ああ魔王、俺は必ずお前を殺す。
昔から、俺の後ろには出来損ないがいた。
「俺は住んでた村を襲われたんだ。大きな龍が現れて、空から村を丸ごと焼き尽くされた……俺はその日村のはずれに遊びに行ってて、俺だけ、俺だけが助かった。もう俺には何もない。」
大剣を持った男が言う。
「私は集落を奪われたわ。大きな角の悪魔が来て、家も何も、その使い魔たちに壊された。それから、私たちの目が美しいからと、生死問わず、目をくり抜いていったの……。私も片目を取られたわ。家族は弟以外みんな殺された。唯一生きていた弟も両目を取られたの。……いまだにあの悪魔の高笑いが耳から離れない。」
透き通るような緑の目をした魔術師が言う。
「僕は知っての通り。この国の上に立つ人間として、これ以上魔物の蹂躙を許さない。だから王族の代表として、君たちと前線へ行くんだ。」
王位継承権第2位の王子が言う。
「この国のために、”魔王ドマ”を倒すんだ。」
糞ほどの興味もない意志表明。
誰が何をされようとどうでもいい話だ。他人の不幸話なんざなんの役にもたちやしない。
「”勇者”、君はどうして”勇者”になったんだい?」
「……俺が”勇者”だったからだろ。」
”勇者”を選定する幻の剣が抜けた。それだけの話だった。剣が抜けたから勇者になった。
「慣れ合う気もねえ、傷をなめ合うなんざ虫唾が走る。俺のしてえことは一つだ。」
馬鹿馬鹿しいこの世界をぶっ壊してやる。
「あの”魔王”をぶっ殺す。邪魔する奴らもぶっ殺す。足手まといはいらねえ。」
あの馬鹿なんざ玉座から引きずりおろしてやる。
*********
昔から、俺の後ろには出来損ないがいた。
何をやっても満足にできねえ、家族も友達もいねえ。村に生かされてるだけの奴だった。
村に一人だけの黒髪黒目、なまっ白い肌に、風でも吹けば飛んで行ってしまうような細い身体。
「お前は本当にどんくせぇなぁ、ドマ。」
「ま、待ってよセロ……!」
足も遅くて力もない、ようやく追いついたらへたくそな笑い方をする。
弱いくせに、何もできないくせに、泣きも怒りもしないでへらへらとしていた。
服の端を持とうとしたからその手を振り払った。
お前がいるべきなのはすぐ後ろではないから。
「持つんじゃねえよ、伸びるだろ。」
「ご、ごめんセロ。」
俺が一番前なら、ドマは一番後ろだった。
俺は村のどの子供よりも力が強くて、弁が立って、喧嘩が強い。走るのだって一番だし、森の奥に入っていくだけの度胸だってある。
ドマは村のどの子供よりも力が弱くて、うまく話せなくて、喧嘩が弱い。走るのだってドベだし、気も小さい。
一人じゃ何にもできない弱虫ドマ。
だから俺がいてやらなきゃいけない。
俺がいなきゃドマは話し相手すらいない。ドマは誰よりも弱いから一番強い俺が仲間に入れてやって面倒を見てやらなきゃいけない。
「俺は大人になったら”勇者”になるんだ!」
どうでもいい、子供のころの夢。
なんでそれになりたいと思ったのか、それすらももう覚えていない。
「ゆうしゃ?」
「なんだよドマ知らねえのかよ。」
「ご、ごめんねセロ。」
「仕方ねえなぁ。勇者ってのは魔王を倒す英雄なんだ!王都には今幻の剣が現れてる。その剣を引き抜けると勇者になれるんだ。勇者になってその剣を持つと誰よりも強くなれるんだ。」
「今よりもっと強くなるの?すごいね!」
ただただ、なんとなく俺は一番になりたかった。
村の中だけじゃなくて、この国で一番、世界で一番強くなりたかった。
「ね、ねえセロが勇者になったら、僕も魔王退治に連れて行ってくれる……?」
「しょーがねーな!ドマは何にもできないもんな。一緒に連れて行ってやるよ!荷物持ちにしてやるよ。でも魔物と戦うときは隠れてろよ!お前じゃすぐに殺されちまうからな。」
「う、うん!ありがとう!いっぱい荷物が持てるように頑張るね!」
俺が村から出て、王都で勇者に選ばれて、魔境の魔王を倒しに行くとき、きっと俺は強い仲間を連れて一緒に魔王を倒しに行くと思っていた。けれどなぜか、なんとなく、村の中で一番弱くて、きっと国で一番弱いはずのドマも一緒に行くものだと勝手に考えてた。
俺は一番強いから、一番弱いドマの面倒を見てやらなきゃいけない。
仕方がない。それは強い人間の責務だから。
けれどある日それは崩れた。
村の中で病が流行ったのだ。
その原因は森の奥にある洞窟だという。そしてその洞窟に住む神様が病気を村の人間にかけているのだという。
馬鹿馬鹿しい話だと思った。なんで洞窟なんかに神様がいるのか。そんなものいるわけもないのに。他人事だと思っていた。
「すまない、悪く思うなよ。」
「ああ、この時のためにお前を養ってきたんだから。」
そこで初めて知った。
親も兄弟もいないドマが、なんでこの村の中で生きてこられたのか。
こういう有事の時の生贄にするために、あの小さくて弱いドマは生かされてきたんだ。
ドマは逃げられない。
誰よりも足が遅くて、力の弱いあいつは大人たちを押しのけて逃げることもできない。生贄以外に自分の有用性を示すこともできない。
一人を囲む大人たちの向こう、足の間からドマが見えた。
「セ、セロ……、」
縋るような弱弱しい声。
「セロ、一緒に魔王退治に連れて行ってくれるって言ってたよね……、」
「ねえ、頑張ってるよ、いっぱい荷物が持てるように、君の足手まといにならないように、ねえ、もっと頑張るから、」
もうその時には魔王退治のために勇者になるなんてこと忘れてた。そんなことに夢見るほど子供じゃなかった。
それなのにドマはいつまでもそんな夢を抱えていたのだ。
俺は村の子供の中で一番強い。一番発言権がある。
でもそれは”子供の中”だけの話だった。
大人たちがそんなくだらない夢物語を聞いて納得するわけもないのに。
だから笑ってやった。
「やっぱいらねえわ。」
「え……、」
「だってお前よりデロイトの方が身体もでかいし、力もあるし。」
「セロ、」
「お前じゃなきゃいけない理由って、ねえだろ?」
くだらない夢なんて叩き壊すように。
ドマが俺の名前を呼んでいた。今にも泣きそうな声だった。
だってそうすれば誰も夢にも思わないだろう。
俺があいつのことを気にかけてやるだなんて。
日が落ちてからこっそり森へ向かった。
大人たちの言っていた洞窟の場所は知っていた。一人で森を探検したときに見つけたのだ。大きな洞穴から冷たい風が吹いていた。
夜が明ける前にドマを連れ出す。こっそり必要なものを森へ運んでやればいい。
俺はあいつの面倒を見なきゃいけない。
俺は一番強くて、ドマが一番弱いから。
俺がいなきゃ、あいつは何にもできないから。
だが洞穴は壊されていた。
入り口付近には大きな岩が置かれていたのだろうが、粉々に壊されていて、真っ暗な夜でもわかるほど、洞窟の中はボロボロだった。
「……ドマ、」
誰がやったのか。
大きな岩を置いたのは、きっと村の大人たちだろう。ドマが出てこられないように、岩を置いたのだ。
「ドマ、」
じゃあこの岩を壊したのは誰だ。
カンテラで照らしながら、洞窟の中に入っていく。
「ドマ!」
ドマは中にいるはずだ。ドマは何もできない出来損ない。あいつは俺がいなきゃ何もできない。だからきっとあいつは中にいるはずだ。
「ドマ!どこだ!」
岩を壊したのは、そうだ、きっと魔物か何かに違いない。ついにこの村の近くまで来たんだ。病気が流行ったのも、そいつのせいだ。
「ドマっ、返事しろ!」
けれどどこを探しても、とうとうドマは見つからなかった。
あるのは崩れ欠けた鍾乳石だけ。ドマの身体も、服の一部も見つからなかった。
ドマがいなくても、村での生活はむかつくほど変わらなかった。
ドマがいなくなったところでなんの影響もなかった。ただ一番後ろにドマがいなかった。
結局生贄をやっても病は治らず、少しずつ村人たちは減っていた。
今でも時々、ドマがまだ近くにいるんじゃないかって、森の中に一人で入ったりする。
その俺が森に入った日、村は巨大な龍に焼き消された。
森にいても村を襲う龍の姿は見ることができた。巨大な赤い龍は口から火を地面に向かって吹きかける。まだまだ村人も家族も友達もいる村だった。
今まで魔物の一匹だって現れたことのなかった村だというのに、どうしてそんな強そうな魔物がこんな小さな村を襲ったのかわからなかった。
急いで村に戻った。けれどそこはすっかり火に包まれ、形のあったものは炭化していた。
もう誰もいなかった。
どうしようもなくなって、俺は村から出た。
何とか食い扶持を稼がなくてはならないと、王都へと向かった。その道中も日銭を稼ぐために用心棒まがいのことをしたり、適当な力仕事をした。
「私の街は魔物に襲われて、奴隷として連れていかれた。」
「俺の故郷は蝙蝠の群れに襲われたんだ。……全員血を抜かれて悲惨だったよ。」
村から出てみると、各地で魔王ひいては魔物たちからの被害を受けていた。悪逆非道、残虐な行い。誰もが恨み、憎み、怯える。怒りながらも彼らは自ら戦うことはなかった。曰く、どう足掻こうともあの蹂躙になすすべはない、と。圧倒的な力、人間の持たない特殊な力。それでもこの国が今も続いて来れたのは歴代の勇者たちのおかげだった。今この国の人間たちは”勇者”を望んでいた。
「セロくんって力持ちだよね。助かるよ。」
そんな風に言ったのは王都へ向かっていた旅団の団長だった。力仕事のできる人員が欲しいと、ある街で募っており、王都までの道を兼用心棒として雇われている。
「そうそう!前に盗賊に襲われた時もほとんど一人で片付けちゃったし。もしかして王都に向かってるのって”勇者”を選ぶ幻の剣を抜きに行くため?」
「……まさか。夢物語でもあるまいし。王都へ行くのは食い扶持を稼ぐためだ。面白みもなんにもねえよ。」
「えー、もったいないなあ。セロくんなら魔物も魔王も倒せるんじゃない?」
軽々しく言った団員に歯噛みする。
子供のころは思っていた。
俺は誰よりも強いと。誰よりも強くなって、魔王を倒す、輝かしい英雄になれると。
けれど無力さなど。これでもかと思い知っていた。
あの空を舞っていた巨大な龍を見たとき、勝てるわけがないと、思ってしまった。あんな大きく、絶対的な力、絶望的なまでの蹂躙を前に、怯えてしまった。
”勇者”など、鼻で笑いたくなるような夢だ。けれどそれを抱くことすらできなくなった自分がひどくみっともなかった。現実を知ったと言える。だがそれは、地に足が付いたのではなく、ただの諦めなのだと、確かに知っていた。
きっと鍛えればそれなりに強くはなれるだろう。俺にできないことはないと分かっていた。どんなこともできる。けれどきっと悉くそれは”そこそこ”にだ。器用貧乏に毛が生えた程度だとも、自覚していた。
どれだけ鍛えようとも場数を踏もうとも、俺は強くなれども最強にはなれない。あの絶対的な力を覆すこともできなければ、その上に立つ魔王の足元にも及びはしないだろう。
何より、たった一人、村で一番弱かった子供一人助けられなかった自分がこの国を救えるような”勇者”になれるはずがない。
「”勇者”なんざ、なれるわけねえ。」
「そう?残念。君が勇者になったら勇者を雇ってた旅団として箔がつくのに。ま、王都に行ったら試しに行ってみれば?誰でも引き抜くのに挑戦だけはできるから。」
「……時間があればな。」
腹の立つ話を終わらせたくて、適当な相槌を打っておく。
なんとなく、”勇者”という者になる人間はどういう人間なのだろうと思った。
自分が言われたのは腕っぷしの強さから。
あるとすれば、正義感、忍耐感、打たれ強さ、諦めないことだろうか。どれもこれも、物語の中でのイメージだが。
「それにしても、今代の魔王ってあんまり表に出てるイメージないなあ。」
「ああ……安全なところから高みの見物でもしてるんじゃないか?」
「妙なこと言うな。来られるよりましだろ……。」
はたと一人の団員が口にした。
「……今の魔王はまだ若いって聞いたぞ。だからまだ前線に出てないだけじゃないか?」
「若いって……魔族の年の取り方が俺らと似たようなもんなのかもわからん。」
「さあな。ただ俺の村に来たでかいドラゴンが言ってたぞ。」
恐れるような、けれどどこか野次馬のような雑談を聞き流していた。
「『ドマ様が、喜ぶ』ってな。」
聞きなれた名前が聞こえた。こんなところで出るはずのない名前。
「そのドマ様ってのが魔王の名前なんだろうよ。」
「へえ、まあ魔王の名前なんざ知ったところで俺たちには関係ないな。」
ドマ、ドマ。村一番の出来損ない。親もなければ能もない。何にもできない弱虫ドマ。
俺が守ってやらなきゃいけなかった弱い奴、俺が何もしてやれなかった奴。
洞窟の中からの瘴気、壊れた洞窟、村の誰にも似ていない黒い髪、黒い目。
あるわけがない。
「……おい、魔王ってのはどんな見た目してんだ。」
「あ、興味出てきた?なんか原理はよく知らないけど、代々人間みたいな見た目してて、髪と目が黒くて、肌が白いんだってさ」
あるわけがない。
あのどんくさくてチビで、非力で、何にもできない泣き虫ドマ。
あれが”魔王”であるはずがない。
村一番の出来損ないが、人を脅かす魔物たちの首領。
あるわけがない。
「……ある、わけが……!!」
そのあと、どうしていたか覚えていない。ただ気が付けば王都に到着していた。
煮えくり返る腸を抱えたまま、俺は王都の中心にある広場へと向かっていた。
王都の広場に勇者を選定する”幻の剣”がある。
確信していた。
”勇者”になるのは俺だ。
**********
騙されていた。子供のころからずっと、あいつは俺のことを、村の人間のすべてを欺いていた。
能無しを装い、俺を嘲笑っていたのだ。
さぞ、滑稽なことだっただろう。
村一番の出来損ないは、世界一畏怖されるべき脅威だった。
「ね、ねえセロが勇者になったら、僕も魔王退治に連れて行ってくれる……?」
よくもまああんなことが言えたものだ。
「セロ、一緒に魔王退治に連れて行ってくれるって言ってたよね……、」
全部わかってたんだろ。そんな未来は絶対にないことを。
「ねえ、頑張ってるよ、いっぱい荷物が持てるように、君の足手まといにならないように、ねえ、もっと頑張るから、」
何が頑張る、だ。どんな人間よりも強く、どんな魔物よりも強いモノのくせに。
「セロ、」
縋りつくような目も、震える声も、何もかもが嘘だった。
認められるわけがなかった。
あの弱虫が魔王だなんて何かの間違いだ。
あいつは弱い。
俺よりもずっと弱い。
広場に突き刺さっていた”幻の剣”を引き抜いた時、安堵した。
”勇者は魔王を倒す者”
「おいっあの子供が剣を引き抜いたぞ!!」
「憲兵を呼んで来い!新しい勇者だ!!」
湧き上がる見知らぬ人間たちの歓声を遠くに聞きながら、手に馴染むような剣を翳した。これは自分のものだとどうしてか確信できる。
勇者を選定する特別な剣。そう聞いていた。しかし力任せに引き抜いたそれはただの剣だった。
所詮は”道具”だ。
だがこれが俺を”勇者として強く”するのであれば喜んで選ばれてやろう。魔剣だろうと聖剣だろうと、喜んで”魔王を倒すための持ち主”を演じてやろう。
「……ぶっ殺してやる。」
”魔王”として俺たちのことを嘲笑ってたのか。
茶番を終えて村人を皆殺しにさせてさぞ気分がいいだろう。
俺が殺されなかったのは、俺が勇者だったからか。取るに足らないと笑うためか。
それとも俺が”勇者”だから死ななかったのか。
後者だとするなら、
「は、ははっ、はははははは……!!」
もしそうなら、昔っから何にも変わっちゃいねえ。
俺はお前より強い。そうだろ、ドマ。
**********
大剣を持った男は”あの”巨竜を足止めをした。
魔術師の女は角の生えた悪魔に私怨で立ち向かった。
第二王子は吸血鬼と交戦していた。
真っ黒な土地、赤黒い空。
仰々しい城の最奥、あの龍でさえ入ることができるのではないかというほど大きな扉。その先に、奴はいた。
黒髪、黒目、雪のような白い肌。
”魔王”ドマ。
この世の災厄の根源、魔を操る者。
「やあ、来たね勇者。」
記憶の中よりもずっと低い声。
「魔王様、」
「アルヴァンス、外の皆の救護の指示任せていいかい?どこももう終わってるだろう。」
「しかし……、」
「心配しなくていいよ。僕だけで手は足りてるよ。」
見たこともない顔を、していた。
誰かを心配する顔。
誰かを信頼する顔。
誰かに指示を出す顔。
それはどれも、自身に余裕がないとできない顔だった。
俺の記憶の中にはなかったはずの顔だ。
「……俺の相手なんざ手前ェだけで十分だってことか、随分と偉くなったもんだなあドマァ!!」
「ううん、偉くなったわけではないよ。でも君の相手は僕で充分だろ?」
穏やかにドマは笑った。
「だって魔王と勇者の最終戦は一騎打ちなんでしょ?」
それは昔見た絵本の一ページ。
「ほら、やろうセロ。人間の望んだ勇者、この世の善、救世主、世界の強者。」
「鼻っ柱へし折ってやるよ……!!」
「さあ、勇者と魔王の物語はおしまいだ。」
気色悪いほど、清々しく”魔王”は笑った。
記憶の中にある、顔だった。
『う、うん!ありがとう!いっぱい荷物が持てるように頑張るね!』
むかつく、顔だった。
「ドマ、俺は必ずお前を、」
間違った世界から助け出してやるよ。
****************
村で一番弱かった。
誰よりも臆病で、足が遅くて、要領が悪かった。
あいつが魔王なわけがない。
”魔王”になりたがるわけがねえ。
あいつは本当は勇者になりたかった。
正義になりたがっていた。
自分には無理だと思いながら、子供らしく”勇者”に憧れていた。
”魔王”なんか好きでなったわけがねえ。
なら俺がこの間違った世界ぶっ壊してやる。
お前が俺より強いなんて間違ってる。
”勇者”になりたがったドマが”魔王”になるなんて間違ってる。
”魔王”としてのお前を”勇者”としての俺が殺してやる。
前回の続きでした
ちなみにこれのラストがあるとすれば
トゥルーエンド……ドマとセロが相打ちで死ぬ
ドマハッピーエンド……死にそうなドマをアルヴァンスが救い出して離脱。ドマはセロにとらわれるのをやめる。魔物たちと仲良く暮らす。
セロにハッピーエンドはありません。お互いの存在に依存しつつ、依存度はセロの方が上。仲間たちの名前すら憶えていないほどドマのことしか見えていません。
ちなみにこの時点で仲間たちは全員死んでいます。
トゥルーエンドだけが彼にとって救いです。
ドマにだけ優しい未来が残されています。