171 謝罪の方策
「ミライナさん。ご相談したいことがあるのですよ……」
「はい?」
なんでしょうか。イズミさんが真剣です。
ここは商店街の和菓子屋さん。
中にしつらえた席で、私達はお茶とイチゴ大福を頂いています。至福の甘味です。
「わうッ」
シロはきびだんごをパクついています。
顔中、きな粉まみれです。後で拭いてあげなきゃ。
錬金堂恒例の食べ歩きにご一緒しているのですが。
「実は寝ているマスターにちょっとだけ悪戯しまして。
明日、ログインしてきたら怒られると思うのですよ……」
「私、ヒジカタさんが怒るとか想像できないんですけど」
ヒジカタさんはかなり寛容なヒトだと思います。
なんでも笑って許してくれそうなイメージがあります。
「いえ、それは確実に。ちょっとやり過ぎました」
いったいナニをしたんでしょうか。
「駄目なのです。夜、『義務』の時間になると。
自分が怖い」
本当にナニをしたんでしょうか。不安になってきました。
「さすがに乳首は、乳首グリグリドリルは一線を超えています」
いったいナニをしているんですか、イズミさん!?
なんですかドリルって?
乳首ってヒジカタさんの?
「えーと、ドリルはともかく……。
怒られるのが確定してるなら謝るしかないんじゃないかと」
「はい。それで、どう謝罪するのか相談に乗ってほしくて」
なるほど。私で良ければいくらでも乗りますよ?
10分後。私達は服屋さんに来ています。
何故、服屋さん?
「やはり、ログインいきなりで主導権を握れる衣装が必要ですね」
とイズミさんが言い出したからです。
謝罪するんじゃなかったんでしょうか? 主導権とは?
「ひと目でマスターの度肝を抜き、かつ興奮させ得る選択は…」
うーむと悩みながら、イロイロな衣装を試しています。
だけど、その選択というのが。
露出が凄い衣装ばかりです。
「あの、謝罪ならいつもの服装でいいんじゃ……」
「最初のインパクトで押し切るコトが重要なんですよ?」
インパクトとは? もう私にはわかりません。
「わたし一人じゃ恥ずかしいので、ミライナさんも着て下さいな。
ほら、ご一緒に」
えッ、わたしも? いえ、関係ないですよね?
わわッ。試着室に引きずり込まれました。凄い力です。
そういえば冒険者でした。
「いいからいいから。
む、ミライナさん、意外と胸ありますね。
わたしより大きいですよ? 将来は巨乳メガネですか?」
え、ちょっとッ、脱がさないでください⁉
それ、水着ですよね⁉




