043 ガーディアン戦
8/18更新3つめです。
ギィィィヤァァァァァァァァァァアッ!!!
「マンドラゴラ・ガーディアンは絶叫を放った」
耳をつんざく大音響!
同時に壁みたいな衝撃波に俺はぶっ飛ばされた。
イキナリの開幕絶叫攻撃。
容赦ないなッ!
HPバーが8割消えたぞ。急速再生待ったなしだ。
即死効果は弾いてるが素のダメージだけで瀕死だ。こりゃ手強い。
もう一発食らったらアウトだ。距離を取らないと。
ドスドスドスドス。
なんとその距離を走って詰めてきた。その足、どう見ても歩行に向いてないんですけど!?
短い足を豪快に踏みしめ突っ込んでくる。
俺は呪文を詠唱中だ。そこに巨体ごと回転するような右フック!
紙一重で回避。と思ったらそのまま左の裏拳が襲ってきた!
バックステップで避けたが横っ面をカスッた。
またHPがレッドゾーンに戻る。
『再生』頼む。こりゃ豪腕だぞ。
樹精もそうだったがコイツもパワーファイターのようだ。
絶叫はクールタイムが長いのかな。連発する気配は無い。
『影縛り』
影から湧き出た無数の柔腕が巨体を縛る。がんばれ。
『怪力』!
背を掴み足を強引に払ってドスンと顔面?から倒した。さてどうするか。
『吸血』
俺は倒れた背中にまたがって後頭部?らへんに噛みついた。
HPもそうだがMPが特にヤバイ。
この調子で『急速再生』を繰り返してるとあっという間に枯渇してしまう。
転がしたらすぐ吸うぐらいの勢いでいかないと。
ただそれだとMPを保たせてるだけで、勝負自体はじり貧になる。
更にどうダメージを稼ぐかなんだが……。
ガーディアンのお味はやはり和風だった。ピリリと辛味の強いワサビ大根みたいな味だ。
サンマとよく合いそうだ。チリメンジャコでもいいな。醤油が欲しい。
巨体にしがみ付くタメ頭部の葉っぱを掴んだ。肉厚な長い葉で掴みやすい。
「ギッ!? ギギッ!?」
巨体の手足がバタバタと暴れ出した。嫌がってる?
試しに、別のまだ小さい葉に持ち替えて思い切り引っ張ってみた。
根元からブチンと千切れた。
「ギッギィ!?」
巨体がなおさら暴れる。痛そうだ。
おお? ダメージも意外とあったようだ。
コレ、弱点か?
ギィィィヤァァァァァァァァァァアッ!!!
再びの絶叫。俺は取りついていた背中から跳ね飛ばされた。
だがダメージは軽い。
背中越しだったせいだろう。嬉しい誤算だ。
2度目の絶叫を食らい、転がして作ったチャンスも振り出しだ。しかし。
フフフ、これでだいたいの算段はついたぞ?
まず絶叫は背後にくっついてれば威力をかなり殺せる。
物理攻撃は両腕を回転させての連続パンチ。
片腕でも直撃すれば沈没必至の強パンチだが大振りで捌きやすい。
そして弱点だ。
アタマの葉っぱ。引っこ抜けばかなりのダメージが見込める。
くくく、毟りまくってやるぜ。
ただ、さっきは薄く小さい葉を選べたから簡単だった。
残りの厚くて大きい葉は『怪力』なしじゃ俺には引っこ抜けまい。
そうなると転ばせるのは『空気投げ』限定になる。カウンターをうまく決めないと。
『空気投げ』で転ばせて即『吸血』。
吸いながら葉っぱを掴んで吸い終わりに『怪力』で引っこ抜く。
よし。基本の流れはコレで。
立ち上がった巨体がドスドスと駆けてくる。重量感が凄い。
こちらは脱力して待機だ。
あの両腕回転攻撃を掴まえるのだ。落ち着けよ、俺。
クールタイムの長い絶叫を跳ね飛ばしに使わせてしまえば、コイツは殴りかかるしか手が無くなる。
そして力任せの接近戦は『空気投げ』の土俵だ。
極太の右フックが俺の顔面を襲う。そしてその裏側では左腕が次の裏拳を準備しているはずだ。
しかし次は待たない。
俺は一歩踏み込み巨体の懐に飛び込んだ。
『空気投げ』
俺がいた空間を豪快に薙ぐ右腕。これを内側から掴まえ体捌きを合わせる。
彼我の勢いを同調。一緒に回りながら向こうの回転軸をこちらに移す。
軸の移動した回転はガーディアンの巨体を簡単に浮かび上がらせた。
ドッスゥン!!
地面に顔面から叩きつけられた巨体。
その背中に俺は飛びついた。
覚悟しろよ? ガーディアン。
何十回でも繰り返してやるからな。俺はしつこいのだ。




