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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
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004 『魔界飯 新宿』

やっと新キャラ登場。

「いきなり、スイマセン!

 ジンギスカン食わせてください!!」


 オトコは度胸だ。

 店に飛び込み、俺は叫んだ。


「羊肉はあります。これをゼンブ差し上げます!

 だからジンギスカンを!!」


 カウンターまで駆けよる。

 俺は積載量無限のウエストポーチから『羊肉☆3』を取り出しドンと置いた。


 カウンターの向こうには店の大将らしき料理人。

 とても渋い親父さんが丁寧に焼き鳥を焼いている。これも美味そうだ。


 彼はその渋い視線で俺を見た。

 次にカウンター上の30キロはありそうな羊肉の塊を見た。

 最後にまた俺を見た。


 そしてニヤリと笑った。

 無言でサムズアップ。

 ありがとう大将!! 話が早いぜ!!



挿絵(By みてみん)



「ご歓談中の皆様! 

 こちら新人剣士のイキな計らいで、これよりジンギスカン食べ放題!!

 若き英雄の今後の活躍に、どうぞ祝福と乾杯を!!」


 大将の高らかな宣言。


「「「「「おおおッ」」」」」


 店中のお客さん達がどよめいた。

 そしてさらに。


「酒は私が奢っちゃうわぁ!

 今宵は飲み放題よう!!」


 カウンターにいた銀髪美人シスターが、立ち上がってジョッキを振り上げた。

 煌めく銀髪と金色のビールジョッキ。


「「「「「うおおおおおおおッ!!!」」」」」


 酔っ払いの皆様が叫ぶ。


 乾杯!!


 俺もジョッキを振り上げ唱和した。とりあえずナマ。

 リアルじゃ未成年だがココじゃ関係ない。ゲームだし。

 人生初の飲み放題チャンスに全力で突撃なのである。


「おねえさんッ、ゴチになります!」

「おうッ、ガンガン飲みなさい新人くん!」


 ジョッキを煽ってゴクゴク飲み干す。

 うーん、苦いぜ!





 ………………は。


 目が覚めた。ココはどこだ。


 気がつけばテーブルに顔面から突っ伏していた。

 アタマを上げるとフラってきた。

 ああ、寝ちゃってたのか。


 ジンギスカンをたらふく食って、初めて酒をガブガブ飲んだ。

 そして酔っ払いの皆さんと大いに語ったあげくに爆睡してしまったらしい。


 スゲー楽しかった。


「あら、お目覚め?」


 銀髪シスターが笑いかけてくれた。


 銀髪碧眼の夢みたいな美人だ。いかにもファンタジー。

 手には琥珀色のグラス。

 ウィスキーかな?

 凄いな。まだ飲めるのか。


 この美人さんはカーミラ姐さん。

 今夜の飲み代をゼンブ持ってくれたナイスミズである。


 俺と同じテーブルで、アレコレ酒の飲み方をレクチャーしてくれた。

 たいへん勉強になりました。


「はい。ありがとうございました。

 スゲー楽しかったです!」



 初酔いに 足を取られた 春の宵


 うーん、いい夜だ!



 俺は陽気な酔っぱらいの皆さんにアタマを下げ、店を出た。


「「「「「祝福を!!!」」」」」


 笑い声が幾つも重なって背中を押す。


 うん、いい人達だ。

 絶対また来よう。


 お酒っていいな。早く大人になりたいぜ。


 しかし、あの人達はプレイヤーなのか。

 それともゲーム内だけのNPC?

 なんかそれぞれに深い設定があるようで、イロイロ面白い話をしてくれた。

 神話とか伝承とか童話とか神様の悪口とか。


 そこだけ取ればゲーム内で役割を演じるNPCなんだろう。

 だけど話した感じは完全に生きた人間だった。

 あらかじめ設定を決めてある濃いプレイヤー。そんな感じか?

 アバターも凄い変わってたしな。

 モンスターにしか見えないヒトも結構いた。

 それも邪神とか大悪魔とかのラスボス級の。


 ううむ。

 このゲームは奥が深いな。


 そもそもカーソルがないから、プレイヤーかどうかも見分けようがないし。

 ま、陽気ないい人達だった。それが全てだよ。


 おっと、忘れてた。


 冒険者ギルドに行かないと。

 依頼達成の報告だ。


 多少、お酒くさかっても怒られないよね?

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