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復讐するため今日も生きていく  作者: ゆづにゃん
第八章反撃開始
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第83話正義と復讐と

少し投稿が遅くなってしまいました。

すいません。

怒号が城の目の前、かけ橋の辺りに響きわたり、その下から激しい水しぶきが舞った。


「なんだありゃ?」


遠くから国の人間達が城の前の壮絶な光景を食い入るように見る。


「あれは?......人か?」


そこには舞った水と同じように空に投げ出されている少年の姿。

そして一泊間を置いて、重力が働き出し、隣の破壊された民家の上に落ちた。


「大丈夫か!?......」


地面に叩きつけられる激しい破壊音が聞こえ民家により声をかける。


「おい!待て!」


土煙が舞う中、男はその中にいる少年に手を伸ばそうとして、隣の男にその手を止められた。


「なんだよ......いきなり....」


「よく見ろよ......こっちを見てるぞ....」


「はぁ?何言って.......ッ!?」


土煙が晴れ、そこにいたのは二本の足で立っている少年の姿。

その瞳は黒い、色など無い黒く黒く染まっている。

その瞳を見た瞬間何かおぞましいものを感じた。

そしてその瞳に見いられているのは......俺たちでは無い。

すぐに理解し、冷や汗を垂れ流しながら後ろを見れば正装に身を包んだ紳士?がいた。

その翡翠の瞳は狂ったように轟々と輝いている。

その2つの瞳が睨み合う中心、そこにいる国の人間達は慌てふためいている、何せどちらの瞳に威圧されようとも前にも後ろにも下がれないのだから。


少年が口元の血を拭うと、いきなり誰にでも見える螺旋を描き続ける風、高速の証拠である音を鳴らしている。

それを見て紳士は口元をニヤリと綻ばせると。


「そういう事か.....確かに君の意見は最もだね、くくく」


そう言いながら右手に螺旋を描く炎が出現した。


「だが僕にはそんな事関係無い、逆に君の思い通りになる事が気に入らない......としたら?」


「お前.....国の味方じゃ無いのかよ」


ギロリと瞳で睨み付けるも、やれやれと肩をすくめた。


「悪いけど僕の正義はこんなちんけなクズ達を救う為のものじゃない......馬鹿にするな」


瞳が少年を鋭く射抜く。

妙に威圧の入った言葉に一瞬たじろいだその時、紳士の右手から螺炎がとんだ、轟々と空気を燃やし人間を飲み込まんとする。


「ちッ!!」


咄嗟に少年も右手を前に突き出し、螺風を放つ風は炎とぶつかり合うように見えたが、隣をすり抜け私達を吹き飛ばした。


「ぐっ!?あ.......」


その時私は風の勢いのまま石に頭をぶつけ気を失った。

ただその時分かったのはあの風が、あの少年が、私達を助けてくれた事だけだった。



「全く、とんだお人好しの悪だ、反吐が出る」


唾を吐き捨て、人を助け炎を身にくらった少年に悪態を吐く。


「お前よりは善人だと思うぞ」


炎を身体に受けてを右手を焦がしつつも、煙を振り払い、堂々と少年、ユウキは姿を現した。


「僕はね、君みたいのを悪だと認定しているんだ」


「悪?人を助けて悪なのか?それは正義、お前のやる事だろう?」


「僕がそんなことするわけないだろう?将来の悪を育てるなんて事、はね?」


「将来の悪?」


「そうさ、あの助けた男達が未来、人を傷つける、痴漢、暴漢、殺害、何をするか分かったものじゃない........僕の正義はね、人間を全て殺す事だよ!!.....」


狂い、狂い、行き着いた先の正義それは、人間を殺す事、そうすれば悪は生まれない。


「今の所僕の住むこの世界で生きていていいのは、僕の友人ただ1人だ!!.......だがそんな正義の象徴の友人も、人間に、殺された!!....」


つまりこの男は、友人を殺され、狂い、そのような事をした人間を滅ぼそうとしている。


「人間に優しくし過ぎた為に殺されたんだ!!なのに!......なのに!!」


感極まったように、叫び、嘆くように空に声が響いた。


「なぜお前らは、人間は生きている!?友人を裏切ったお前ら悪が何故飄々と生きているんだ!!?」


そこまで言うと自分の口を片手で塞ぐ。


「おっと口が滑り過ぎたようだ、取り乱してすまない」


先程の態度を直し、顔をヘラヘラと歪ませる。


「つまり君は僕に殺される人間な訳だよ、僕の目指す正義には君はいらない、欲しいのは僕が撒いた種、そこから芽吹いた正義だけさ」


帽子を脱ぎ捨てると、何処からともなく男の背丈を越える光り輝く槍がその手には握られていた。


「はははは、あー面白いな」


「何が面白いと?」


いきなり笑い出したユウキにシンは怪訝そうに眉をひそめる。


「結局お前は友人殺した奴に復讐したい訳だ」


「僕はそう言うつもりで言っているんじゃない、ただ正義を貫こうと.......」


「同じだよ」


妙に座った声がシンの耳に届く。


「全く違わない、同じだ」


俺と同じだ。

カノンと同じだ。

エミリーと同じだ。

リンと同じだ。


だから同情する........訳がない。

そんな思いをしてるのはこっちも同じだ。

同じ復讐者だからなんだ?同じ道を辿ってるからなんだ?その事実があったとしてもお前は今俺の復讐の邪魔をしてるんだ。

それだけで、お前を殺す、復讐者を殺す(共喰いする)、理由になる。

だから


「俺がお前を殺してやる」


手には『黒剣・壊』が握られている。

ユウキの魔改造でより硬く、それでいて軽く改造された黒剣だ。


目の前の名も知らぬ少年のいきなりの殺してやる、その発言に正義は笑い。

槍を構えると。


「名前はなんだい?僕の断罪人リストに刻んであげるよ」


「...........キリアだ、お前は?」


正義(ジャスティス)だよ、僕にふさわしい名だくくく」


お互い偽名を名乗っていることに気づき、手に力を込めると、キリアは地面を蹴り正義のすぐ目の前、ノータイムで剣技を発動させた。


「くくくくく!さあ正義と悪の戦いを始めよう!!」


向かって来る少年キリアに、正義は神々しく輝く槍を向けた。



「なんだろーこの揺れ......それにさっきから外がうるさいな〜まともに寝られないよ〜」


ベットの中から顔を半分だけ出して忌々しそうに外を見るオーク。


「ってまあ起こしてくれてありがとう?なのかなぁ」


小さくぼやいて、王に買ってもらった戦闘用の服を着る。


「うん〜っと」


体を上に伸ばし肩を回し、扉を開けると、耳にチャイムの音が響いた。


「誰かなぁ?もうみんな戻ってきたって事?.......それなら楽なんだけど......」


階段を急ぎ足で駆け下り、玄関に向かうと鍵を開け扉を開けた。


「はーい、どちらさまって.......まじで誰?」


そこには長髪の淡い青髪した女性が佇んでいた。

だがその服には見覚えがある。


「エミリーよ.....分かります?」


「はっはぁー、また一段と綺麗になっちゃって........何があったのって聞きたいところなんだけど.......その後ろのミキ君はどうしたの?」


確か王の新たな奴隷になったヒースミル?って人の腕の中にはミキがぐったりと、ぐっすりと寝ていた。


「うーん寝てるだっけぽいね......まぁいいや、回復薬とかもろもろはあそこの部屋にあるから怪我してるなら治してねぇー、多分今から大変だよ?」


オークがだるそうな顔をしてぐったりとした声を出すと。


「あれ?みんなお揃いでどうしたの?」


「ほーらきたよぉ〜」


後ろにはいかにも臨戦態勢なリヒトの姿。

何故かそれをオークは恨めしそうに睨んだ。


「そっちこそどうしたんですか?リヒト先輩、そんな物騒なもの持って」


まるで試すように体制を低くして目線を落とす。

まるでいつ攻撃されてもいいような、敵と対応しているように見える。


「いやぁ少し、依頼主の手伝いでもしに行こうと思ってね〜」


だがそんなオークの様子も気にせず我関せずとばかりにへらへらと言葉を口にする。


「それなら大丈夫ですよ〜終わりそうだから来なくていいそうです」


「うーん、でも一応確認はしとかないと.......じゃあそういうわけで」


「逃がさないよ?王の邪魔はさせないからね」


「邪魔?邪魔だなんて酷いな〜けど、止めるなら.........ぶっ飛ばしちゃうよ?」


妙に威圧の入ったその声は今まで暮らしてきた、見てきた、接してきた人間、リヒト=フリーワンとは思えないほど殺意に満ち溢れ、それをかき消すほど感情が見えない。


「やれるもんならやってみなよ」


リヒトの周りからは魔力が溢れ出る。

今すぐにでもやってやると言った感じだ。

オークもそれに合わせ武器を抜くが、いきなりリヒトはすっと力を抜いた。


「って流石にここでやるわけないでしょ?少しの間だけど一緒に暮らしてきた仲だしねぇ、チャンスをあげるよ」


リヒトは手を胸に当てると、半笑いをして。


「君達がこの俺、リヒト=フリーワンを止めれれば勝ち、止められなければ俺の勝ちさ、どうだい?やるだろう」


つまりリヒトは今すぐ逃げて仕舞えばいいものを、わざわざオーク達を潰してから行くと言ってくれているのだ。


「やるに決まってますよ、王の為ですから」


「じゃあ外で待ってるよー、けどあまり遅いと行っちゃうかもよ?」


嫌らしく笑みを浮かべると、リヒトは扉を開け家を出た。

静まり返る、リビング。

妙に響くのは外の爆音だけ。

そんな中エミリーの凛とした声が響いた。


「どう言うこと?」


「それについては説明のしようが無いんだけどぉ、一応出来るだけ頑張ってみようかなぁ、なんて.......」


「大丈夫なんですぅ?リヒトさん?でしたっけぇ?あの人勝手に行ったりしませんかぁ?」


「それは.......リヒト先輩を信じるしかないよ」


自嘲気味に呟いて、事の発端、リヒトを疑い始めた経緯を話し始めた。



5日前、万屋の屋台の前には珍しく人がいない。

いつもは依頼が多いのだが......目の前の馬鹿.......リヒト先輩が全ての客を持って行ってしまった。


「はぁ、あの人大道芸人にでもなれば良いのに......」


こんな仕事するよりもそっちの道の方が安全でかつ儲かるだろうに。

妙に青く晴天の空を見上げため息を吐く。


「おーいオーク!少し手伝ってくれ!」


「はーい、待っててください」


いきなりのリヒトからの呼び出しに慌てて飛び出すもリヒトの元へ。

そこには既に客はいない。

もう帰ったのだろう。


「悪いんだけどこれしまっといてくんない?」


手渡されたのは大量の貨幣、どれも客からのおひねりで貰ったものだ。


「本当に万屋やめればいいのに.....」


「ん?なんかいった?」


「いや、なんでもないですよ......リヒト先輩はどこに?」


1人どこかに行こうとしてるリヒトに声をかけると。


「少し用事があってな」


そう口にしてどこかに歩いて行ってしまった。


「はぁ自由でいいなぁ」


そうぼやき1人仕事に戻った。


7:00頃、いつも通り愛の国第12区画に向かっていた。

珍しく1人で行動していたオークは新しいお店に行こうかなどと考えていたが......その時ふと聞き覚えのある声がした。


「........だから......戻らない」


「そんな.....言われても......無理.....私は私.....ない」


良く聞こえない、片方の声はリヒトで間違いないだろう、だがもう1人の声。

妙に甲高い声から女だと予想する。


(うーん、この声からして相手はかなりの美人だな......もしかしてリヒト先輩彼女を!?これは確かめなくては.......)


オークの女センサーでは相手は美人であると予想して、確かめついでにこっそりと窓から覗いてみた。ちゃんと声も聞こえてくる。


「いい加減になさって下さい、廻来教(かいらいきょう)総本山からの命令なのです、貴女様はしっかりと自分の立場を理解してください」


無表情、無感情、瞳は銀色で髪は桃色に染められている。

思った通りの美人だ。


「分かってるよ、けどだからなんなんだよ、俺は俺のやりたいようにやる親父なんか知らない指図するな」


「そうですか........そんな事を仰るなら」


ナイフを取りだし自分の首に当てる。


「この命、私ごときの命が消え失せることになるでしょう」


その言葉平然と自分の首にナイフを当て少しずつ血を流す姿にリヒトは忌々しそうに苦々しく顔を歪める。


「......なんなんだよ、お前は誰なんだよ」


リヒトから発せられたとは思えない程の苦痛が込められた声。

いつもの飄々とした態度は何処へ行ったのか問い詰めたくなるほどに、その顔は苦しみにあふれていた。

だがそんなリヒトの顔もその女はなんともおもわずに軽々しく答えを返した。


「貴方の愛した女......ミリアナ=スターリですよ?」


「はは......」


小さくいつも通りの顔で笑い、顔を歪めた。


「ふざけんな!俺の愛した女はお前じゃない!........」


「すいません、言っている意味が良くわかりません、貴方の愛した女ミリアナ=スターリは私なんですから」


怒り声で言ったのに怯まずそう言ったこの女に目眩と頭痛を覚える。

目に手を当てると強張った表情を壊し、その場から逃げるように出口の扉へと向かった。


「つまり指示通りに動いてくれるわけですよね?内容を覚えていますか?」


逃げることを指示通りに動いてくれるのだ、ミリアナはそう理解して問いかける。


「.......覚えたくもない.....」


「そうですか、分かっていないようですのでもう一度言わせてもらいます」


人間としての言語能力が著しく低下している、まるで機械のようだ。


「この国のトップにおられるお方リク=ゲイナー様を決して闇の魔王軍に取られぬよう、殺されぬようにしろとの事です、その邪魔をする者は全て排除せよとの事です」


「なっ!?」


ってことはつまりリクを殺そうとしているユウキは敵、排除対象になるわけで......その時。


「誰かいますね....」


冷ややかな声と視線が窓越しのオークに注がれる。


(あっやばっ!.....)


静かに手を上げたミリアナは剣を取りだし振り降ろすと、そこから衝撃が走り家を砕き呑み込む。


「やっばい!.......」


転がりながら躱すと、立ち上がりよろけながら逃げ出した。


「.........」


リヒトの視線がオークの背中に注がれたような気がしたが。

気のせいなのだろう。



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