第46話闘技場
決勝戦当日、決勝戦はユウキvsハヤト、力の持った王族同士の戦い。
国民たちはその戦いを一目見ようと城の前に押しかけていた。
本来決勝戦は普段通りコロシアムで行われるはずだったが、ハヤトが「王族に仕えているものだけが見れるようにしようと」言い出したのだ。
普通こんな事許されるわけがないのだが、家臣たちは今のうちにハヤトに媚び諂おうと必死なのだろう。
それにしてもなぜ、こんな要求をしたのか甚だ疑問だろうが、俺だけは理解している。
俺をつぶすためだろう、国民の前でいじめのような残虐な行為に及べばハヤトの信頼性が落ちる、なおかつそんなことをすれば試合自体を止められるだろう。
だが、自分の息がかかった者たちならば止めることは出来ない。
そう考えての場所変更だろう。
「全くめんどくさいことしやがって.....」
「そんなこと言うなよ、お前のためのステージだぜ?」
控室に一人、ぽつりとつぶやくとくそ兄貴が声を返した。
「なんでお前がここにいる?お前の控室は反対のはずだ」
「まあまあ、そんな冷たいこと言うなよ、ちょっと顔を見せに来ただけだろ」
「うるせえ、さっさと戻れ」
俺が怒気を込めて言い放つも、へらへらと笑う。
「仕方ない暇潰しの役にも立たない腐れ弟のいうことを聞いてやるか」
そう言って控室から出ていった。
闘技場の中に入ると、前のような、ものうるさい声は聞こえず。
城の関係者達が思い思いにじっと静かに見守っている。
その目線は主に目の前のハヤトへと注がれていた。
「全く人気者はつらいな」
「お前が人気者?違うだろ、お前はただの自分勝手な独裁者だ」
「今のうちに吠えてろ、俺が王様になったらお前もこき使ってやるからよ、いや......」
そこまで言うと試合開始の音が鳴り響く、兄は左手に盾、右手にエクスカリバーを持って
「お前は死んでるかもだけどな!!」
そう叫びながら、殺す気満々で突っ込んできた。
降り下ろされる黄金に光り輝く剣を何とか剣で受け止める、だが、運良く剣のもろい部分にあたりギリッと嫌な音を立てた。
このままでは折られると理解したユウキは、あえて力を弱めハヤトの剣を横に流し地面にたたきつけさせた。
そのすきに自分の剣を地面に突き立て、その剣を体の支えにして全力で蹴りを叩き込む、確実に当たった感触が足にあったがそのあたった場所は左手の盾だった。
「反射」
その声とともに斬撃が飛んでくる、至近距離からのゼロ距離の斬撃に肩から直撃する。
威力がすごく土煙を巻き荒らしながら壁にたたきつけられる、だが思った通り傷が浅い。
「まさか、これで終わりか?」
肩透かしも良いところだ、とハヤトが土煙で姿の見えないユウキにあきれた声を出したその時、地面が割れ鋭くとがった巨大な岩石がハヤトめがけて地面から飛び出してくる。
「なっ!?」
驚きながらも咄嗟に筋力強化スキル『パワーブースト』を足にかけて跳躍する。
だが、岩石は思っていた以上に大きく、跳躍しているハヤトにも届いていた。
「ぐっ!」
咄嗟に盾を前に構えて威力を吸収するが、吸収出来るのはあくまでも威力のみ、当然岩石はその場に残る。
威力を吸収したハヤトだが、その反動で空になげだされた。
空中では身動きが取れずただ下を見るそこには、鋭い岩石。
ハヤトは苦し紛れに
「反射×3」
斬撃を三連撃岩石に叩き込んだ。
岩石から鋭い部分がなくなり平らになったことを確認して着地。
そしてぎろりと敵意を含んだ瞳で、ユウキを見つめた。
「なんだ今の?お前そんな力隠してたのか?ゴミの分際で?」
「うるせえ人間のごみが」
土煙が晴れるとそこには、茶色い光をまとった剣を地面に突き刺しているユウキが現れる。
「あ?誰がゴミだって?」
「お前以外に誰がいるんだ?耳腐ってんのか?」
「何にも役に立たない廃棄物が.....俺様をゴミ呼ばわりだと!?ぶっ殺してやる!!反射×5!!」
複数の斬撃がユウキめがけて飛んでくる。
ユウキは冷静に第4の剣『岩聖剣』を解き、第7の剣『活人剣』をまとわせる。
『活人剣』の能力は完全なる強化。
剣の基本能力を倍以上に引き上げる。
そして、剣を扱うことに使う自分自身のステータスを底上げできる。
その強化された剣なら斬撃をきり返せる。
そう思い剣技スキルLV5『迅速・連』を放つ。
『迅速・連』は魔力を使う少し変わったスキルで魔力が尽きるまで好きなだけ最速の一撃を放ち続けることができる。
まず一撃目を右上から左斜めに振り下ろす、ギンッと金属音を鳴らし予想通り斬撃はかき消えた。
二撃目を降り下ろした剣を上に振り上げ消しすぐさま体をひねり三撃、四撃目を放ち搔き消す。
そして、最後に五撃目を打ち込み斬撃をすべて消し飛ばした。
「なにっ!?」
驚いているハヤトに続けて六撃目を叩き込む、だが咄嗟に構えた盾に当たり威力を消されてしまう。
(まだだ!)
威力を消された剣を構えなおし『迅速・連』を一撃二撃三撃とずんずん叩き込んでいく、だが当然盾にガードされる。
(もっとだ!もっと!もっと!速く動け!!盾を超える速さで動くんだ!)
「がぁぁぁぁぁぁああ!!」
怪物のような咆哮をあげ、何度も何度も斬りつける。
直剣の閃光が火花になって散り、頭には1つの言葉が浮かぶ。
(......殺す!)
「ガキッ」
と金属のかける音がした。
一瞬自分の剣が折れたと勘違いしそうになったが、ハヤトの少し欠けた盾を見て理解する、勝機はあると
そう理解するが早いかすぐに『迅速・連』を連射する。
何度も何度も斬撃を浴びせることによって盾は少しずつ欠けていく。
(よしっこれなら.....)
そこでふと違和感にきがついた。
(なんだ?....この違和感?)
悔しそうに歯がみするハヤトを見て、やはり自分が優勢であることに確信を持とうとする、だが何故かその悔し気な表情が変だと感じてしまう。
(なんだ?何が変なんだ?)
剣と盾の攻防を繰り広げながら頭の中でしっかりと考える、そこで変だと感じる理由が頭に浮かんだ
(.....なんでお前そんな悔しげな表情してるんだ?)
今のハヤトの状態はすさまじく劣勢というわけでもなく、いくらでも反撃ができるだろう、何せハヤトには『反射』【運命の剣エクスカリバー】と攻撃手段があるのだ.......
(そうか.....分かった..さっきからおかしいと思っていたのはこいつがなにもやり返して来ないことだ!そして、あいつが絶対にしないような悔しげな表情をしたのは俺にチャンスだと見せて、盾に攻撃させること、ということは!.....)
やばい!すぐに剣を引き後ろに下がろうとするが、
「気づくのが少し遅かったなユウキ!!全反射!!」
その兄貴の勝ち誇った声が聞こえると闘技場は巨大な斬撃の爆発に包み込まれた。
最近ノベルバの方にも投稿しています。
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