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復讐するため今日も生きていく  作者: ゆづにゃん
第八章反撃開始
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第84話決断の時

最近投稿ペースが遅くなってきてしまいました:;(∩´﹏`∩);:ですが内容は出来るだけ濃いように頑張っているので応援よろしくお願いします♪


「なんでかな?......なんでこうなったんだろう」


分からない、分からない、いくら考えても分からない。

俺は......多分キリアを殺すだろう。

何のためらいもなく、本気で、全身全霊で刺し殺すだろう。

だけど何も感じていないのは何故だ。


今日まで依頼という理由で皆と過ごしてきた、その中にいるのも親父から逃げるためと理由にしてきた。

けど実際のところ俺は楽しかったんだ。

皆と毎日暮らすこの生活が......家族ってこんな感じなのかなって思いながら暮らすのが。

俺は皆の事が大好きだ、カノンの事が、エミリーの事が、妖狐の事が、リンの事が、オークの事が、ゴブリンの事が........そんな大好きな皆。


けれどそんなみんなが頼るのは俺ではない、キリアだ。

何でだろう、俺はキリアが嫌いだ。

平然と皆に頼られる、生まれた時から強い力を持っていて、自分の思った通りに事を勧められる強さと実行力を持った、お前が嫌いだ。

苦しい思いをした事がなさそうなお前が嫌いだ。

これは傲慢かもしれない、自分にないものを持っている者を嫌いになる。


だから俺はそいつを殺して、俺の持っていない物を手に入れる。

蔑みたければすれば良い、親父からの命令だと、それを理由にキリアを清々しく殺す俺を。

皆の大事な仲間を殺す俺を......

けどちゃんと布石は打っておいた、オークにあえて話を聞かせた、これで俺の事を可哀想だと同情するだろう、これで俺がキリアを殺しても、そこまで責められることはないだろう。


「さあ、こんな最低な俺を......君らはどう倒す?どう止める?........どうすれば....また君らの仲間になれる?......」


純粋な君達を騙した俺はどうすれば仲間でいられるだろうか。

キリアを殺した俺を皆は仲間と呼んでくれるだろうか。

家から出てくる、君達を見た俺は......


「ははは.......最低だ俺....」


片方の目から涙を流していた。


「泣くくらいなら、最初から敵にならないで下さいよ」


オークの呆れた声がリヒトの耳に届く。


「仕方ありませんが、今回ばかりは同情しましょう......」


エミリーの凛とした声が聞こえるが。

リヒトは半分泣いている。


「ごめん.........さあ、始めようか」


涙を拭いたリヒトは今度は笑っていた。



悪辣、悲観、嘲笑。

情緒不安定なリヒトが映る。


「ふはは!なんと面白く愉快な事か!.......これもまた新たな技術の発見のため捗る事だろう」


腰を深くかけたその男は渋い声で、喉を鳴らしながら右手に持った青白い球を左手で撫でる。


「今度はどんな感情にしてみようか?......そうだ、泣きながら殺意を沸かせてやろう!.....私から逃げたいい報いになるであろう!....」


目の前に移る、我が子リヒトの姿を口角を釣り上げ見つめると、右手に持った球に触れた、すると球は黒く青く染まり、混ざり合った。


「見せてみろ、お前の感情を!.....ふはははは!」


そのいやらしい声は、暗い部屋に響き渡った。



焦げた地面、暴風の傷跡、深々とえぐられた地面、魔法、武器、苛烈な争いがこの場であったことを物語っている。

そしてその場に立っているのは一人の男、もう一人は血塗れで倒れていた。

勝敗が決している事は、側から見ればすぐにわかる。


「おえぇ!.......」


口から血の塊が流れ落ちる、確実に内臓の1つや2つは持っていかれただろう。


「はぁ、実につまらないよキリア.......あれだけ大口叩いといてそのざまかい?」


そんなキリアを正義は、服の汚れを手で払いながら無様だと笑う、不敵に笑う。


「うっ....せぇ!...おえっ!...」


また、とめどなく血が口から流れ出る。

悪態を吐くことすらままならない。


「嘘.....でしょう?」


その場に、妖狐を引きずって城まで来たカノンはその光景に目を見開く。

今まで圧倒的な力を持ち、魔王と決闘をするなどして来たユウキが.......目の前では血を吐き出し続け、膝をついている。

額からは玉のような汗がどっと吹き出していた、魔力欠乏症の表れだろう。


だが、それでも、復讐は辞められないし、止まらない。


無理矢理自分の体に鞭を打ち、よろけながらも立ち上がる。

以外そうに見つめ、とどめもささず強者の余裕を見せている正義に嫌気がさした。


「しぶといね?.......ああ、勘違いしないでくれ、余裕を見せてるわけじゃないんだ....ただ....」


口元をニヤリと歪め、嬉しそうに歓喜に満ち溢れた顔をすると。


「人が醜く足掻いている姿があまりに哀れでね、ついつい見入ってしまうんだ」


腹の立つセリフを吐く正義に、一泊呼吸を吐き言い返す。


「...はぁ....はっ!......俺にはお前が醜く見えるぞ...」


ユウキの態度、絶体絶命のこの状況で言い返すふてぶてしさに正義は自分の担いでいる槍を見て、首を傾げた。


「んー?いくら、正しき槍(ダステト・フレイ)でも醜い心までは正せないらしい........全く困ったものだ.....」


「木造大蛇!」


何か思い耽るよな正義にユウキは容赦なく、固有魔法と化した、木魔法を放つ。

木造大蛇は一目散に駆け、大口を開けると、正義に喰らい付いた。


「そういう所が醜い.........切り裂き、貫け!...」


正義はやれやれと肩をすくめると、真っ直ぐに木造大蛇をみて言霊を発した。

その言霊通りに正しき槍は、真っ直ぐに木造大蛇を引き裂き、そのままユウキの肩を無慈悲に貫いた。


「ぐっ....あっ.....」


昔拷問を耐え続けていたため、痛みには慣れていたはずだが、それでもやはり痛いものは痛い。

痛みにより口先から声が漏れる。

苦痛に顔を歪めながら無理矢理槍を掴むがビクともしない。


正槍4(クワトロ)!」


その言葉が聞こえた時、右肩の槍が抜け落ちる。


「ッ!?」


だが、代わりに槍が一回り小さくなり、4っつに分裂した。


「踊れ!」


槍は回り、ユウキの体を無残に引き裂いていく。

全身に傷を作り上げる。


「ぐっ!....」


痛みに声を漏らしながら、腕に頬に首に胸に傷をつけていく。

手で目を庇うものの猛攻は止まらない、腕の隙間から目をのぞかせ、痛みに耐えながら槍の動きをじっと見つめ......


(なんとか.....見切った!....)


その一瞬のパターンを見切ったキリアが左手に風魔法『トルネード』を発生、すぐに発動させ頬をかすめながらも全て回避、4つ全ての槍がユウキとの一定の間が空いたところで、痛む腕を前に突き出した。


「.......岩壁!......螺旋槍(ジャベリン)!」


岩石魔法、岩壁。

固有魔法、螺旋槍。

岩が地面からせり出し、正しき槍を防ぎ、炎渦巻く螺旋槍を発生させた。

だが、それでも足りないとばかりに螺旋槍を10を超える数を展開した。


「まだだ!....」


地面に落としてしまった黒剣・壊の持ち手を思い切り踏みつけ、上に飛ばすと。


「風竜の咆哮!!」


剣の柄頭を全身全霊で、正に血反吐を吐きながら殴り飛ばす、手の甲から嫌な音がしたがそこで止まらず、その拳の先から魔法陣を発動、暴風を巻き起こしながら剣を正義めがけて突っ切った。


「おまけだ、貰っとけぇ!!.......」


その反動で吹き飛ぶ体を無理矢理仰け反りながらも押さえ込み、地面に落ちているアイテムポーチを蹴りつけた。

その蹴りつけた足先からも魔法陣が伸びていて、暴風を巻き起こした。

暴風を纏いながら飛んだアイテムポーチは正義の目の前に。


「なんだ?これは....なっ!?」


そのアイテムポーチを螺旋槍が貫くと、壮絶な、隔絶した爆炎と爆音と爆風が響き渡る。


「くっ!.....」


「あっ!......妖狐ちゃん!?」


ユウキと、遠くにいたはずの妖狐とカノンをも吹き飛ばした。



「やりましたか、ね?......」


妖狐を連れ、そっと屋根からカノンは顔を出しのぞいてみる、そこには巨大なクレーターができていた。

正直出来るだけ離れていで良かった、というか目の前ギリギリまで地面の土肌が見えている。

だが肝心の正義がいるところは紫の煙が包み込んでいた。

それでもカノンは確信していた、倒れているはずだと........なにせ今まで使った技はユウキの全てと言っても過言ではない。

これで倒れていなければ.....確実にユウキは......


そこまで考えてカノンはそんな事はないと首を横に振った。


(そんなは訳ないですよ、これで死んでいないなんてことは.....)


だがその時紫の煙から顔を出したユウキを目にしてしまった、そのユウキの強張った顔を。


(嘘.....でしょ?...)


そして次に嫌な嫌悪感溢れる声、死んだはずの声が聞こえた。


「浅はかだ、こんなもので僕を殺せると?.....そんなもので守りきれると?.......くくく.......不愉快だ」


不敵な笑みを浮かべる男はそこに悠然と立っていた。


(まさかあれで死ななかったの!?......)


カノンは驚きの声を上げそうになるが咄嗟に手で口をつぐみ心の中に押しとどめた。


収斂(シュウソク)正しき槍(ダステト・フレイ)


ほぼ瀕死のキリアに向けて正義は右手を掲げると神々しく槍が輝き、4つの槍が収束、そして次の瞬間、一気に光り輝いたと思った、その時。


瞬間の槍(モーメントスピア)


いきなりの破壊音がユウキの後ろで響き、どさりと何かが落ちる音。

そして右側の喪失感。

嫌な予感を感じながら隣を見れば肩から先が無くなっていた、その代わりとばかりに槍が深々と突き刺さっている。


「うっ.....ぐぅ!.,ああ!!...」


痛みを我慢するために、声を荒げる。

無理矢理滴る血を左手で握りしめた。


「人間ごときが正義の使者に勝てるわけがないんだよ.......死になよ目障りだ」


顔に手を当て左手に槍を構え、家の残骸に体を預け血を流し続けるユウキに差別の目を向けた。


それを見た時、カノンは咄嗟に飛び出していた。


「やあぁぁぁぁ!!」


勝てるわけが無い、そんな事は分かっている、けれども.........

この人を死なせたくない。


短剣を二本構え、命を刈り取ろうと正義の首に剣を向け。


「くると思ってたよ....」


「え?..がっぁ!?」


いつのまにかユウキの所から消えていた槍がカノンを背中から容赦なく貫いた。


その血が、槍が、ユウキの瞳に映る。

運が悪くも心臓部を貫かれた、カノンの姿。

瞳から色が消え、どさりとユウキの横に倒れ尽くした。


「カ...ノン?...おい!...嘘だよな?....返事して....くれよ!なぁ!......げほっ!」


心配の声もまともに出ない自分の体に嫌気がさす。

自身の体を引きずり、カノンの頬に手を伸ばした、まだ暖かい、だがだんだんと冷えて行っていることがわかる........自分の体も.....


(ーまた.....失うのか....)


カノンの姿が、ユウキの脳内でフラッシュバックを繰り返し続ける。

心臓が、ドクン、ドクン、と心音ががずんずん早くなる。

恐怖、仲間を失う恐怖、ただそれだけがユウキを支配していく。


「うっ....あぁ......」


慣れた。

悲しみの声は出る、けど涙はもうでない。

何度目にもなる別れ、何回繰り返した?何度涙を流した?もう既に枯れてしまった。

そんな自分に嫌気がさす。


(もう.....どうでもいいや.....)


発狂しそうに、狂いそうに、全てを自分自身も仲間も世界も全てを壊してしまおう、そうだ復讐なんて関係ない全部壊せばいい、そんな考えに取り憑かれそうになったその時。


『また失うのか?』


急に頭に映像が流れる中、妙に聞き覚えのある声が響いた。

その声のおかげかユウキの意識はそちらに向く。


『お前はこの状況を打開する事が出来るはずだ、なのに何故それをしない?聞かせてくれ』


(人で、人間でありたいから......)


『嘘をつくな.....お前は人とかそういうのに全く興味がない.....』


(..........)


『本当は...拒絶される事が怖いんだろ?なぁ?』


頭の中に響く言葉は、妙にその通りだと実感させられる言葉、いや俺の本心を物語っているような......


『人ではない、全く違う、何か、その姿を、人ではない事で拒絶されるかもしれない事が怖いんだろ?』


(.........)


『そうだよなぁ?怖いよなぁ?仲間にまた非難の目で、敵意の目で、差別の目で見られるのは怖いよなぁ?分かるよその気持ち』


頭に聞こえてくる声は妙に優しく、心が揺らぐ。

なにせ俺の意見を認めてくれているのだから、全てお前が正しいんだと肯定してくれるから。


『けどな?今なにもしなければ死ぬんだぜ?その仲間も、お前も、な?だからよ、なってやろうぜ、復讐者に、人ならざる復讐者に!......』


その声は期待、願望、嬉しみ、善意しか入っていない声。


『別にいいじゃねえか、もし怖がるようなら、仲間も全員()()()()()()()().....』


まるで、自分だけは俺の事を理解している、そんな口ぶりで頭の中の何かは言い続ける。

今まで力を隠してきたユウキを許すような、包み込むような優しさ。

そしてゆっくりとユウキの手を取った。

空想の中、頭の中の存在のはずなのに、俺の手を何かが掴んでいて.......


『ゆっくりでいいんだ.......』


勝手に開いたステータスの真下『****』その文字をユウキの力なき指はゆっくりと触れた。


『そうだそれでいい!!』


その時ユウキの人間としての鎖がばらばらに砕け散った。





カノンの血が、ユウキの頬をつたい流れ落ちて.......たったそれだけのわずかな時間。


「人間は脆くていけないね.....」


死にかけ、血を流れ出し続けているカノン、そして完全に戦意もクソも無くなったように動かなくなったユウキ、その二人をゴミを見る目で一瞥すると。

最後に、とばかりに槍を投げつけた。

激しい音、それだけを聞きもう興味ないとばかりに服の爆炎の焦げを振り払った直後。


悍ましい気配と、膨大な魔力が後ろで上がった。

冷や汗を流しながら、振り返ればそこには魔力の渦に飲み込まれているキリアの姿。


(これは.....魔力の暴走?.....まさか....)


「自爆する気か?....くくく!あははははっ!!.....よく考えたじゃないか人間風情が!けどそんなの当たらなければどうという事もないよ!......」


左手を浮かべると正しき槍が手の中に、右手に持ち替え、振りかぶると。


「今度こそ最後だ.....人間のクセによくやったよ!」


槍は最後のキリアの命をも奪おうと先行したその時。


魔力の幕は光の粒子のようになって消え去り、中からキリアが顔を出した。

ギロリと黒く黒く染まった瞳で睨みつけると。


「俺が人間に見えんのか?」


「なにっ?....ぐぅ!?」


その時何かが正義の頬を殴りつけた。

だがキリアの手ではない、その事だけは確信していた、なにせ距離的にも無理で、しかも瀕死のはずだ。

だが正義が見たそこには、目を黒く染め、額には鬼を連想させる角、そして右半分を異形の姿に変えたキリアの姿。

その腕にはカノンが抱かれている.......腕?

何故?正義は動揺を隠せない、なにせ足元には腕が落ちている、なのにキリアには生えている。

それに槍は?どこにいったんだ?何故だ?なにもかも理解できず、カノンを抱きかかえる、キリアに。


「君は誰だ?」


その訝しみ、疑問を浮かべた質問に、分かってるだろう、とばかりに、当たり前のことのように。


「化け物だよ」


悲しげな目を向けた化け物は口元は笑ませて、恐怖、自身の姿に、心を、全てを笑い飛ばそうとしていた。


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