表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
48/651

048 相談

 しかし、ハッキリ言葉にすると照れるな。


 イズミが真剣だったから俺も背筋を正した。

 けど、やっぱ無理があるな。落ち着かない。

 イズミもそうみたいで沈黙が落ちた。


「あー、ちょうどイイや。スキルと職業で迷ってたんだ。

 よかったら一緒に考えてくれ」


 照れ隠しに振ってみた提案にイズミもコクコクとうなずく。


 手招くと隣に並んで腰掛けた。一緒にステータスウィンドウを眺める。

 この並びが楽でいいよ。

 見つめ合うのは緊張する。可愛い子なだけにね。


「たしかに無職は世間体がよくないですね。

 わたしもそうですけど」


 さらにホームも持ってないから住所不定無職だ。大丈夫か俺たち。


「実は、わたしは取得したいスキルがありまして……」


 イズミもステータスウィンドウを広げた。

 おお、結構LV上がってるな。

 採集しながら戦闘も頑張ってたようだ。働き者だな。


「『料理』スキルを取得してもよろしいでしょうか?」


 うん。わかってた。

 それに俺の許可なんていらないから。自由で。


「だけど魔法スキルや呪文を増やせば戦闘が楽になりますよ?」

「むしろ楽じゃない方が楽しい」

「……忘れてました。そういうヒトでしたね」


 ヘンなヒトを見る目はやめてください。これでも傷つきやすいので。

 ……ホントだぞ?


挿絵(By みてみん)


 いろいろ相談して、まず俺は『防御姿勢』スキルを取得した。アクティブスキルである。

 これは防御力を上げる、のではなく防御姿勢をとれるようになるスキルだ。

 戦闘中に『防御姿勢』を選択すれば、その間被ダメージを確実に軽減することが可能だ。

 いわゆる『身を守る』コマンドだな。


 俺の場合、殴る蹴るの攻撃は『回避』でさばいている。

 だがスティックの広範囲爆風やガーディアンの絶叫衝撃波とかは近距離では躱しようがない。

 そんな時がこのスキルの出番だ。ガードして踏ん張るのだ。


 それに以前、『怪力』を発動させた腕で呪文攻撃を受け止めたことがあった。

 アレを『防御姿勢』に上乗せできないかという期待もある。

 そうそう、他ならぬ『魔女』戦だ。吸血に目がくらんでムチャをやったものである。


 夜はいいが、昼間俺の防御力はまさしく紙だ。

 それをなんとかスキルで底上げしようという涙ぐましい工夫である。

 LVアップで増えたハズの最大HPが、一撃でレッドゾーンに突入するのは悲しいのだ。

 いつか『再生』スキルに怒られてしまう。


 あと、このスキルは前衛なら必須の基本スキルだ。後衛の仲間を背後に庇うこともできる。

 俺ももうソロじゃないからな。壁役もやらないと。


 後は職業なんだが。実は就職先については迷える余地がないのだ。


「マスターは『錬金術師』を目指すのでしょう?

 装備強化のタメ」


 まぁ、そうなんだけどな。


 陽光ペナルティ下での防御力アップには固定装備の強化が必須だ。

 それには俺自ら錬金術師になって『錬金術』スキルを取得するしかない。

 装備名に『吸血鬼の』と大書きされてるもんだからヨソ様に頼めないのだ。身バレしちゃう。


「だけど職業選択リストに『錬金術師』が無いんだよ」


 商人や農家、あと採集家に格闘家とかはあるのだが、肝心の『錬金術師』が無い。

 リストを開いたのが初めてだから今気付いた。


「履歴書送ったりしなきゃならんのかなぁ。錬金術組合に」

「世知辛いですねぇ」


 まったくだ。もしそうならファンタジー感ゼロだ。面接とかされても困るぞ。


 まぁ、どのみち依頼のマンドラゴラ届けに組合には顔を出す必要がある。

 その時に職員さんに訊こう。縁故採用とかあれば助かるんだけど。


「イズミはどうだ? 就きたい職業とかあるか?」

「……どうでしょう。

 リストには魔術師とかありますけど。もともと魔女ですし」


 種族魔女で職業魔術師じゃ面白みがないな。強くはなりそうだけど。

 本人も乗り気じゃなさそうだ。

 新鮮さがゼンゼンだもんな。


「効率とか考えずに好き嫌いで決めちゃっていいから。ゲームなんだし」


 ムムム、と首を捻って悩んでいる。

 まぁ、ゆっくり考えればいいよ。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ