144 オヤツとシエスタ
『マナポーション☆2』10本が完成したトコロでひと区切り。
おやつタイムである。
「ミライナさん、今日はどれがイイですか?」
「ふ、ふおぉぉぉぉ?」
ミライナ先生が謎の奇声を洩らしている。
感動しているようだ。
「こ、このチョコレートのケーキでも、イイんでしょうか?」
「どうぞどうぞ。マスターは?」
「イズミが先に選べよ。俺はどれでもイイからさ」
「じゃあ、お言葉に甘えて。今日は、シフォンケーキにしましょうかね?」
なら俺は残ったイチゴのショートケーキだな。
ふふふ。好きなのだ。
やっぱり女の子はデザートに妥協しないね。
俺も好きなのだが、オトコ一人じゃケーキ屋はちょっと敷居が高いのだ。
「わうわう♡」
シロはシュークリームを器用に割って中のカスタードを舐め回している。
至福の表情だな。リアルなら確実にメタボ犬だぞ?
「あああぁ、しあわせです……」
ケーキフォークを口にくわえたまま、ミライナ先生がだらしなく溶けている。
そんなマブダチをイズミがニコニコ笑って見ている。
オモテナシ成功だな。
「マスター、ナニ笑ってるんですか?」
おっと。俺も笑っていたようだ。
甘いモノって、ホント人を幸せにするよな。
さて、オヤツ後のシエスタ導入を試してみたのだが。
「あふぁーん。しろぉぉぉ♡」
またミライナ先生が駄目になっている。
「今日は、ミライナ先生をダメにする日だな」
「リアクションがカワイイから、ついつい弄っちゃうんですよね」
わかる。
もともと小っちゃくて小動物的な可愛さがある上に、生真面目で働き者だからついつい甘やかしてしまいたくなるのだ。
また食事やオヤツひとつひとつにいいリアクションを見せる。
可愛がり甲斐があるというか。
こう言っちゃナンだが、エサをあげずにいられない動物なのだ。
「意外と魔性の女かもしれんな」
「うらやましい。わたしもそんな風に呼ばれたいです」
お前はステータスに『魔女』って大書きされてるじゃないか。
そのまんま魔性の女だろ。
「そういう意味じゃないのですよ?」
まぁ、そのへんは後で相談しよう。
「今は俺たちも、巨狼モフモフの威力を堪能しようじゃないか?」
「目覚ましは買ってきましたけど……」
この後、目覚まし時計無しではまったく起きられないコトが判明した。
魔性のワンコだった。




