080 時間は楽しく、義務は優しく
9/14更新3つめです。
また短いです。
他にもイロイロ相談した。
所持金やアイテムについては全部イズミに任せることにした。
しっかり者だし商売スキルもある、きっと上手くやってくれるだろう。
「それから、あんまり根を詰めすぎないようにな。
息抜きも適当に入れる。
店も暇になったら早めに閉めちゃっていいし」
「わかりましたが。商売としてそれはどうなんでしょう?」
いいのだ。
ゲームなんだから時間は楽しく使えばいい。
それに客が来たとしても目当ては日産10本だけのマナポーション。
売り切れたら本日営業終了でもいいのだ。
それで経費は確保できる計算だ。
今のトコこれくらいかな。
想定外のトラブルは無理に解決しなくていい。
次に俺がログインしてから対応すればいいし。
しかし、ずいぶん話し込んでしまったな。
もうじき日が変わるぞ。
「いけませんね。
急いですませてしまいましょう」
イズミがシャツの裾をめくって脱ぎ始める。
ちょっとお嬢さん!?
「おいッ、ちょっとッ!?」
「ちゃんと着てますよ? 期待しましたか?」
薄いタンクトップ姿になったイズミが髪をかき上げた。
シャンプーの花みたいなイイ匂いが鼻をくすぐる。
う、なんか色っぽい。
「さ、マスター。優しくしてくださいね?」
悪戯っぽく舌を出す。
ぐぐぐ、可愛いじゃないか。この。
腕の中にイズミの肢体が収まっている。柔らかくて熱い。
心臓のドキドキが止まらん。
『義務』が終わると、やはりイズミはぐったりと身を預けてきた。
弛緩した様子で目を閉じて余韻に浸っている。可愛いぞ。
俺たちの『義務』、吸われる側はかなり消耗するようなのだ。
直前までイズミが妙に挑発的なのは空元気なのかもしれないな。
年頃の女の子が男に首筋を噛まれるのは恐怖だろうし。
無防備な唇から寝息が洩れはじめた。
今日は狸寝入りじゃないみたいだな。
慎重に寝かせてシーツを肩まで掛ける。
けっこう厚手なので寒くはなかろう。
ご苦労さん。
ゆっくり休んでくれよ。
明日から忙しいのだから。
さて、こっちは工房で調合の続きだ。
傷薬だが、あと150包は作っておきたい。
売れないにしても在庫ぐらいないとな。
いちおう『錬金堂』を名乗るのだし。
まだ調合師だけどさ。
調合のペースは良い感じに上がっている。
スキルLVもだが、『調合師』にジョブチェンジしたことが大きいな。
調合作業の精度、スピードともにかなり向上しているのだ。
かなり大きな補正が入っている感じだ。
特殊なスキルが追加されたわけじゃないが、地味に有効なジョブなんじゃないのか?
就いてみて正解だったぜ。
しかし歯痒いな。
せっかくの新規オープンなのに出来ることがこれくらいしかない。
面倒ゴトを全部イズミに押しつけるカタチになってしまった。
すまん。なんか埋め合わせはするからさ。
ああ。
そういや貯水槽の水もかなり減ってしまってるハズだ。
蒸留水やら風呂やらでかなり使ってしまった。
ログアウト前に汲んどかないとな。
やれやれ。
時間が無いときほどやりたいコトが増えていく。
皮肉なもんだよ。
徹夜すれば調合と水汲みの時間ぐらいは作れる。
この2つはやっとかないと。
完徹してログアウトは初めてだが、まぁ大丈夫だと思う。
ここで徹夜してもリアルの自分は8時間たっぷり寝ている。
さらにこっちのアバターも、次のログインまで3日間寝たきりなのだ。
睡眠不足のペナルティが付くとは考えにくい。
心配は無用だ。
よーしッ。もうひと頑張りしますか!




