表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
28/651

028 眷族

挿絵(By みてみん)



「なるほど。これがマスターのお好みですか?」


「違うからね。サイズ的にコレしかなかったからで、

 別に俺の性癖がどうとか関係ないからね。ゼンゼン」


「ご主人様とかお呼びすべきでしょうか?」


 やめてくれ。目覚めてしまいそうだ。

 しかも似合ってるんだ、これが。


 深紫のメイド服と薄紫の肌がよく調和してる。

 薄灰の髪も落ち着きがある。目に優しいメイドさんだよ。


 メイド服は受付のオバチャンが若い頃着てた制服なんだそうな。

 コレで旦那を捕まえたとか、訊いてもない情報までくれて困った。


 しかし宿屋でメイド装備一式が買えちゃうとはね。

 このゲーム融通が利くにも程がある。

 防御力もそこそこあるし。

 エプロンとカチューシャもくれたが今はやり過ぎだ。しまっとこう。


「それではマスター。ご命令を」


 は? 今度はナニ?


「眷族としてお仕えするのがわたしの存在意義です。

 ご命令がなくては困ります」


 俺は手を上げた。


「ごめん、質問。ケンゾクてなに?」

「!? ご存じないのですか!?」


 うん。リアルじゃ聞かない言葉だ。


「わたしはマスターの『眷族化』スキルによって、

 コンなことになってしまったのですよ?

 その当人がご存じないと?」


 呆れ顔もカワイイですよ?


 うーん。そのスキルも初耳なのだけど。確認してみるか。

 一緒に見てもらおうか。ステータスを可視化して、と。 


『眷族化LV1』


「ありゃ、確かにあるな」

 いつの間に生えた? 検証バトルに夢中になりすぎてたか?


「! ナンですかこの、冗談みたいなステータスは!?」


 イズミさんがアングリ口をあけて驚いている。

 ステ1が鉄板ネタになってるな俺。

 気軽に披露できないのが残念だ。


「あぁ、俺、昼は弱いよ。吸血鬼だから」

「弱すぎでしょう!?」


 最近、だからこそ面白いのだけどね。戦闘の緊張感がもう。


「とんだマゾヒストですね。なんでこんなヒトが主人なのか……」


 マゾはちょっと言い過ぎだろう。

 ガジガジ草に叩かれても気持ちよくなんかないぞ? まだ。



挿絵(By みてみん)



「簡単に言えば、眷族とは強い繋がりをもった従者のコトです。

 血縁のある集団を指すこともあるようですが」


 呆れながらもイズミは説明をしてくれる。イイ子だ。


「わたしはマスターにお仕えするようシステムに規定されています。

 裏切ることはありませんし出来ません。遺憾ながら」


 遺憾ながら多いな。


「ただし『吸血鬼の眷族』になにか特別な意味や規定があるかどうかは存じません。

 今の説明はあくまで一般的な語彙です」


 ふむ。つまりイズミは眷族として役割を振られているが、吸血鬼うんぬんについては知らない。ということだな。


「よし。それじゃあ詳しいヒトに聞きに行こう。

 ついてきてくれ」


 俺としては可愛い道連れができたようで嬉しい。ソロだったし。


 だが、それが彼女に苦痛を与えているのなら不本意だ。

 ちょうどいい落とし所を見つけないとな。



挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ