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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
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069 お風呂乱入

イズミちゃんはちょっと向こう見ずです。

挿絵(By みてみん)


 初風呂と 初料理に酔う 春の宵


 春の宵シリーズその2だ。二番煎じともいう。



 いい湯だなぁ、ははぁん。


 やっと風呂に入れたよ。

 あー、気持ちイイ。

 ふー、やれやれ。生き返るな。アンデッドだけど。


 しかし、はー、お腹パンパンだよ。

 ビフォーとアフター、1皿ずつカレーを食う流れになってしまった。

 さすがにハラが苦しい。

 まぁ、美味かったからいいか。最終的に。


 イズミはしっかりしてるようで、やっぱ生まれたばかりなんだよなぁ。

 デフォルトの知識はあるようだけど、体験というか経験値が少ない。

 食事なんか昨日が初めてだっていってたもんなぁ。


 とった食事は大将の謹製と、森の拠点で奥さんの手料理か。

 大将はもちろん、奥さんもかなりの料理上手だった。

 俺の男飯もマズイ、という程じゃなかったはずだ。

 単純な男飯はそうそう不味くならない。

 まぁ、美味くもならないんだけど。


 初めて食った『マズイ料理』が自分作だったらショックだよなぁ。


 料理の味見もそうだけど、色んなモノを食べてみるべきだな。

 プレイヤーはみんな、生まれてこの方メシを食い続けている。

 美味いモノも不味いモノも経験豊富だ。

 料理をしなくてもそれが普通なのだが。


 イズミはこれからその経験を積むのだ。急いだ方がいい。

 俺のログアウト中は自由に食べ歩きとかしてもらってもいいな。店もいいけどさ。


 イズミは『人間になる』コトが俺とコンビを組む報酬なのだ。

 それなら食事に関しても人間と同様の経験を積ませてやりたい。

 たぶん、それがアイツを眷族にしてしまった俺の義務だろう。

 もちろん、舌が肥えれば料理の腕も上がるだろうし。

 俺にとっても万々歳だ。


「マスター。入りますよ?」


 はい?

 いま、イズミの声が聞こえたような。

 まさかねぇ。俺風呂で素っ裸だよ?


 ガラッ。引き戸が開いた。イズミが入ってきた。


 紫の紐ビキニで。


「マスター。もう日が変わります。『義務』を済ませないと」


挿絵(By みてみん)


「う、うわあぁぁぁぁ!? なんだぁ!?」

「どうしたんですか、マスター? 騒がしい。」


 そりゃこっちのセリフだ。

 なんだよそのカッコは。何故にビキニ。何故にヒモ。


「だってお風呂って、服を脱いで入るモノなのでしょう?

 それぐらい知ってますよ。

 ですけど、さすがにハダカはマズいですし。運営的に」


 そ、そうか。そりゃマズイよな。

 だけど、いつの間に水着なんて。


「カーミラ様から頂いたのです。マスターが必ず喜ぶから、と」


 カーミラさんッ!? なんて仕事を。グッジョブ!!


 いや、待て。困る。俺、ハダカだし。


「わたしは気にしませんよ?

 時間もありませんし、さっさと『義務』を済ませてしまいましょう」

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