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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
61/652

061 衣料品店

8/31更新2つめです。

 家電量販店としか思えない金物屋を出ると、同じ並びに衣料品店があった。


 店構えこそ落ち着いたファンタジー風だが……。

 入ってみるか。せっかくだし。


 中は完全に現代風だった。予想通りだよ。


挿絵(By みてみん)


 品揃えがさらにカオスで困った。

 西洋ファンタジー風もあるし現代日本風もある。

 コスプレとしか思えないのもある。

 版権キャラとかやめてほしい。タイアップ?


 これらは装備ではなく完全に外見だけの『服』だ。

 防御力はゼロで耐久力とかの数値も無い。

 アバターの見た目を楽しむためだけのオプションだな。


 アウターなんかは装備の上から羽織ることもできるらしい。

 カーミラさんもたしかそんなコト言ってたな。

 固定装備うんぬんで。


 はッ。ならばこの、ちょっと恥ずかしい黒服装備と蝶ネクタイも隠せるということか?


 これは試さねばなるまい。


 イズミも興味津々で商品を手に取っている。

 着替えとか要るよな。


「イズミ、気に入ったのがあれば選んどいてくれ。

 俺も選びたい」

「わかりました。いちおう、後で確認してくださいね」


 好きに選んでいいのに。キッチリした子だよ。

 装備新調なら大ごとだが、見かけだけの『服』ならかなり安く済むようだ。遠慮はいらないぞ?


 さて、俺の方のチョイスなのだが。

 お題はズバリ『錬金術師』。

 明日から修行をつけてもらう予定なのだ。それらしいカッコしないとな。


挿絵(By みてみん)


 結果がコレである。フハハハハハハッ。


 白衣とメガネによって醸し出されるこの研究者感。いかにも理系だ。

 さらに濃紺のマフラーで蝶ネクタイを隠してみた。

 コレでかなり普通になったはず。


 ふふふ。鏡で確認できないのが残念だな。

 どうだ、シロ? カッコ良かろう?


「わうーん?」


 よく分かんないみたいだな。イズミに見て貰うか。

 おーい、イズミー。


「ナンですかそれ。自称狂気のマッドサイエンティスト?」

「いや、錬金術師をイメージしてだな」

「別のベクトルで怪しいんですけど。内臓とか取られそう?」


 試着室から首だけ出して言いたい放題。

 うちの眷族ちゃん厳しいです。


 錬金術師スタイルは不評のようだ。

 しかし俺はコレで行かねばならぬ。


 何故なら『吸血鬼のマント』がこの白衣を同化吸収しちゃったからである。

 この白衣、装備画面で見ると『吸血鬼のマント(白衣)』なのだ。


 まだカネ払ってないのに。

 なんてコトするんだ。この化けマント。

 そういえば、転生したときもマントだけは外見が変わっていなかった。

 アレは前の『旅人のマント』が食われたというコトか。

 怖いな、俺の専用装備。


「そんなコトより、コッチも見てくださいな」


 また流された。

 うちの眷族ちゃんはマスター様のコト軽んじすぎて……。


挿絵(By みてみん)


「……………メチャクチャ可愛いな」

「な、ナニ言ってるんですか、真顔で」


 そっぽ向いてしまった。

 いやホントに可愛い。スゲー似合ってる。ビックリ。


 メイド服もいいけど、カジュアルなのもコレまたイイ。

 脚長いからデニムも映える。

 髪と同色のシャツもいい感じだ。

 照れて赤みが差した頬がまたプニプニで………。


「もぉ、いい加減にしてくださいッ!?

 着替えますから!!」


 ありゃ、なんかキレちゃったよ。ヘンなコト言っちまったか?

 こういうの苦手なんだよな。

 女の子褒めるのって、ホント難しい。


「おーい。それゼンブ買っとけよー。

 今度また着て見せてくれよー?」

「わかりましたから、もう喋らないで!?」


 試着室の中から怒鳴られた。

 うむ。その日が楽しみだ。

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