩いてくるのも辛いですかね。
「私も『傷薬』の作成覚えたときには、ひたすら繰り返して練習しました。
初めて☆2がついたときは嬉しかったですよ」
そういえばマスターも嬉しそうでしたね。羨ましい。
この分だと『オムライス☆5』へは遙か遠き道のりですね。
まずは『卵焼き☆2』。これを目指しましょう。
わたしも頑張りますよ?
「やったッ!!」
「わおーんッ!!」
わたしの気合いにシロが呼応します。歓喜の遠吠え。
雄々しくてカッコいいですよ?
やりました。ついにやりました。
『卵焼き☆2』です!
ついに到達しました。☆2の世界に。
長く険しい道でした。
ひたすら卵を割り、かき混ぜ、専用フライパンまで購入して焼きまくりました。
試作、味見、また試作。
山のように作り続けた『卵焼き☆1』。
その果てに、ついに『卵焼き☆2』が完成したのです!
感動です。
焦りましたよ。
マスターがわりと簡単に『傷薬☆2』を作っちゃったので。
こっちは『カレー?☆0』ですよ?
『メシマズ魔女』の称号、もしあったら付いてましたよ。
そんなわたしも『卵焼き☆2』。
なんかね、自信ついちゃいますよ。
卵焼きなら負けないぞ、みたいな。
夜中まで頑張った甲斐がありました。
ちなみに出来上がった『卵焼き☆1』の山はスタッフが美味しく頂きます。
主にシロのオヤツです。わたしも食べますけど。
本日のノルマ『卵焼き☆2』をみごと達成し、わたしはイイ気分で寝床につきました。
もちろんゆっくりお風呂に入ってからですよ?
リビングの隣に小さめの部屋があります。
元は夫婦の寝室だったらしいですけど、今はわたしが私室として貰っています。
昼は日当たりも良くてとてもイイ部屋です。
備え付けのベッドもアンティークぽくて趣味がいいです。
お気に入りです。
そのお気に入りベッドで横になって瞼を閉じました。
おやすみなさい。
………………………………眠れません。
なにか物足りないような忘れてるような。
なんか身体が火照るようなむず痒いような。
特にうなじが。
……ああ、なんてコトでしょう。思い当たりました。
今日は『吸血』してもらってないのです。
そしてもうひとつ思い当たりました。
わたしは転生してこれまで、一度もひとりで寝たことが無かったのです。
いつも『義務』営んだ後、心地好い疲労と不思議な安心感のなかでコテンと寝入ってしまうのです。
マスターの隣で。
なんてはしたない。淫らな女になってしまいました。
全てはマスターのせい。
責任は取って頂きましょう。
もちろんあのヒトはログアウト中。それくらい分かってます。
マスターは不在。いません。
が、……アバターは残ってます。
カンオケ部屋でのんきに寝てるハズです。
よし、アレを抱き枕にしてしまいましょう。
少しはマシになるでしょうか。
このカラダの火照りも。




