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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
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084 高価買取・安価販売

「素材の買取はやってないのかい?」


『傷薬☆2』お買い上げのお客さんに質問されました。


 あー、そうですね。

 ややこしい話でもないですし。

 わたしの裁量で決めちゃってイイですよね。


「標準価格でよろしければ出来ますよ?」


 そう言ったのは、買取の定番『素材屋さん』での買取価格がとても低いからです。

 例えば『薬草☆1』なら20枚で銀貨1枚の買取価格。

 1つあたり銀貨0.05枚。激安です。


 一度マスターが交渉したコトがあったんですけどね。

 馬鹿にしてると怒っちゃいました。

 マスター自身じゃなくて『ガジガジ草』と『紫キノコ』のコトです。植物コンビに失礼だと。

 マスター、あの植物コンビに入れ込み過ぎです。

 苦しい時期を支えてくれた戦友、とか言ってましたけど。

 馬鹿ですね。


 おっとっと。話を戻します。

 素材をお金に換える話です。

 ギルドの採取依頼とかなら割が良いのですが、依頼はいつもあるとは限りません。

 そして依頼抜きでの素材売却は基本、儲けが少ないのです。

 レアドロップは別ですけど。


「それでいいよ。

 町の周りでスキル鍛えてたら、やたらと安い素材が溜まっちゃってね。

 ギルドに納品しても余るしで困ってたんだよ」


 こちらとしても『薬草』『毒キノコ』は大歓迎です。

 身内に『傷薬』調合大好きなヒトがいるもので。


挿絵(By みてみん)


 お客さんがカウンターに並べたドロップ素材を『査定』します。

 なるほど、ほとんど『薬草』と『毒キノコ』ですね。望むところです。


『査定』するとその商品に関する2つの価格が判明します。

 1つは標準販売価格。

 もう1つは標準買取価格。買取価格は販売価格の半値がベースですね。

 ちなみに装備品で中古だったりすると消耗具合によって更に減額されたりします。

『薬草』と『毒キノコ』は価格設定が同じです。

 仲いいですね。さすが植物コンビの素材。


 1つあたりの標準販売価格が銀貨0.2枚(銅貨20枚)。

 ちなみに銀貨1枚=銅貨100枚です。

 標準買取価格が銀貨0.1枚(銅貨10枚)。

 これに+-50%の微調整を入れて価格を決定するわけです。


 ………じゃあ、このお値段でどうでしょうか?


「えッ、こんなになるの?」

「はい。特に『薬草』と『毒キノコ』は大歓迎ですよ? 

 それぞれ10個につき銀貨1枚とつけさせて頂いてます」


 お客さんは驚いていますが、『査定』通りの標準買取価格ですよ?

 微調整はゼロです。


 昨日、わたしは足りなくなった『薬草』と『毒キノコ』を合わせて240個、素材屋さんから仕入れました。

 それの代金が合計銀貨72枚。

 一つあたり銀貨0.3枚でした。

 端数は値切りましたけどね。


 どうも素材屋さんの商売は、

『最低価格で買い取って最高価格で販売する』

ことで利益を上げているようなのです。

 なかなかアクどい。まさに商人の鑑ですね。


 お客さんの驚き様から見るに、この手法が他の商人でも普通になってるのかもしれません。


 その一方で薬草10枚銀貨1枚というのはウチとしても美味しい価格です。

 素材屋さんから仕入れるよりゼンゼン安いのです。

 さらに在庫が主に輸入品な素材屋さんより、ドロップ品を売りたい冒険者の皆さんから仕入れた方が質的にもお得なのです。

 ☆2や☆3の素材が混じっている可能性がありますからね。

 あとでジックリ『鑑定』させてもらいましょう。ふふふ。


「ココのこと、知り合いに教えてやってもいいかな? 

『薬草』と『毒キノコ』、余らせてるヤツが大勢いるんだよ」

「是非、よろしくお願いします」


 クチコミ、拡散、大歓迎です。


『高価買取・安価販売』の店として好印象を狙えますからね。

 冒険者の皆さんは仕入れ先であり販売先でもあるのです。


 ヒジカタ錬金堂は立地が悪い上に品揃えが乏しいのです。

 こういうカタチでポイントを稼いでおく必要があるでしょう。

 新規参入ですので。


「いやいや文句無しだよ。今後ともよろしく頼むよ」


 こちらこそご贔屓にお願いします。

 ウイン・ウインでよろしく。


挿絵(By みてみん)

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