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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
176/653

176 『魔界飯 新宿』と『悪鬼羅刹』

挿絵(By みてみん)


「どーも、お邪魔します」

「おはようございます」

「わうッ」


 暖簾の降りないナゾの居酒屋『魔界飯 新宿』。


「あーら、おでかけかしらぁ?」

「いらっしゃい」


 早朝でもカーミラさんは皆勤賞だ。ここに住んでるのか?


「モーニング2つとワンコセットください」

「あいよ」


 大将のモーニングセットは絶品なのだ。居酒屋とは。


「これから山に籠もって特訓するんです。

 自分の貧弱さを思い知らされまして」

「あせっちゃ駄目よぉ? 若いんだから」


 バンバン背中を叩いて励ましてくださる。あざっす。


「で? イズミちゃんやられて『悪鬼羅刹』発動したって?」

「はぁ。お恥ずかしい話で」

「ウンウン若いわねぇ。仲良くやってるようで嬉しいわぁ」


 とてもいい顔でうなずいてらっしゃる。こそばゆいです。


「『悪鬼羅刹』はちょっと困ったスキルなんだけど、それを発動できる子は滅多にいないのぉ。

 ヒジカタくんてば、優しい顔して意外とヤンチャくんなのねぇ」

「はい。結構イジワルでケダモノですよ? 夜は」


 イズミさんや。そういうコトをしれっと言うんじゃありません。


挿絵(By みてみん)


 カーミラさんが鑑定してくれた『悪鬼羅刹』の具体的な内容は以下の通りである。


 ・スキル所持者が強い怒りに支配された段階で発動。

 ・暴走状態で敵味方関係なく、近いモノに襲いかかる。

 ・全ステータス大幅に上昇。

 ・戦闘終了後、全ステータス最低値に下落。回復に6時間。

 ・スキルLV上昇で、暴走状態が固定になる可能性がある。


 完全にバーサーカーじゃないですか⁉


 しかも最後のスゲーおっかないんですけど⁉

 なんですか暴走状態固定って。完全に討伐対象です。


「常に怒ってるDVオヤジみたくなっちゃうってコトでしょうか」

「エネミー役には ぴったりねぇ」


 そりゃエネミー役はそうですけども。俺、プレイヤーなんで。


「危ないのは暴走状態で『眷族化』が追加発動しちゃった場合。

『眷族化』には主人の人格が大きく影響するからねぇ。

 暴走状態で作った眷族は理性のない似非ゾンビでしかないわぁ」


 イズミに聞かされた『ゾンビパンデミック』てヤツだ。

 B級映画もいいとこだ。ゼッタイに発動させちゃいかんな。



「もしゾンビを作っちゃったら、どうすればイイですか?」


 万が一のこともある。知っとかないとな。


「滅ぼしてあげるのが慈悲ねぇ。

 そのコにとってもイイコトはナニもないし」


「もしプレイヤーをゾンビにしちゃったらどうなります?」

「呪い属性の状態異常、てことになるかしらねぇ。

 解呪するか死に戻れば元に戻るわぁ。

 それまでは操り人形状態ねぇ」


 ヨカッタ。勝手に転生させてしまうワケじゃないようだ。


「正式な『眷族化』には幾つかの条件と『始祖の祝福』が不可欠。

 ちゃんとした『眷族』はそう簡単には増えないわよぉ」

「じゃぁ、わたしの場合も?」


 イズミが自分を指さした。


「全力で『祝福』したわよぉ?

 張り切っちゃった。

 NPCの眷族ちゃんなんて初めてだったし」


 てへッ、とお茶目にウインクするカーミラさん。


「ありがとうございます。お陰で毎日が楽しいです」

「うふふふふ。可愛い眷族ちゃんが増えるのは大歓迎よぉ?」


 お辞儀するイズミをカーミラさんは抱き寄せた。優しい目だ。


「子が親の所有物でないように、眷族は主人の所有物じゃないの。

 貴女は貴女で独立した人格。気ままに自由に楽しみなさいな」


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] 敵味方関係なく、近いモノに襲いかかる...か... シロは運がいいですねー
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