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錬金堂繁盛記  作者: 三津屋ケン
109/652

109 ギルド登録

挿絵(By みてみん)


 さて、店のご披露も兼ねた焼肉パーティは盛況のうちに終了。

 満腹顔の二人を連れてきたのは冒険者ギルド。

 せっかくだからギルド登録とか済ませとこうとやってきた。


 体験版からでもデータは継続できるので無駄にはならないからな。


「あら、イズミさん。お店の告知?」

「いえ、今日はこちらお二人の登録に。よろしくお願いします」


 今日もカウンターはパルミットさんだ。

 俺のログアウト中もイズミは顔を出してたみたいだな。

 ずいぶん親しげになっている。


「新人さんですね。ようこそ、冒険者ギルドへ」


 いつもの笑顔といつもの胸元。おい、トージョ。視線。


「はっ。よ、よろしくお願いしますッ」

「……東条くん?」


 サッチーがちょいマジ顔だ。慌てる彼氏。トラップに嵌まったな。


「では、こちらにサインをお願いします」


 パルミットさんは笑顔のままで話を進める。プロフェッショナル。


「慣れてるらしいですよ? 見られるのは」

「持つモノの余裕だな」

「Fカップらしいですからね。

 ちなみにわたしはAです。巨乳スキルとか欲しいんですケド」


 巨乳ってスキルなの? 対人関係にプラス修正とかありそうだな。


「はい、確かに。クエスト達成です。こちらが報酬になります」

「おお、銀貨だ」

「けっこう綺麗ねぇ。どれくらいの価値なのかな」


 ふたりは受け取った銀貨をつまみ上げてマジマジ見ている。


 さっそく薬草の納品クエストを受けて手持ちを納品、達成した分だ。

 日本円で1枚千円くらいだったかな。

 説明してやるとサッチーがふーむと考え込む。


「こんな簡単な依頼でラーメン一杯食べられちゃうのね。

 ちょっと戦えば食べ放題じゃないッ。燃えるわーッ」


 目的が明らかにファンタジーではない。フードファイターの目だ。

 ぶら下げたニンジンが効き過ぎたか。


「トージョ、いいのか? こいつ、食い道楽ツアーにするつもりだぞ?」

「ふだん努力してる姿をみてるからなぁ。まぁ、いいんじゃない?」


 こいつはこいつで大らかに過ぎるな。


挿絵(By みてみん)


「マスター。確固とした目的があるのはイイコトですよ?」

「うーん。そういう見方もあるか?」


 このゲームには共通の目的はない。


 世界各地にダンジョンや町があってそれぞれに無数のイベントが発生している。

 その中でプレイヤーは自分なりの目的を設定し、それに沿った行動をとっていく。


 英雄めざしてダンジョン最奥の大魔王を倒しに行くも良し。

 義賊を気取って悪徳商人の大金庫を狙うも良し。


 なら、食いしん坊漫遊記を堪能する女がいても問題ないか?


「他にも絶対いるわよ。同じ目的の人。しかも大勢」


 確信を込めてサッチーが語る。

 ダイエッターの福音であるそうな。


「目的が決まっているのでしたら『グランドクエスト』として登録されればどうでしょう?

 達成時にトロフィーを進呈しますよ」


 微笑で見守ってたパルミットさんが提案する。

 グランドクエスト?


「冒険者の皆さんが個人的に設定する目標です。

 内容は完全に自由。トロフィーも特に効果の無い記念品ですけど」


 ゲームの進行等にも完全に関係なく、途中で変更も自由。単に指針だな。


「へー、面白い。そういうのあった方が迷わなくてすむかも。

 じゃぁ私は『グルメ全国制覇』にする!」

「俺は『グルメ全国制覇のサポート』で」


 ノリノリだな。

 しかしトージョ。流されやすいなお前。


挿絵(By みてみん)


 グランドクエストか。ちょっと面白そうだ。


 イズミを見やる。俺たちも決めとくか?


「では『オムライス☆5作成』で」

「『人間になる』じゃないのか?」

「それはマスターより頂く予定の報酬です。目的ではないですね」


 なるほど。それもそうだ。なら俺は決まったな。


「俺は『イズミを人間にする』だな。いつになるかは分からんけど」

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