162 シエスタとマラソン
午後の営業も忙しかったですね。
『傷薬☆2』販売に素材の買取にと。
午後3時で本日の営業終了。
ミライナさんも『マナポーション☆2』完成したのでひと休みです。
そう、昨日から導入のシエスタです。
お茶とオヤツを頂いてリラックスしてから。
今日はわたしのベッドで、2人とシロで横になります。
すっかり夜はカンオケ部屋で寝るようになっちゃいましたからね。
お昼寝部屋に解放なのです。
「あぁぁ、最高……」
「気持ちいいですねぇ。シロ、いい仕事してますよぉ……」
「わふぅうん……」
ミライナさんに腹毛をモフモフされて、シロも気持ち良さそうです。
『鑑定』『査定』の連続で減ってたMPも少しずつ回復していきます。
あと数字には出ませんが、他にもイロイロ疲労があるのですよ?
半日接客やってますとね。気疲れといいますか。
だけど、そういうのもジュワァッと溶けていきます。
「すやぁ」
「くふぉぉ」
ミライナさんとシロが寝息を立て始めました。
わたしも本格的に休むとしましょうか。
目覚ましかけて、と。
それじゃあ、マスター。おやすみなさい……。
ぜーはーぜーはーぜーはーぜーはー…………。
走りきったぜ、通学路。
昨日よりかなりタイムが短縮できている。
だけど、やっぱり結構ツラいな。まだ2日目だし。
すれ違う早出の教師に会釈しながらシャワー室に向かう。
絶対、体育系の部活ボーイだと思われてるよ。
「おッ、頑張れよッ」
とか励ましてくれるのだが。
スミマセン、ただのゲーマーです。
昔は一時期『eスポーツ』、とか脚光浴びた時代もあったらしい。
されども、勝ち負け競う格闘やレース系ならともかく、俺はVRのRPG。
しかものんびり生産職です。
他人様に褒めて頂ける要素はまったく無いのだ。
そう。努力や汗とも栄光とも、まったく無縁のRPGなのである。
……なんで俺は、現在進行形で汗だくになってるんだろうね?
まあいい。深く考えるな。
何事も本気でやれば汗だくになっちゃうのだ。
それが青春なのだ。
誰も褒めてくれないけどさ。
「………そんなコトないですよ?」
うん?
誰かなんか言ったか?
誰も居ないけど。空耳かな?
まあ、いいや。
神サマは見てるというコトだろう。
たぶん、ゲーム廃人の神サマが。
よし、サッサとシャワー浴びて教室いくぞッ。
リアルを攻略だッ!




