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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
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059 ランチタイム

 大まかな掃除は昼頃でなんとか終了した。


 見習い少女、本名ミライナちゃんの指揮のタマモノだ。さすが掃除当番。

 残った細かい部分はイズミが俺のログアウト中にやるそうだ。

 内装とかこだわりたいそうな。


 まぁ、お任せするよ。


 掃除が済むとミライナは帰ろうとしたのだが。

 今日は世話になったしこれからのコトもある。

 昼飯をご馳走させてくれといつもの『魔界飯 新宿』に連れてきた。凄い遠慮してたけど。


「こんなお店があったんですね……。

 ゼンゼン知りませんでした」

「そうなんですか?

 凄く美味しいからてっきり有名だと思ってましたよ」


 イズミの疑問に、宣伝してないからなぁ、と大将が苦笑する。渋い。


「まぁ、人払いの結界も張ってあるからねぇ」

「カーミラ様……。それ秘密ですよ」


 なんかボソボソ喋ってるな。よく聞こえなかったが。


「じつは町外れに家を貰いまして。

 そこでお店を開くことになったんです。

 彼女は商品を作ってくれる錬金術師なんですよ」


 カーミラさんは笑顔で俺の紹介を聞いている。

 お辞儀するミライナ。


「可愛い錬金術師さんねぇ。私はカーミラよ。よろしくね」

「初めまして、ミライナです。まだまだ見習いですけど……」


 初々しいわねぇ、とカーミラさんの笑顔が深い。


挿絵(By みてみん)


『魔界飯 新宿』のおまかせランチはとてもパワフルだった。


 大皿でパスタ、ピザ、ミートボール、サラダ等々、山盛りで出てきた。

 大掃除で腹ぺこの俺たちには輝いて見えたね。当然、すこぶる美味い。


「お店を買っちゃうなんて、ヒジカタくんは甲斐性あるのねぇ」

「賃貸のつもりで話してたんですけど、いつの間にか分譲になってて。

 拾ったマンドラゴラが凄い値打ちモノだったみたいなんですよ」


 カーミラさんも一緒にテーブルを囲む。

 わいわいランチタイムだ。

 自称ヨーロピアンだけあってカーミラさんのナイフ、フォーク捌きは完璧だ。

 ううむ、勉強になるなぁ。マネさせてもらおう。


 この後は足りない日用品を揃えにいく予定だ。

 まずベッドだな。


「あら、それならイイのがあるわぁ。後で届けさせるわよぅ」


 いえ、いつも悪いですよ。と遠慮しようとしたのだが。


「お祝いだから気にしないのぉ。

 このトシになると、若い子の世話するのだけが楽しみになっちゃうのよねぇ」


 悪戯っぽい笑顔で押し切られた。ホントいつも有り難うございます。

 ここでトシを聞かないのが紳士の振るまいなんだろうなぁ。当然そうしますよ。はい。


 シロはテーブルの下で特製犬ランチをがっついている。

 大将が用意してくれたモノだ。

 この店はペット可なんだそうな。


「不可にすると入れないヒト達だらけになるんでな」


 大将が苦笑する。渋い。

 あのヒト達ですね。ペットどころかほぼ怪獣だったもんなぁ。


「ありがとうございました。凄く美味しかったです」


 ランチをたいらげて一息ついた後、ミライナは丁寧に礼を言って先に店を出た。

 明日からの準備と、組合が現在どんな有様なのか把握するタメだ。

 まだバトルは続いているのだろうか。

 かなり不安だ。


挿絵(By みてみん)


「じゃあ、わたし達も。

 まずは『商人』に就いてみますね」


 イズミが立ち上がって宣言した。ワクワクって感じだな。

 ステータスウィンドウを開いて職業選択リストを開く。

 その中から『商人』を選んで「これ」と呟いて指を押す。


 イズミの身体が一瞬白い輝きに包まれた。

 おおう?

 すぐにその光は消え、元の魔女っ子の姿が現れる。

 見た目は変化無し。

 ウインドウを見ると職業が『なし』から『商人』に変わっている。

 割とアッサリしてるな。


「次はスキルを選択します。

 『商売』と『査定』が取得可能になってますね」


『商売』はモノの売買や開店が可能になる基本スキル。

『査定』は対象アイテムの標準価格を確認するスキルだそうだ。

『査定』はアイテム名が判明してないと使えないそうだが、『鑑定』持ちのイズミには心配無用だ。


 うん。両方必要だな。


「では取得しますね。……あ、いけない」


 ウインドウを操作していたイズミが声を上げた。


「どうした? スキルポイントが足りないのか?」

「はい。この2つは取れるのですけど、『料理』スキルが……」


 なんだ、まだ取得してなかったのか。

 まぁ、使う機会もなかったけど。


「じゃあ、日が暮れたらLV上げに行くか。

 シロも鍛えたいしな」


 夜のバンパイアモードなら効率もいい。

 またオオカミとコウモリさん達にご協力願おう。


 そのシロはというと、カーミラさんの膝の上で毛並みを撫で撫でされて幸せそうだ。

 いいなぁ。美人の膝枕。


「女の子もいいけど、ワンワンも可愛いわねぇ。

 私も飼おうかしらぁ?」


 いちおう白狼なんですけどね。完全にペット枠だが。


「オオカミなの? じゃあ、大将の親戚ねぇ」

「ちょっとッ、カーミラさま!?」


 え、ナニソレ!?

 ひょっとして、大将も人間じゃないの?


「……秘密だぞ。まぁ、おいおいな」


 渋く笑ってごまかす大将。

 うーん、謎の多い店だよ。


挿絵(By みてみん)

誤字報告ありがとうございます。

修正しました。

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