168 昼休み
「やっぱりイズミちゃんに変なプレイを強要してる、って聞いたんだけど」
「おとなしく白状するのよ。犯罪者」
「逆だ。俺は完全に被害者だ」
昼休み、飯を食い終わった俺に東条と西崎が詰め寄ってきた。
「イズミちゃんに乳首を弄らせて愉しんでるそうじゃないか」
「アレを愉しめるほど俺は高レベル紳士じゃない」
どんな倒錯プレイだ。
……いや、このまま調教され続けばそうなりかねんぞ?
「イズミが俺のアバターを弄くり回して遊んでるんだよ」
「イズミちゃんが? まさか?」
「そんなワケないでしょ」
信じてくれない。
イズミは外面がいいから信用高いな。
「お前らは夜のアイツのハッチャケっぷりを知らんのだ。
あいつ、メチャクチャだぞ?」
えー?、と二人とも不審の目が取れない。
「そもそも、俺が妙なコトすれば即アカBANだよ。退場処分だ」
「じゃあ、なんでイズミちゃんがそんなコトするんだよ」
「知らん。本人は『独り寝が寂しいから』とか言ってたけど」
「独り寝って……。あんた達、普段いったいどんなコトしてるの?」
う。痛いトコロを。
『吸血』とか説明できんし。
「詳しくは話せんが、俺とイズミは健全で円満だ。
エロいことも無理強いもしていない」
イズミがやってくるのも、ビックリするがエロイ感じでは無いのだ。
子猫が親猫の尻尾をいじり回しているというか。
そんな感じの戯れつき以上のモノでは無い。
さすがにバニーとかは俺が冷静でいられないけどさ。
それでも『吸血』以上のことはしてないのだ。かろうじて。
「なんなら本人に聞いてもらってもイイぞ。アイツもそう言うハズだ」
そう、だよな? イズミ? 妙なコト口走らないよな?
「まあ、お前がそこまで言うのなら。信じるけどさ」
「うーん。あんまり疑うのも悪いけど、私はまだ心配」
西崎、いやサッチーはイズミを殊に気に入ってたからな。昨日。
「お前の気持ちも分かるが、イズミは俺にとっても大事な相棒なんだ。
妙なコトはしないって」
むしろ妙なコトをされている。アイツを疑ってくれ。
「そもそも、アイツは大人しく被害者やってるようなタマじゃないぞ」
「むううう。ホントに強要とかはしてないのね?」
「誓う。ゲームの神様に誓います」
つか、ゲームの神様には是非イズミを説教してやって欲しい。
そして乳首の神様に謝罪させて欲しい。イジリ過ぎです。




