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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
34/651

034 『鑑定』スキル

挿絵(By みてみん)



「あれ? マスター、ちょっとヘンですよ?」


 ドロップ品を鑑定してたイズミが呼んできた。

 薬草と毒キノコしか出ないのに一つ一つ鑑定してるのである。真面目な子だね。

 鑑定スキルのLV上げもあるのだろうけど。

 ああ、俺も欲しかった。


「この薬草ですが拾ったときは☆1だったのが、鑑定したら☆2になりました。

 品質が上がりましたよ?」


 うーん?

 鑑定したら品質が上がった?

 それはおかしいぞ。そういうスキルじゃないだろ?


「最初から☆2だったんじゃないのか?」

「いえ、間違いなく☆1の表示でした」


 そこに疑いはないようだ。そうなると……。


「ひょっとしたら、未鑑定のアイテムはとりあえず☆1の評価が付いちゃうんじゃないのか?

 で、鑑定したらホントの評価が出る」

「……その可能性はありますね」


 そういえば通常ドロップで☆1以外のアイテムは見たことがないな。

 レアドロップでなら『オオカミの尻尾☆2』があったけど。


「前に拾ったドロップ品も、試しに鑑定してみないか?

 ひょっとしたらお値打ち品が混じってるかもしれない」


 しかし、そんな話は聞いたことがないけどな。

 いかに『鑑定』がレアスキルでも、情報として普通に出てくるだろうに。


 そもそも薬草や毒キノコなんかのレア度の低いアイテムは、鑑定しなくても名称は分かる。

 鑑定すればより細かな情報や使い途などが判明するが、一般的なアイテムはその部分も周知されていてワザワザ鑑定する意味が薄い。

 しかも店で鑑定を頼むと有料なのである。どんな安価なアイテムでもだ。


 そんなワケで一般的なアイテムは、未鑑定のまま取引されるのが普通になっている。

『鑑定』持ちのプレイヤーは稀少で、やはりタダで時間を割くようなコトはしたがらない。

 結果『鑑定』の機会はさらに減る。

 現状、安い鑑定はしない前提でプレイヤーは動いているのだが。


「やっぱり☆2がまれに混じってます。

 この尻尾なんか☆2から☆3に化けましたよ」

「☆3は凄いな」


 オオカミのレアドロップだ。

 最初から☆2あって嬉しかったから覚えている。


 ☆が増えると、売却価格はもちろん素材としての価値が段違いに高くなるらしい。

 俺はまだ、武器も防具もオーダーメイドしたことないから詳しくは知らないが。


 さて、問題は理由だな。

 鑑定持ちが情報を止めているのか。

 それとも運営がコッソリ仕様を変えたのか。

 どのみち『鑑定』の価値がさらに高騰するな。



挿絵(By みてみん)



「イズミ。この結果はしばらく他言無用だ。いいな」

「なるほど。

 未鑑定のアイテムを大量に買い集め、品質の高いモノを選別して利益を上げるんですね。

 悪いコト考えますねぇ」


「いや、それはやらないから」


 ちょっとは考えたけどさ。確実に儲かるし。


「それをやっちゃうとお前が『鑑定』持ちなのがバレる。

 そうなったら妙なコトを考える奴が絶対に出てくる。それは避けたい」


 ハッとした顔で俺を見返す。

 レアな表情だがいつものジト目がいいな。安心感がある。


「嫌だろ、お前も。ヘンなストーカーみたいなのに付きまとわれたら」

「ゼッタイ嫌です。秘密にします。『鑑定』も秘密で。

 じゃあ、この品質高めのアイテムはどうします?」

「それは一応ストックしといてくれ。

 冒険者ギルドや店に渡すのは☆1限定で」


 俺たちだっていずれは品質の高い素材が必要になる。

 その時に使えばいいさ。



挿絵(By みてみん)

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