111 再戦 餓狼のボス
10/1更新2つめです。
ひーひー泣き言が入るトージョ達を叱咤激励しつつ、夜の集団戦を繰り返す。
ふふふ、うちはスパルタなのだよ。
なんだかんだで二人もLVアップするし戦闘にも慣れる。
徐々にチャキチャキ戦えるようになっていった。
「大したもんだよ。
もう二人だけでもいけるんじゃないのか?」
「そりゃ必死だからな!」
「こんなに運動しても痩せないなんてぇ」
まだまだ余裕があるな。素質あるぞ。
「マスター。予想通りなら次の戦闘です。
……ポップしました」
通常のエネミーは遠くでポップしてから近寄ってくるが、出現条件の決まったイベントボスは違うようだ。
いきなり現れた。
「餓狼のボスLV5が現れた」
おお、やっぱりだ。こいつもLVアップしている。中ボスの仕様か?
取り巻きの手下オオカミ4体も前より大きい気がする。強化されてるな。
俺は1歩前に出た。
イズミ達には背後に隠れるよう指示する。
「マスター?」
「わう?」
「前よりゼンゼン手強いぞ。注意しろ」
「でっか!? 自動車くらいあるぞ!?」
「これと戦うの? こわ!?」
ボス狼が大きく息を吸い込んだ。読んでたよ!
『防御姿勢』!
ガァアアアアアアアアアアアアア!!!
激しい衝撃が走る。
前と同じ『雄叫び』なんだろうが威力が段違いだ。
HPにダメージが入ったぞ!?
乱戦になった。
「ガアウッ!!」
「このッ」
俺はボス狼と取っ組み合うのに必死だ。
腕をツッコんで舌を掴むチャンスを狙ってるのだが成功しない。向こうも学習してるな。
手下オオカミたちはイズミ達にお任せだ。
コイツラも前より強くなってるようでなかなか沈んでくれない。
『ワオーン!』
「ほらコッチ来い!」
シロとトージョがうまく迎撃をやってくれてるようだ。頑張ってくれよ。
『ロック・シュート』!
『ウィンド・カッター』!
二人が足止めした狼たちに魔女っ子組が着実にダメージを与える。
連携もいい感じだ。時間さえかければ大丈夫だろう。
むしろ問題は俺の方だな。
LV5ボス狼の強化が予想以上だったのだ。
パワーで拮抗、スピードでちょっと負けている。
しかも頭がイイ。
俺がここで足止めしたいコトを理解してる。
引く素振りを見せれば俺は追いかけざるを得ない。
それを知ったフェイントを混ぜてくるのだ。
「ゴオウ!!」
「ぐあッ」
今も振り向きざまに爪で一撃食らった。ダメージがデカイ。
夜にこれだけ食らったのは待ちスティック戦以来だぞ。
手強い。
『急速再生』
落ち着け。向こうにもクセはあるはずだ。
感覚を総動員して探せ。




