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短編詩

カップやきそばの湯切り

作者: 半信半疑

「カップやきそばの湯切り」


 三分を待たずして捨てられたお湯は、

 潔くかつ勢いよく、

 排水溝の中へと消えていった。

 わずかに開けられた狭き湯切り口から、

 その身を投げうったのだ。


 べこん、と

 シンクの流し台が悲し気な声を上げる。

 今まさに、

 手の届かない場所へと行ってしまった、

 お湯との別れを惜しむかのように。


 麺は柔らかさを取り戻し、

 かやくのキャベツはシャキシャキになった。

 ソースの化粧で色を付け、

 惜しみないふりかけで味を祝福し、

 箸でぐるぐるかきまぜると、

 目の前には、湯気立つやきそば。

 食の欲望を刺激する香りは、

 あぁ、見事なまでに暴力的だ。


 君は堪えきれず、

 手に持った箸を麺にのばすだろう。

 そこだ、そこで思い出してほしいのだ。

 出来上がったやきそばの背後には、

 捨てられることで役目を果たした、

 勇敢なる者がいたことを。

 彼なしに、

 そのやきそばは完成しなかったということを。


 ……まぁ、どれだけ言葉を尽くしても

 お湯はお湯なんだけどね。

 かやくのキャベツを麺の下に入れると、湯切りの際に飛びだしてこない。


2018/07/04

 某カップやきそばにからしマヨネーズをかけて混ぜていると、湯気が目に染みた。

 意外なところに敵がいて驚いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] よい日常での気づきですね。 [一言] 湯気。こいつは思わぬ伏兵ですね…… お湯もさるもの、ということですか。
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