131 『巨狼変化』
おっと、忘れていた。
俺的には惨敗だったボス戦だが、結局ドロップ品はゲットしているようなのだ。
そもそもその検証が目的だった。
ドロップ品に罪は無い。さっそく確認しよう。
『巨狼のシッポ☆3』
あったぁ!
巨狼シリーズその3。品目も予想通りだ。
「さっそく装備だ」
「シロ、よかったですね?」
「わおう!」
『巨狼シリーズがコンプリートされました。
特殊スキル『巨狼変化』を取得しました』
装備と同時にインフォが鳴り響いた。
よしッ、ボーナスもゲットだぜ!
「わう!」
「こっちは健全そうですよ?」
「不健全で悪うございましたな」
まったくだ。『悪鬼羅刹』、字面が悪すぎるぞ。
それに比べて『巨狼変化』の頼もしそうなコトよ。うらやましいぜ。
『巨大な魔狼に変身する。VIT大幅UP、AGI大幅Down。
継続時間、変動値はスキルLVに依存。
クーリングタイム1時間』
イズミの鑑定結果だ。
これは通ったらしい。なんでだ。
「デカくて頑丈になるけど足が遅くなるのか」
「百聞は一見に如かず、です。シロ、やってみてくださいな」
「わうッ」
『グワオーン!!』
雄叫びと同時にボンッと白煙が爆発。忍者みたいだな。
白煙が晴れた後には巨大なケモノがお座りしていた。
「デカッ!?」
「わッ。スゴイ」
あの小さかったシロが見上げるような巨狼に変身している。
初めて遭遇したときの餓狼ボスとおなじくらいか?
ごく単純なサイズアップなんだが……。倍率が凄いな。
「わう?」
声はいつもの愛嬌たっぷりの子犬ボイス。
ただし音量でかい。
ステータスを確認してみると、なるほど。VITが倍、AGIが半分だ。
他の数値は据え置きだから攻撃力が上がったワケじゃなさそうだ。
体当たりは迫力ありそうだが。交通事故レベルだな。
「ココまで大きいと乗れちゃいそうですね。背中に」
確かにそれぐらいデカイな。
ん? おおッ!?
それ、いいアイデアかもしれんぞ!?
騎乗できるか試してみるのは明日になった。
何故なら俺が背中にまたがったところ、ゴンと天井にアタマをぶつけたからである。痛かった。
さらに巨体が工房のドアを抜けることができなかった。狭いからね。
「明日、ミライナさんも交えて試してみましょう。
きっと喜びますよ?」
ビックリして気絶しなきゃいいんだが。
「シロ、戻れるか?」
「わんッ」
またボンッと白煙があがる。晴れたら元の子犬姿だ。
やっぱカワイイのはこっちだな。デカイとなんかコワイ。
「よしよし。凄いスキルゲットしたな。明日からも頼むぞ?」
「わうッ!!」
気合い十分だ。期待してるぞ。
「羨ましい……。わたしも巨大化したいですよ?」
え? なにその願望。進撃のイズミ?
「特に胸ですね。2サイズほど巨大化したいです。
パルミットさん討伐したら、巨乳スキルドロップしますかね?」
ドロップするなら討伐するのか。
冗談なのか確かめるのがコワイ。
「彼女に恨みはありませんが……。
巨乳スキルが悪いのデスよ?」
本気だった。パルミットさん、逃げてください!?




