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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
39/651

039 マスター。頑張ってくださいね。

8/15更新6つめです。

 素朴な田舎道を2時間ほど歩き、俺たちは『叫びの森』の入り口に到着した。


 途中、何度かエネミーと遭遇戦があったが無事に蹴散らした。

 強さは植物コンビ以上、オオカミズ未満といった感じ。

 昼の俺にはイイ苦戦だ。

 イズミはまた『ファイア・ボール』連発してたけどね。

 時間も無いし、まぁいいよ。


 森番の拠点はガッチリした山小屋だった。

 周囲には柵もある。

 冒険者ギルドと錬金術組合の共同拠点だって言ってたけど。


 そこそこ大きいし結構な人数でも寝泊まりできそうだな。

 いざとなったら頼み込んで泊めて貰おう。


挿絵(By みてみん)


「ようやく来たか。よし、犬も連れてるな」


 大声で呼びかけられた。

 えらくマッシブでイカツイおっさんだ。

 職員さんの言ってた『森番』のヒトなんだろう。

 凄い強そう。殴られたら死ぬな。


「何度か犬も連れない冒険者がきたが、ゼンブ追い返した」


 いや、丁寧に扱ってほしかったです。

 彼らは心優しい人達なので。


「悪いが規則だからな。

 もう昼過ぎだ。時間も無いのですぐ説明するぞ。

 この地図を見ろ。群生地はココだ」


 なかなかに奥地でかつ、分かりにくい場所だ。

 そりゃ一見さんじゃ無理だろ。


 他にもイロイロご指導いただいた。

 マンドラゴラ掘るには幾つか決まり事があるらしいのだ。


 さて、写しの地図ももらって準備は整った。

 急ぐか。時間も無いし。


「じゃあ、マスター。頑張ってくださいね。

 わたしとこの子はココで待たせてもらいますので」


 え、俺ひとりで行くの?


「そうですよ。

 遊んでるのもナンですから素材の採集でもしてますよ。

 イロイロ珍しい素材もあるそうですし。

 お前も手伝ってくれるでしょう?」


 ワンッとイイお返事。いつの間に仲良くなったキミタチ。


「ちょっと待て。ナニを言っている。

 犬抜きで行かせるワケにはいかんぞ。

 マンドラゴラを舐めるなッ」


 マッシブ森番さんが慌てて俺の腕を掴んだ。

 凄い力だ。見た目通りだな。

 骨がきしんでるって。いだだだ。


「このヒトはレアスキル持ちで滅多なコトじゃ死なないんです。

 大丈夫ですよ。特に呪いや即死には特効なので」


「ぬ。レアスキル持ち……。しかも耐性系か?

 うーむ。しかし……」


 ……そうだな。マンドラゴラは呪いの絶叫で相手を即死させる恐るべき作物だ。

 農協でも扱えまい。


 いっぽう、俺は新米だが吸血鬼。

 最初から呪われてるようなモノのアンデッド系。

 イヤな事実だがゾンビやゴーストと同系統の魔物なのだ。

 呪いの即死絶叫、大丈夫かもしんない。うん。


「心配は無用だ。番人さん。

 俺はそういうのに滅法耐性がある。

 絶対に大丈夫。それに」


『怪力』! 


 俺は逆に森番さんの腕を掴み、その巨体をフワリ持ち上げた。

 そのままゆっくり下ろす。

 森番さん、目をパチクリさせてるな。

 ごめん、驚かせて。


「俺は見た目よりよっぽど力があるんです。

 ひとりでも大丈夫」


 一瞬だけだけどね。

 まぁ『怪力』もLVアップして出力とか上がってるのだ。大丈夫だろ。


「それよりこの二人を世話してやって貰えませんか。

 俺が帰ってくるまで。

 森の浅いところで採集とか教えてやってください」


 この筋肉マンがイズミ達についてくれるなら安心安全だ。

 俺もマンドラゴラに集中できる。


 それにだ。


 イズミの企んだこのプラン。

 それを担保してるのが俺のタフさであるのなら、是が非でも応えねばなるまい。

 マスターだからね。いちおう。


 さて行くか。


 問題は、実はオールステ1の激烈弱キャラなことだが。それは根性でカバーだ。

 為せば成る! 俺の空気投げが唸るぜッ!!


「……マスター。ご無事のお帰りを」

「おう。採集は任せた」


 ジト目と気合いを交換し、俺たちはふた手に分かれた。


挿絵(By みてみん)

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