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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
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005 冒険者ギルド

巨乳スキル持ち?

挿絵(By みてみん)


「これが報酬です。お受け取り下さい」


 ここは冒険者ギルドのカウンター。

 とっくに夜間営業だ。


 達成メダルと交換に銀貨10枚を差し出したのはギルド受付嬢。

 メガネでたわわな美人受付嬢さんである。


 わざとなのか制服なのか胸元がかなり開いている。


 う、目が、目が引き寄せられるぅ~。

 魅惑の谷間から発生する謎引力。

 俺は全精神力をもって抵抗に成功した。


「ありがとう」


 クールに報酬を受け取る。

 チラ見したのバレなかったよな?


 報酬は依頼票にあったとおりの銀貨10枚。

 ボーナス分はさっきもう食っちゃったけどね。

 ジンギスカン美味しゅうございました。


 依頼を達成したことで俺の貢献度も上がったはず。

 いずれはランクアップクエストを受注できるようになる。

 いつまでも初級じゃカッコ悪いしね。頑張らねば。


 しかし、嬢よ。

 それ胸元開きすぎ!

 視線そらすのが非常に苦痛なんですけど!

 メガネで巨乳なんて俺を殺しにきてるの?


 この人はNPCだから別に胸元ガン見しても問題はないと思う。

 だけどだ。人目というモノがある。

 実際ガン見していたヤツが掲示板で晒されたなんて噂も聞く。

 俺はそいつに同情する。

 見ずにいられるか! これ完全に罠だよ!


 システム上の制限で他プレイヤーやNPC、敵キャラにも不埒な行動はできない仕様になっている。

 セクハラ不可、というコトだ。当たり前だけど。


 ムリヤリなにかやろうとするとアカBAN、いわゆるアカウント削除まで罰則があるらしい。

 なら最初から見せるなよ!

 絶対しないけどさ! 絶対!


 受付嬢さんの危うい魅力についてはココまで。


 さてと、次のクエストはぁ、と。

 ふむ。あんまり珍しいのはないな。


 いや、俺自身はじめたばかりでゼンゼン弱い。それでいいんだけど。

 正直、しょっぱな羊クエは背伸びし過ぎた感もある。

 最後はRPGというよりアクションゲームみたくなったから、なんとか凌げたけど。

 俺、そっちの方が得意だし。


 正統派ボス戦なら死に戻ってた自信があるね。

 パーティでなくソロなんだからもっと慎重に進めた方がいい。地道に地道に。


 というワケで『薬草採集クエスト』。君に決めた!

 やっぱ基本にして王道だよな。

 明日の朝から薬草採集。

 うん。スローライフぽくってイイ。


 意気揚々と依頼票をボードから剥ぐ。

 クールに歩いてカウンターに提出した。


「はい。承りました。

 いますぐ納品されますか?」


 受付嬢さんが笑顔で返答。


 ……あ。


 俺、薬草もってるわ。たんと。

 ガジガジ草のドロップで。


 はぁ、と返事したら報酬をくれた。

 銀貨1枚。


 ひょっとしたら毒キノコもか、とボードを探したらあった。

 銀貨1枚。


 冒険者ギルドから出ずにクエスト2件達成。

 うん。得した、かな?


 否! 断じて否である!!


 この空振っちゃったワクワク感はどこに行けば良いのか!?

 俺の薬草採集クエを、のんびりスローライフを返していただきたい!


 亡くなった爺サマが言っていた。

 『楽』と『楽しい』は根本的に違う。

 この2つを同じ漢字で表しているのは日本語最大のバグであると。

 イージーとエンジョイは全く別物なのだ。

 むしろハードモードこそ楽しく、そしてトゥルーエンドに至るものなのである!

 パチパチパチパチ。


 ……だけどまぁ。

 この思いを受付嬢さんにぶつけても迷惑なだけだろう。

 俺、クレーマーじゃないし。

 別のクエストを探すか。


 しかし、どうもピンと来るのがない。

 こちとらソロなんで、あんまし手強い討伐クエとか困るのだ。

 装備も初期装備のまんまだしさ。


「なんか、珍しい採集クエストとかないですかね」


 掲示板は諦めた。受付嬢に尋ねる。


「珍しい、ですか……。

 ちょうどココにマンドラゴラ採集依頼が回ってきましたけど」


 おお、マンドラゴラ。ファンタジーっぽい。


「報酬も良くてオススメではあるんですが……。

 ヒジカタさん、犬はお好きですか?」

「好きですね。

 というか、生き物全般好きです」

「なら無理ですね。

 子犬を犠牲にするクエストなので」


 それは遠慮させてください。夢に見そうだ。

 あ、とっくに夢だった。



 おっと忘れていた。

 ヒジカタというのは俺のネームである。

 ちなみにリアルの名字をそのまんま使っている。

 ドカタと書いてヒジカタです。ヨロシク。


 とても遠い親戚に、京都で活躍した人斬りサムライがいる、かもしれない。

 かといって装備をカタナにするかは未定だ。

 ロマンは感じるけどね。


 結局、次のクエスト選択は明日の朝に回すコトにした。


 クエストは随時更新・追加されていくので、朝まで待てばイロイロ増えてるらしい。


 ちなみに夜間も外出はできるしクエストを進めてもOKだ。

 しかし出現モンスターが格段に強くなるので避けた方がいいと言われた。数も多いとか。

 他にもイロイロ危険が増えるそうだ。

 今の俺のLVと装備じゃ自殺行為だな。


 まぁ、いずれだね。

 もっとムキムキの重剣士になってから突撃してやろう。


 受付嬢に礼を言って冒険者ギルドを後にした。



挿絵(By みてみん)



 そして入ったのは近くの宿屋。もう夜も遅いしな。

 とにかく今日は宿を借りて一泊だ。


 ゲーム内でもちゃんと睡眠を取らないとステータスに変調が起こる。

 戦闘中にガクンと寝たり、集中力が途切れたりするらしい。

 ゲームなりに規則正しい生活が必要、というコトだろう。

 早寝早起きが大事?


 しかし、夢リンクゲームの中で更に寝るっていうのは……。

 二度寝は身体に良くないっていうが、コレは二乗寝だろう?

 ちょっと心配なんですけど。はい。

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