051 ログアウト中
向こうで深夜零時。俺はいったんログアウトした。
リアルじゃ午後8時過ぎ。
次の8時間ログインに向けてのインターバル中なのだが。
…………。うわぁ。
美味かった。
完全に前回を超えていた。エネミーから眷族に転生したことでなにかが変わったのだろう。
イズミの血は、もはや筆舌に尽くしがたく美味であった。
しかしだ、そんなコトよりだ。
イズミが可愛かった。
ドキドキしっぱなしだった。
俺が触れるたびに表情が変わった。
くすぐったそうに洩らす吐息。
牙の痛みに歪む細い眉。
唇が触れてあげた小さな悲鳴。
凄かった。イズミ、メチャクチャ可愛い。
今はログアウト中だ。リアルの心臓なのにバクバクが止まらん。
あと1時間したら再ログインするのだが。
困った。どんな顔して会えばいいのか、見当もつかない。
困った。
バカみたい。あんなに必死になっちゃって。
わたし、ただのNPCですよ? AIですよ?
したいようにすればイイんですよ。
それをね。言われたからってね。
優しく、丁寧に、心を込めてね。
まるでお姫様でも扱うみたいにね。
バカみたい。
そんな風にされたら困っちゃうじゃないですか。コッチも。
イヤですよ? ホントは。
だけどね、『これまでで一番』とか『ずっと考えてた』とか言われちゃうとね。
なんか、それはそれで嬉しいというか。
イヤだけど、我慢したげてもイイかなー、とか思っちゃう。
うん、普通そうですよね。
脱いじゃったのはさすがにやり過ぎだったかも。はしたない。
まぁ、マスターが優しくしてくれたのでOKです。
触れられるたびにヘンな声あげちゃったけどOKです。
吸われた途端にフワッとなって腰抜けちゃったけどOKです。
そんでマスターのベッド占領しちゃって、椅子でログアウトさせちゃったけどOKです。
マスターのアバターそこで座ったまま居眠りしてます。朝までログアウト中ですね。
OKですよね?
嘘です。ゼンゼンOKじゃないです。
恥ずかしいです。顔見れない。どうしよう。




