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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
110/652

110 夜戦

「よし、最後はボス戦だな」


 薬草の他にもイロイロ納品したので体験版の二人も資金に余裕ができた。

 サッチーなどデザートでも食べにいきたそうな顔をしている。


 ログアウトまでには時間がある。

 せっかくだからRPGのデザート、中ボス戦も体験してもらおうではないか。


 わはは。遠慮するな。

 だいじょうぶ、だいじょうぶ。


 ギルドを後にし町の外へ出る。

 夜の平原。そう、お預けになってた巨狼装備ドロップの検証である。

 待たせたなシロ。


「体験版でボス戦とか不安しかないんだけど」

「外は暗いわねー」


 月明かりしかない夜の平原に二人ともビクビクだ。


 そうか、二人とも『暗視』スキルないのか。

 うちはなにげに全員持ってるからそういうの感じたコトなかったな。

 つか、普通のプレイヤーってそうなのか?


「…………『ライト』」


 イズミがブツブツ呪文を詠唱する。

 すると杖の先に白く輝く光球が出現した。


挿絵(By みてみん)


 おおっ、カッコいい。


 イズミが手をかざすと光球は上昇し、頭上2メートルくらいのところで停止する。

 周囲を明るく照らしだした。


「へー、明かりの魔法?」

「明るくなった。便利ねー」

「わうッ」


 そんな呪文使えたんだ。初めて知ったぞ?


「共通呪文『ライト』です。

 こんなコトもあろうかと取得しときました」


 やるな。スキルさえあれば、呪文やアーツはSP消費で追加取得できる。

 用意周到だなイズミ。ドヤ顔も可愛いじゃないか?


 いまさら知った共通呪文『ライト』だが思わぬ副作用があった。


 エネミーがやたらと寄ってくるのである。

 まぁ好都合なんだけど。


「ちょッ、数が多いって!?」

「もーッ、いそがしいッ」


 カップルが悲鳴を上げている。

 うん、楽しそうでなにより。


 叫びの森はエネミーこそ手強いがソロかコンビ止まりだった。

 しかし、夜の平原ではオオカミと大コウモリが10匹近い群れをなして襲ってくるのだ。


 戦闘開始と同時に俺が突入。

 群れのヘイトを一手に引き受けているのだが。

 どうしても何頭かはスルーして自陣に侵入してくる。


 それを迎え撃つのはシロとトージョ。

 シロは慣れたものだ。


挿絵(By みてみん)


「うわッ、噛まれた!? ちょ、放せッ」

「キャーッ!? 東条くん!?」

「落ち着けって。

 お前のステなら多少噛まれても大丈夫だから」


 森でかなりLVアップしてるから充分戦えるはずだ。慌てるな。


 俺は俺で四方八方から襲ってくるオオカミと大コウモリの相手に大わらわだ。

 日の落ちた今ならこいつらは一投一倒できる。

 しかしステゴロの悲しさ。

 1匹ずつ地道に倒していくしかないのだ。


「マスター、逃げてくださいよ。『ファイア・ボール』!」


 ちゅどーんッ!!

 慌てて跳んだ俺の元いた場所に火球が飛来、爆散する。


「……お前な。いつもイキナリなんだよ」

「強い絆の成せるナイス連携ですよ?」


 俺をオトリにファイア・ボール当てるの好きだね。もう慣れたけどさ。

 

挿絵(By みてみん)

 

 一戦終えて回復タイム。

 周囲の警戒はシロがやってくれてる。イイ子だ。


「ご苦労さん。『傷薬』をおごってやろう。遠慮するな」

「はいはい、腕を出してくださいね。すぐ治りますよ?」


 調合しくじった☆1だけどな。結構あるのだ。


「滅茶苦茶ハードだったぞ!?」

「いやー、怖かったわー」


 ハハハ。慣れる慣れる。後半いい感じだったぞ?


「それに、なんでお前あんなに強いんだよ。

 さっきまでとゼンゼン違うだろ」

「夜だけ強いんだよ。楽しいのは昼なんだけどな」


 さてと。ボス狼を引っぱり出すにはまだまだ連戦する必要がある。

 これくらいで音を上げてくれては困るのだ。残念ながら。


 前回はそうそう。

 たしかイズミが『料理』スキル取るタメに張り切ってたら出てきたんだよな。

 あの時のイズミが3LV上がるくらいだったから……。


「シロが参加してる状態でオオカミを50体撃破することが出現条件かと」

「ご、50体!? マジですか」

「ええー、そんなにー?」


 そう腐るなって。すぐに楽しくなるから。

 それに今日のうちに頑張っとけば、ユーザー登録して二人で始めるとき楽になるぞ。

 強ニューゲーだ。


「う、強くてニューゲームか」

「ドロップ品も増えるし頑張るかぁ」


 まぁ、ちょっとの差だけどな。

 それが結構バカにならんのだ。


 二人もやる気になってくれたようだ。

 序盤のしんどさが楽しいんだぞ?

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