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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
178/652

178 恥じらいと騎乗

 さて、関係者各位への挨拶は済んだ。

 目的地までの地図もギルドでもらった。


 始まりの町を出て、街道を西へ『黒土山』へ向かう俺たちなのだが。


「おーい。いつまで照れてるんだよ」

「わうぅ?」

「うぅぅ。だってぇ……」


 イズミがずっとそっぽ向いている。


 怒ってるわけでは無い。

 顔が赤い。照れてるのだ。


挿絵(By みてみん)


 カーミラさんに『義務を励みなさい』と発破かけられたのが恥ずかしいらしい。

 ずっとゆでダコだ。


 ナニを今更。

 バニーさんやセーラー服に比べればそよ風のようなものだろうに。


「夜に二人きりならいいんです。

 朝からヒト様に言われちゃったのが恥ずかしいんですよぅ……」


 ポイントがよく分からん。


 特にカーミラさんなんて身内もイイトコだろう。

 吸血鬼の大ボスっぽいし、イズミを娘か孫みたいに可愛がってくれてる。

 親戚みたいなもんだ。


「だからこそ恥ずかしいんです。

……マスターにはわかりませんよぅ」


 またそっぽ向いた。うーむ。分からん。


 埒があかんな。

 いいや、このまま乗せてこう。


「そろそろひと目も無くなったな。シロ、頼む」

「わうッ!! グワオーンッ!!!」


 雄叫び一閃、眼前が白煙に包まれた。


 晴れた視界を圧する巨大なケモノ。『巨狼変化』だ。


「よしよし。次は『鞍』の出番だな」


 よいしょ。

 俺がウエストポーチから取り出したのは従魔用の『(くら)』だ。

 アイテム名を『騎獣の鞍☆1』という。

 かなりソフトなレザー仕様。けっこうデカい。


 冒険者ギルドによった後、ふと思いついて覗いたペットショップで見つけたのである。


 ぱっと見、競走馬が着けてるまっとうな鞍なのだが、実は大型従魔全般に使える優れものである。

 ロバのパン屋からドラゴンまで、どんな騎獣にもフィットする魔法の鞍なのだ。

 ドラゴン見たこと無いけど。


 かなり高かったけどな! 


 錬金堂の利益が半分飛んじゃったよ!


 しかしその価値は充分だ。

 乗馬の経験とか無くてもラクラク騎乗出来るようになるのだ。戦闘もバッチリ。


 移動手段に早期投資はRPGの基本なのだ。


『騎獣の鞍☆1』を身を伏せた巨狼シロの背中に乗せる。


『鞍』は自動でピタッとフィットして、ギュッと締まった。

 シロを見ると不快な感じはないようだ。絶妙の装備具合。さすがマジックアイテム。


 まずイズミを乗せてから、俺も騎乗した。

 手綱はない。従魔だから口頭で指示するカタチだ。

 足を乗せる(あぶみ)はある。

 鞍の前部分には手で掴まるための固定ベルトも通っている。安定して乗れそうだ。

 乗り心地も良好だ。長時間もいけそうだな。


「イズミ、窮屈じゃないか?」

「ゼンゼン。もっとくっついても大丈夫ですよ?」


 鞍自体は柔らかくて割と広い。

 最初から複座が前提なんだろう。

 二人で乗っても余裕がある。


 シロが立ち上がった。おお。視界が一気に高くなるな。


 ふふふ。


 白い巨狼に騎乗して冒険の旅。そんなアニメ映画あったな。

 これこそゲームならではだ。胸が躍るぜ。


挿絵(By みてみん)


「さあッ、レッツゴーだ、シロッ‼ 目指すは『黒土山』だ‼」 

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