624 ネックレスとニット帽
錬金術組合での用件は済みました。忙しそうなのでお暇しましょう。
「う~~ん」
「わ~~ふぁう」
「♪♪~~♪」
表に出て背伸びします。
シロカゲリも真似っこしてます。可愛い♡
『土人形の核』にあんなに盛りあがってくれるとは意外でしたね。
核は預けちゃいましたしあとはお任せしましょう。
わたしに錬金術はよくわかりません。
マスターが起きたら丸投げですね。
おっと。
もうひとつの丸投げ案件の準備をしなきゃいけません。
「シロ、カゲリ。
次は商店街に行きましょう。
ちょっとお買い物しますよ?」
「わう!」
「♪♪~♪」
美味しいものを買うと思ってますね?
まぁ、それもいいですけど。
『護りのネックレス☆3』の製作。
その母体となる『護りのネックレス☆1』を仕入れとかないと。
『魔石[土]☆2』は攻略組の報酬でたくさんあるから大丈夫。
素材さえ揃えておけばマスターが作ってくれます。
追加購入の依頼もガンガン入ってますからね。
儲けさせて貰いましょう。
そう考え以前仕入れた商店街の防具屋さんに向かいました。
「ふぁっふ♡」
「フワっふ♡」
「♡♡っ♡」
途中の屋台で買ったたこ焼き摘まみます。熱々ホクホク。
「あちちち。美味しいですねぇ♪」
「わっふっ♪」
「♪♪♪~~♡」
トロトロの中身がまるでマグマのよう。
フーフーしないと火傷しますよ?
「じゃあ、あるだけ頂けますか?」
「はい。
『護りのネックレス☆1』3本と『護りの帽子☆1』4枚ですね。
合わせて銀貨4600枚になります」
防具屋さんに金貨で支払い、受け取った商品を収納ポーチに収めます。
さすがになかなかの出費でしたね。足りてよかった。
ですが手持ちの資金がますます心細くなってしまいました。
魔石ならたくさんあるのですけど。現金がねぇ。
黒土山で得た『護りのネックレス☆3』5本の売却代金は、ほとんど『魔石[土]☆2』でもらっているのです。
マスターのサービスで。
ですけど今『魔石[土]』の時価はストップ安。商業ギルド調べ。
レイド戦含む『土神の試練』でドロップした土魔石が取引市場へ大量に流れ込んでいるのです。
買取も一時ストップしてるとか?
とはいえ現金不足で黒字倒産もイヤですしねぇ。
面白いことに土属性以外の魔石は逆に値上がりしてるのです。
こちらを換金すれば一息つくのですが、たまに意外な使い途が湧きます。
換金は最終手段ですね。
現金不足が解消するまで支出は抑えましょう。
まぁ、普通に営業する分には問題ありませんけどね。
「わう?」
「???~」
「あら。
あなた達のオヤツぐらいはゼンゼン大丈夫ですよ?
いい子たちですねぇ」
撫で撫でしながら、譲ってくれたたこ焼きをパクリと頂きます。
うん、美味しい。
こんど家でも作ってみましょうかね?
今回は『護りの帽子☆1』も仕入れました。
ネックレスと同様、物理防御力UP効果のある帽子。
わたしが持ってるのはつばの広いキャプリーヌという種類なんですけど。
店頭では無難なニット帽スタイルにデザイン変更されてます。
肝心なのは中に仕込まれた魔法石で外見は融通効くらしいですね。
前回は前衛職の兜と被るので仕入は避けましたが、マスターが紹介してたらしく今回の注文に含まれてました。抜け目ないですね。
見た目通り軽い防寒効果もあってネックレスより少し高価。
試着してみましたが見た目より軽くて普段使いに良さそうです。
☆1だと防御効果もほんの気持ち程度ですが、☆3まで魔石で強化すればネックレス同様そこそこのバリア効果が得られます。
重い装備の持てない後衛職の頭部装備としてはかなり有効ですね。
「???」
カゲリにも試着させてみたのですが一番小さいサイズでもブカブカでした。
それでも凄く可愛いかったですけど♡
ただ本人はあんまりだったようです。
すぐに脱いでしまいました。
服関係はなかなか気に入ってくれないんですよねぇ。似合うのに。
お風呂上がりの猫さんパジャマだけやっと慣れつつあります。
風よけエプロンもあの時だけですし。他は全滅。
今はイイですけど成長したら素肌に黒繭だけのスタイルは公序良俗違反。
早く慣れてほしいものです。
……成長するんですかねぇ?