花と虫
録画していた花火大会の番組を見てきたら、ふっと降りてきた話です。
どんっ、という低い音と、ばぁんっ、という腹の中にまで響く大きな音が僕の心を激しく揺さぶる。
それ以上に僕の心を動かすのはー……。
「……っ、綺麗…」
色鮮やかな光に君の顔が染まる。
思わずこぼれ落ちたのだろう呟きにも、僕の心臓は反応して鼓動を早める。
ひときわ大きな、金一色の花よりも、
「連れてきてくれて、ありがとう」
嬉しそうに微笑う君の笑顔のほうが、僕の視線を引き付けて離さないんだ。
「…どういたしまして」
暗い夜空に浮かぶ花よりも、ずっと…ずっと。
花火は金一色の垂れ花火が一番好きです。