147 ミライナ先生の意向
ふー。緊張したぜ。
話の分かるヒトで良かった。
交渉は笑顔で丁寧に。ただし譲るな。ありがと、爺サマ。
『紅蓮のサトウ』、略してグレさとさんが見えなくなってから店に戻った。
しかし、攻略組のヒトが最初の町なんかブラブラしてていいのかね。
「いいんですか、マスター?
あの人、マスターが『マナポーション』調合してると思ってますよ?」
うわッ。ドアを開けたらいきなりイズミがいた。
コッソリ見ていたらしい。
「いずれは作るから嘘じゃないさ。その方がやりやすいし」
? 首をかしげるイズミ。角度が可愛いぞ。
「この場合、一番面倒なのはミライナ先生に直接突撃してくることだ。
作ってるのが俺なら俺の方に来る。
そう思ってくれた方がいい」
「なるほど。押し切られるのが目に見えてますね」
もっとも、先生が直接取引やりたがってるなら話は別だけどな。
「それはちょっとあり得ないかと。
いちおう確認しときます?」
「ムリムリ、絶対無理ですッ。断ってくださいッ⁉」
攻略組との直接取引の可能性を話したのだが。
ミライナ先生、首と両手をブンブン振っている。
「ミライナさん、そっちの方が儲かるのは間違いないですよ?」
ああ。なんせ倍額だ。
「それが一番コワイですッ。
メチャクチャ働かせられるに決まってます!
朝から並んでた人達なんでしょう?」
まぁ、『マナポーション☆2』はいくらでも欲しいだろうからなぁ。
「それに私じゃ『マンドラゴラ』を確保できません」
「? 精製済のヤツを商都から仕入れられる、って聞いたけど?」
組合で依頼受けるときに聞いたぞ。
「それは組合の特殊なツテです。
個人の生産目的に利用できるモノじゃないんです。
それに現在、『マンドラゴラ』は極度の品薄で、商都の養殖物でさえゼンゼン流通してないんですよ」
品薄ってのは聞いてたけど、まだ解消してなかったのね。
ああ、だからパルミットさんがあんなに嬉しそうだったのか。
寄付として森番のオヤジに渡した『マンドラゴラ』なんだが、ギルドと組合分は町で直接渡せと突っ返された。
いちいち出向くのが面倒なんだそうだ。
まぁ分からんでもない。遠いし。
それで両方とも、この間寄った折に渡したんだけどね。
けっこう好評でした。
特にパルミットさんが大喜びだったね。
たわわなのを揺らしながら。
うーむ。完全に罠。




