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ホテル
ホテルに着くと疲れがドッと出てきた。
すぐにベットに倒れ込む。
「お疲れ様でした〜。」
嫁とは違う声で自分が女をホテルに連れ込んだのだと思い出した。
どこか戦利品のようにも思えていたが、正直この女とどうこうなろうとは思っていない、まぁ、付き合っていた頃も抱けなかった体には興味はあるが、俺は平和主義なのだ。
「ベットのこっち側使え、お前も疲れただろ。もう寝ようぜ。」
そういうと女は自嘲気味に笑った。
「本当に勝手だね。」
「え?」
女が何を言っているのか分からなかった。
「なんでもない、横、失礼します。」
女は横に潜り込んできた、タバコと酒の匂いがした、でも俺も散々吸ってきたし飲んで来たのだから、おあいこだろう。
その中でふっと懐かしい匂いがした、付き合っていた頃にベットに潜り込んできた、あの女の幼稚な体臭だった。
女はもうウトウトしかけている、俺は思わず女の頭を抱え込んだ。
「うわー、懐かしい〜。」
布団と俺の腕の下からくぐもった声がした。