184 言うはヤスシ、行うはキヨシ
「だけど、なにやってたんですか? マスター。
ニワトリをコロコロ転がしたりして」
なにって、追撃だよ。さっきも話してたろ?
「倒れたニワトリさんをいじめてたように見えましたけど」
なんと心外な。いじめとは人聞きが悪い。
そんなコトしません。
「『空気投げ』を利用して行動キャンセルを試してたんだよ。
起き上がりも反撃も封じてただろ?
とりあえず成功だな」
「そんなコトもできるんですか。便利ですね『空気投げ』」
「ああ。イロイロ応用が利きそうだ。要研究てとこだな」
ステ1の制約から選択の余地無く取得したアーツだったんだが。
なんというか、攻防一体というのかな?
相手の力を利用する技というのは、なんだか達人みたいで気持ちいいのだ。ぜんぜん弱いけどさ。
強い力を利用して大きなダメージを与える。
小さな力を利用して細かくキャンセルを重ねる。
ステ1な昼だからキャンセルしか出来なかったが。
ハイスペックな夜ならば、相手の弱い部分に打撃を与え続けることも可能かも知れない。
破壊力のある攻撃を弱点に当てれば硬直を誘える。
それを次々繰り出せばチェーンコンボ。最終形が『乱舞』だ。
ふふふ、目指すぜ。超必殺技!
「まぁ、『言うはヤスシ、行うはキヨシ』だ。
とにかく練習しないとな」
「それって『言うは易く行うは難し』じゃないんですか?」
「それが違うらしいんだよ。爺サマがよく言ってたんだけど」
ヤスシと言えばキヨシが鉄板らしい。よく分からんが。
「まぁ、爺サマはかなり適当なヒトだったからな。気にするな」
「いいんでしょうかね?」
「わうん?」
魔女と子犬が揃って首をかしげている。可愛いじゃないか。
とりあえずヤスシとキヨシは置いといてだ。
「イズミは『ロック・シュート』のタイミングがイイ感じになってきたな。
投げ落としとほぼ同時じゃないか?」
「うふふ。タマゴのためですからね。やる気も違いますよ。
良いタイミングで放つと威力も上がってるみたいなんですよ?」
へぇ。ひょっとして『連携』の効果かね。
『共同作業の結果や威力にボーナス』とあったからな。
『投げ』+『ロック・シュート』で連携コンボ成立してるのだ。
ダウン、または硬直中の連続攻撃が条件と思われる。
「よしよし。これからも連携メインだ。ガンガンいこうぜ!」
「まぁ、みんなで頑張りましょうかね。
小さなコトからコツコツと」
「わうん!」




