カップやきそばの湯切り
掲載日:2018/06/28
「カップやきそばの湯切り」
三分を待たずして捨てられたお湯は、
潔くかつ勢いよく、
排水溝の中へと消えていった。
わずかに開けられた狭き湯切り口から、
その身を投げうったのだ。
べこん、と
シンクの流し台が悲し気な声を上げる。
今まさに、
手の届かない場所へと行ってしまった、
お湯との別れを惜しむかのように。
麺は柔らかさを取り戻し、
かやくのキャベツはシャキシャキになった。
ソースの化粧で色を付け、
惜しみないふりかけで味を祝福し、
箸でぐるぐるかきまぜると、
目の前には、湯気立つやきそば。
食の欲望を刺激する香りは、
あぁ、見事なまでに暴力的だ。
君は堪えきれず、
手に持った箸を麺にのばすだろう。
そこだ、そこで思い出してほしいのだ。
出来上がったやきそばの背後には、
捨てられることで役目を果たした、
勇敢なる者がいたことを。
彼なしに、
そのやきそばは完成しなかったということを。
……まぁ、どれだけ言葉を尽くしても
お湯はお湯なんだけどね。
かやくのキャベツを麺の下に入れると、湯切りの際に飛びだしてこない。
2018/07/04
某カップやきそばにからしマヨネーズをかけて混ぜていると、湯気が目に染みた。
意外なところに敵がいて驚いた。




