153 生産の道は険しい
『傷薬☆3』の量産は成功し、俺たちもスキルLVがアップした。
もう傷薬の作成で困るコトはないだろう。
なにしろ☆3の作成者なのだ。
ふふふ。そう思うと欲が出てくるな。
「ミライナ先生、☆3の素材がいくつかあるらしいんだ。
こうなったら『傷薬☆4』に挑んでみたいんだけど」
「オススメしませんね。絶対に失敗しますよ」
断言されてしまった。
意外。優しいミライナ先生としては珍しい口調だ。
「どんな作成物であれ、☆4から上は格が全く違うんです。
☆3までは、☆2素材を堅実に加工すればだいたいは成功します。
だけど☆4作成には素材以上に本人の高い技量が必須条件です。
一朝一夕では作ることはできません」
なんと。正直☆3素材さえ有ればなんとかなると思っていたぜ。
つまり高いスキルLVが必須になる、というコトだな。
「スキルLVでいうと幾つくらいから狙えますか」
「『調合』『器具操作』共に50からです」
わおう。ゼンゼン足りない。
「組合に、高品質の調合に命をかけている先輩錬金術師がいます。
その人のスキルLVは100以上です」
凄いな。
それくらいLVがあれば、☆5だって作れるんじゃないか?
「ゼンゼン無理です。
作れる気配すら無いそうです」
『傷薬☆4』は想像以上に高き壁であったようだ。
こりゃ、錬金術師の職に就いて、しかもかなりLVアップしてからの話だな。
正直ナメてました。スミマセン。
「わたしの『オムライス』も同じですよ?
それどころか、☆3にチャレンジしようにも☆の多い材料がなかなか売ってないんです。
マスターも精進あるのみですよ?」
イズミにもたしなめられてしまった。
聞くと市場に並んでるのは基本☆1の食材ばかりなんだそうな。
十分に美味しいから気づかなかったな。
「☆の数は同じでも、お前の腕は着実に上がってるぞ?」
「おだててくれるのは嬉しいのですけどねぇ」
イズミはツンと口を尖らせている。
ちょい不満そうだ。
「反復練習しようにも、同じメニューばかりじゃ飽きられちゃいますし」
ああ、それはあるかもな。
俺も三食オムライスはちょっと困る。
「『料理』は難しいな。
オナカが膨れればいいってものでもない」
「そうなんですよ。
食べた人に喜んで貰うのが目的ですから」
悩んでるな。頑張れ。
俺に出来るのは、いい食材をみつけたら確保しとく位か。
どっかに☆2以上専門のスーパーとかあれば話は早いんだけどな。




