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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
62/651

062 依頼達成と従魔登録

8/31更新3つめです。

 イズミは他にもパジャマやインナーをいくつか選んでたようだ。


 俺も幾つか選んでおいた。

 後でマントに食わせてみるのだ。検証だな。

 この化けマントがどんな仕様で動いているのか確かめないとな。

 さすがにヒトは食わんと思うが。……食わんよな?


 ちなみに俺は錬金術師スタイルだ。

 結局マント白衣に化けたまんまだし。


 俺たちは支払いを済ませ店を出た。

 後は食材買って冒険者ギルドだな。


挿絵(By みてみん)


 朝市は終わっていたが、まだ開いている出店が何軒かある。


「食材は任せてくださいな」


 イズミがウキウキで野菜を手に取っている。

 まだスキル取ってないのに大丈夫か?

 まぁ、任せるけど。


 しかし聞いてた通り、タイアップの調味料やドリンクが多い。

 食事に関してだけだよな、こんなの。

 どうも味だけ再現してて特別な効果とかはないっぽい。

 そんなの付けたらメーカー同士でケンカになるだろうし。


 お。家で使ってる白ダシがある。ダシ醤油もあるな。

 これだけ買っとくか。お手軽で美味いんだよなコレ。


挿絵(By みてみん)


 さて、依頼達成の報告に冒険者ギルドへやってきたのだが。


「ヒジカタさん? また転職されたのですか?」


 たわわでメガネな受付嬢、パルミットさんに怪訝な目で見られた。


 え? あ、ああ。


 そういや俺、ここに顔出すたびに見た目が変わってるよな。

 剣士→黒服マント→白衣メガネの3段変身。

 しかもごく短期間にだ。


 ひょっとして、すぐに仕事辞めちゃうヒトみたいに思われてる?

 いかん! フォローだイズミ!


「まだ無職ですよ?

 錬金術師志望ですけどカッコだけで」


 言い方!

 もうちょいマシな言い方あるんじゃないですか?

 イズミさん?


「ちなみにわたしは『商人』に就きました。

 お店を開きますのでヨロシクお願いしますね。

 マスターを養わなくてはいけないので」


 その言い方さらに悪いから!?

 ああ、嬢の視線が冷たくなってるよ。


「ヒジカタさん?

 そういう歪なパーティの在り方はギルドとしてもどうかと。

 イズミさんが可哀想です」


 いま、一番可哀想なの俺ですよ!?

 何故こんな事態に? 俺がナニをしたというのか?

 イズミになんか嫌なこととか……。

 やってるな吸血。


「ありがとうございます、パルミットさん。

 マスターにはわたしからよく言っておきますので。

 今日は依頼のご報告を。さ、マスター」


 イズミがそう促す。悪戯っぽい目で。

 こんにゃろめ。


 この雰囲気のなかで達成メダル出しても、バシッとたたき返されるんじゃなかろうか。

 そんな予感に脅えながらメダルを差し出す。

 すると。


「え? 達成されたのですか? 子犬は?」


 たわわメガネ受付嬢、驚きの顔。


「ココにいますよ? イロイロあってウチのパーティに加入しました」


 ワンッ、と元気なシロの声に毒気を抜かれたようだ。


「それは、なんと、まぁ、良かった……」


挿絵(By みてみん)


 パルミットさんは受け取った達成メダルを確認している。

 この様子じゃ『☆5マンドラゴラ』の件は冒険者ギルドには伝わってないな。

 職員さんも『くれぐれもご内密に』と念を押してたからな。

 ヤバいブツだという認識は共有している。


 だいたい、この最初の町でガーディアン討伐依頼など出そうものなら死人の山だ。

 俺だって弱点の葉以外はろくにダメージが通らなかった。

『空気投げ』で投げ落としてもHPバーは僅かしか減らなかったのだ。

 最大HPがかなり高いのだろう。


 それに正直言うと、もうしばらく俺がアイツを独占しときたい気分もあるのだ。

 ☆5の件もあるが、アイツとの対戦は凄く楽しい。

 マンドラゴラだって無限にあるワケじゃない。

 減ってしまえばアイツと戦う機会も減るだろう。

 それはイヤなのだ。


「はい。達成おめでとうございます。お受け取りください」


 依頼の報酬は銀貨50枚。よし、家電代は取り戻したぜ。


「それでコイツなんですけど、やっぱり登録とか必要ですか?」


 わう?

 自分の話をされてるのが分かるのか、シロが首をかしげている。


「この子、これで白狼なんですよ。血統書はないですけど」

「それは珍しい。なら従魔登録ですね。

『白狼』はいちおう魔物のククリなので。

 こちらの書類にワンちゃんのお名前とサインをお願いします」


 はいはい。とりあえず俺がサインする。

 イズミの方が懐いてるけどね。


「はい。これでこの子はヒジカタさんの従魔として登録が済みました。

 このピアスを付けさせてください。従魔の証明になります。

 これで他の冒険者に討伐されることはありませんが、もし問題を起こせばヒジカタさんの責任になります。

 ご注意くださいね」


 渡された青い石のピアスをイズミに渡す。

 イズミはそれをシロの左耳にサクッと刺して取り付けた。

 当のシロは気付いてないな。

 ブンブン尻尾を振っている。……鈍いのか?


 しかし魔物なら従魔登録か。

 吸血鬼もそれでいけるのかね。


「それは……。

 ネクロマンサーの管轄になりますから従死霊登録かと。

 なお登録無しのアンデッドは即時浄化されますので。

 吸血鬼を従魔にされる予定でも?」

「いえいえ、滅相も無い。聞いてみただけです」


 ひえー、即時浄化か。身バレは絶対避けないとな。


 ついでに納品クエストも済ませてしまうことにする。


『森蜘蛛の糸』、『地雷草のタネ』、『古木の枝』。

 それぞれ叫びの森エネミーのドロップ品だ。

 全部で銀貨70枚程になった。


 ソロじゃなくなって一気に懐具合が改善したな。

 まぁ、俺にはあんまし使い途も無いのだが。

 装備は固定で武器はステゴロ。なんてエコ。


「イズミ、装備とか欲しいものあるか?」

「いえ? 別にいいですよ。杖はレアドロップ品ですし」

「ローブとかどうだ? 魔法使いっぽくてカッコいいぞ」

「ヤですよ。この服、気に入ってるんですから」


 うちの眷族ちゃんもあんましイイ装備には興味ないようだ。

 店の方に使うか。


「パルミットさん。

 俺たちの店のチラシとか置いてもいいですか?」

「それならそこの情報掲示板に貼ってください。

 規定の用紙で1枚だけですけど無料ですよ」


 ほほう。もともとそんなサービスがあるのか。助かる。

 なんせ町外れだからな。宣伝しなきゃヒトも通らない。


 いや、待てよ?

 マナポーションて作るのに時間どれくらい掛かるんだ?

 その辺ハッキリしてからの方がいいな。

 客が来ても棚が空じゃ恥ずかしいぞ。

 用紙だけ貰ってまた貼りにくるか。内容も白紙だし。


「ところで『マナポーション』って、いま幾らぐらいしてますか?」

「ギルドじゃずっと品切れですね。あれば1本銀貨50枚くらいでしょうか」


 うわ、マンドラゴラより高いぞ。輸入してるからか?

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