083 どうしましょ
9/15更新3つめです。
『マナポーション☆2』なんですが。
一瞬で売り切れましたね。瞬殺です。
お一人様2本限りの部分は多少文句も出ましたが、早朝組同士の話し合いで納得して頂いたようです。
殴り合い寸前でしたけど。
取引はあっさり済んだのですが、面倒だったのはその後です。
全員、やたらと予約販売か受注生産を頼み込んでくるのです。
まぁ、ニッコリ『店長が不在なのでお受けしかねます』でゼンブ切り捨てましたけど。
極上の営業スマイルVerです。
さらにしつこい場合は『NPCなのでわかりません』です。
困り顔Verで。
実はマスターから、『ややこしい話はゼンブ断れ』と言われているのです。遠慮はいりません。
だけどナンですか。
早朝組のお客さん5人とも男性だったんですけど。
スッゴイ見るんですよね、わたしを。
メイド服、そんなに珍しいですかね。
あと頼まれたのが、
『ご主人サマって呼んでもらってもいいですか?』。
丁重にお断りしました。
わたしのご主人様は一人だけですので。はい。
「さて、どうしましょうか」
マナポーション早朝組の後続はいないようです。
いったん2人と1ワンコで営業会議です。
なにしろ目玉商品が正規の開店前に売り切れてしまいました。
「マスターからは、この時点で店を閉めてもイイとは言われてますけど」
「さすがにそれは。一応チラシもギルドに貼ってありますよ?」
そうですよねぇ。
これからチラシを目にするヒトもいるわけで。
「とりあえず店は開けますか。
『傷薬☆2』しかありませんけど」
話は決まりました。
予定通りミライナさんは明日販売分のマナポーション作成を。
シロはボディガード継続で。
ご主人様ウンヌンの時は物陰から臨戦態勢取ってくれてました。心強いですよ?
いま思えば、早朝組さん達にも『傷薬☆2』オススメするべきでした?
完全に忘れてましたね。ごめんなさいマスター。
『傷薬☆2』は在庫が250包くらい。
本当にコレ、売れるんですかね?
「じゃあ10個ちょうだい」
おお、またお買い上げです。
軽装レンジャー風のお客さんに手渡します。上機嫌ですね。
「ありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております」
マスター作の『傷薬☆2』が予想外に好評です。
客層はライトユーザーの方々?
銀貨1枚半でHP75回復、という序盤のお手頃感が受けているようです。
だいたい10個単位でお買い上げになられます。
いやはや、ナニが受けるかわかりませんね。
やはり傷薬でも☆2はほとんど流通してないようです。
商品を見せるなり皆さん『掘り出し物見つけた!』って感じで食いついてくれます。
それに☆2は回復量増の他にクールタイムも短縮されてるようなのです。
『鑑定』がLVアップしたら説明が追加されてました。
マスターの徹夜は無駄ではなかったというコトです。
よかった。
何人かのお客さんの話によると、現状☆2の商品を扱っているお店はごくわずか。
更にそれを標準価格で店頭売りするのは、まずあり得ないそうなのです。
詳しいヒトには、標準プラス50%の上限価格が定価だと言われました。
『傷薬☆2』なら銀貨2枚と銅貨25枚? ハンパですね。
まぁ、うちの価格設定は現状維持で。
マスターと決めた値段なので。
それに上限価格だと効率で『傷薬☆1』より落ちることになっちゃいますし。
だけど売れ行き好調の理由がわかりましたね。
品質だけでなくお値段でもお得感があったみたいです。
たまたまですけど。
それにマナポーション売り切れでガッカリなお客さんに、これぐらいのご奉仕価格はアリだと思うのです。
せっかく、こんな町外れまで足を運んで頂いたので。




