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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
129/653

129 それぞれの憂鬱

10/6更新5つめです。

挿絵(By みてみん)


 ちゃぷん。


 反省会を終えて、オフロ頂いてるわたしなんですけどね。


 なんかね、湯船につかる前からカラダが温まってると言いますか。

 特に顔が熱くって火が出ちゃいそうと言いますか。

 手とか足とかお湯の中でバチャバチャしちゃってます。


 あー、もーぉ。はずかしッ。


 全部ね、マスターが悪いんですよ。

 ヘンなコト言うから。ええ。


 そんなのね、わかってるんですよ。

 わたしだって嫌いなら眷族なんてやってませんよ。

 嫌いじゃないからイロイロ頑張るわけで。


 そんなの言うまでもないというか。

 言われるまでもな……くも無いですかね。

 うん。言われてあげなくもないですよ?

 タマには。恥ずかしいですけど。


 ホントに、全部マスターが悪いんですよ? 


 後先考えずに突っ込むからああなっちゃうワケで。

 ボス狼の一撃でマスターのHPバーが吹っ飛んだ時は、心臓止まるかと思いましたよ。

 気付いたら飛び出してました。


 それで、ああいうのはヤメロと怒られたワケなんですけどね。


 無理ですね。


 まぁ、戦闘時に飛び出しちゃうのは自制しますよ?

 約束しましたから。


 でもそれ以外は無理。

 頼りなさ過ぎます。マスターが。


 うん。やっぱりわたしがシッカリしないと。


 キチンと面倒見てあげないとどうなっちゃうやら。


 だいたい、わたしのマスターのクセにわたしを放置する時間が多すぎるのです。

 キチンと責任取って一緒に居るべきなのです。


 リアルが大事だってのも分かるんですけど。

 マスターが頑張って時間を作ってるのも知ってるんですけど。

 サッチーさん達が教えてくれましたから。


 ううーん。


 まぁ、とにかく。マスターが悪い、のです。ええ。


挿絵(By みてみん)


 ちょっとキツく言い過ぎたかなぁ。


 傷薬を調合しながらずっと悩んでいる。

 我ながら情けない。


 組合から譲ってもらった上位の調合器具、『薬研(やげん)』をゴリゴリ回しながらだ。

 乳鉢の上位版ということで試運転を兼ねているのだが。


「また☆1か……」


 集中できてないのがガッツリ反映されてる。

 結果は正直だ。ダメダメだな。


 悪いのはイズミじゃ無い。俺だ。


 俺が弱いことが悪いのだ。


 俺が『ボス狼LV15』より強かったならああはならなかった。

 強くならねば。


 錬金術師になれば装備の強化が可能になる。


 しかしそれだけじゃ足りない。


 LVアップ、特にスキルLVのアップを図らないと。昼間生き残れない。


 ダメージ源が投げ技しかないのも痛い。


 『打撃』や『蹴り』スキルを取得することはできる。

 だが昼間だと攻撃する度に骨折しかねない。


『空気投げ』はどちらかと言えばカウンター系の技だ。先制攻撃には向かない。


 地面に叩きつけた後の追撃も出来ていない。他に要る。

 柔道なら投げた後は寝技で押さえ込みなんだろうが。

 ココだと他にもエネミーがいるのだ。悠長すぎる。

 総合みたくマウント取っても後ろから殴られるだけだろう。コレもだめ。

 ボクシングは追撃禁止だし。

 プロレスなら?

 ボディプレスの後はストンピングかエルボードロップか。

 スキが少ないのはいいが、蹴りと打撃だから結局骨折だな。


 ううむ。

 やはり『怪力』の強力さと、昼俺の貧弱さのギャップが酷い。


挿絵(By みてみん)

 

 だいたい、中ボスとはいえ最初の町周辺のエネミーに惨敗とは。俺ってどんだけ弱いんだ?


 インフォじゃ勝ってたようだがとんでもない。

 いきなりあのザマでその後の記憶が飛んでいる。

 いったいナニがあったのやら。


 きっと無我夢中のラッキーパンチだったに違いない。

 そんなの勝ちとはとうてい言えまい。恥ずかしい。


 くそ。やりたいコトが多すぎる。


 投げ技を鍛えたいし、『見切り』もLVアップさせたい。

 調合しまくって『錬金術』ゲットは確定だ。装備も強化したい。

 預かったダンジョンの種だって面白そうだ。育ててみたい。

 そろそろ新しいフィールドにだって見に行きたい。町の周辺と叫びの森ぐらいしか知らないしな。


 しかし、そのためには俺が強くなければ始まらないのだ。


 時間が足りない。

 廃人ゲーマーさん達が羨ましいぜ。

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