第39話兵士
一日遅れですがあけましておめでとうございます!
今年も頑張って投稿していきますので今後ともよろしくお願いいたします!
今回の話は少し長めです。
目が覚めると目に見えたのは真っ白い天井、教会の木材の天井ではない、明らかに石材の天井だ。
(ここ.....どこだ?)
軽く頭を押さえながら怠い体を無理やり起こすと、辺りを見渡す、そこは見覚えのある子供部屋、別名鳥籠だった。
城は爆発のせいで木っ端みじんだったが、鳥籠のある屋敷は魔石入りの特別製の為被害なく済んだのだ。
(....なんでここに?)
不思議に思いながらベットにから出ようとして。
そして今さら気が付いた、誰かがユウキの体に抱き着いていることに。
「誰だ?」
布団をめくってみると中には猫のように小さくうずくまっている、アリアがいた。
そのせいで余計わからなくなってきた、最悪寝ているのはカノンかフィリスだと思っていたのだが......
(.....っていうかこの状況もしバルザに見られたらやばくないか?)
そう思うと顔が青ざめる。
昔、バルザの弟子だったからこそわかる、バルザがキレた時の恐さ。
昔からユウキに妹の話ばかりをしてきてうんざりしていた。
まるで孫ができて嬉しいおじいちゃんのようにしゃべり倒していた。
それだけ妹に入れ込んでいたロリコンがこの状況を見て怒らないだろうか......断じて否。
(くっそ、あのロリコンと戦って勝ち目あるのか?今の俺のLVは40台前後、あいつのLVは俺が死ぬ前は確か70後半だったはずだ。でもあのロリコンのことださらにLVが上がっている可能性も―)
戦いになることを想定してバルザの情報を頭の中でまとめ始めるが、いらぬ心配だったようだ。
「ん.......」
アリアの声らしき小さな喘ぎ声が布団の中から聞こえてくる。
(起きたか.......これで布団から出られる)
そうほっとするとすぐに硬直することとなった。
「うーん....」
そう言って寝にくそうに体をよじらせユウキの体に自分の体をこすりつけてきたのだ。
「なっ!.....」
驚きのあまり体を硬直させてしまった。
(何とか体から離さないと.....)
だがすぐに思考を再生して布団の中をのぞいた。
体から引き離そうとすごい気持ちよさそうに寝ているアリアの肩を持つ。
その時、タイミングばっちりで目が合ってしまった。
「あ......」
つい声に出してしまう。
だがアリアはまだ起きたばかりで状況判断ができずきょとんとしている。
だがさすがに布団の中だと気づいたようだ、その瞬間ボッと一気に顔を真っ赤に染め上げた。
「お、おはよう......」
取り敢えず寝起きのあいさつをしておく、するとアリアはかすかに肩を震わせ
「い、いやぁぁぁぁぁぁあ!?」
屋敷に響き渡る程の甲高い声を上げた。
♯
「す、すみません、大きい声を出して......」
ベッドの下の床に正座をして、深々とアリアは頭を下げた。
「いや、そんなに気にすることないぞ?」
「で、でも......」
何か言いたげな言葉を残し俯いてしまう、なにやら自分の先ほどの行動に不満があるらしい。
別に気にすることはないと思う、いきなりよく知らない男と一緒にベットの上で寝ていたら悲鳴を上げても当然だろう、むしろその方が正常な判断だといえる。
「それよりなんで俺はここにいるんだ?」
結構気にしているようだったので話を変えるついでに自分が今聞きたいことを訪ねてみた、するとアリアはキョトンと首を傾げた。
「覚えてないんですか?」
「何を?」
「そうですか、実は私もよく知らないんですがバルザさんが倒れているキリアさんをここに連れてきたんですよ」
倒れた?何かそんなことになるほどの危険なことをしていたのだろうか?...考えてみても特に思い出せそうにない。
「私びっくりしてバルザさんにきいたんです、どうしてキリアさんがこうなっているのか、そうしたら「少しキリアに頼りすぎた、悪いがキリアの看病をしてくれ」とお願いされて....」
今の話を聞く限りアリアは俺の看病をしてくれていた、そこまではわかる。
だがなんで俺の布団の中に入っていたのかがはわからない。
俺の推測だとつい眠くなってしまった。
しばらくは耐えていたが、睡魔に耐えられずついつい布団の中に入ってしまい寝落ちしてしまった、そんなところだろう。
それにしても俺が倒れていた?そんな覚えは全くない。
もしかして記憶少し飛んでいるのだろうか?唯一思い出せるのは雨のことまで......雨
ああ、そうだった天候操作の魔法を畑に使ってやると約束をしていた。
それなら今俺のやることは一つしかないだろう。
「なあ、図書館ってここら辺にないか?」
「図書館はないですけど確かクリムさんが自宅に変わった本をいっぱい持っていると聞いたことがありますが.....もしかして行く気ですか!?」
「そうだけど?」
「ダメです!絶対に今日は安静にしてもらいます!」
扉の前で両手を広げ遮るように立つアリア、絶対に行かせないという意気込みが伝わってくる。
ユウキは困ったように、頬をかき、下を向いた。
下を向いた顔を上げると、今まで見たことが無い程あざといつぶらな瞳でアリアを見つめた。
「なっ....」
あまりの変化に驚嘆を浮かべ少し後ずさった。
一応言っておくがユウキよりもアリアの、方が肉体年齢的には上だ。
ただアリアの身長が異様に低いため子供だと勘違いされやすいだけなのだ。
そしてユウキの顔だちは幼い少年。
ならば、普段の不愛想な顔ではなく、とてもかわいらしい無邪気な男の子のふりをすればいけるのではないか、そう考えてみたのだが。
「うう....そんな顔をしても....ってえ?キリアさんですよね?」
ユウキの劇的な変化をした顔の表情を見て戸惑いの声を上げる。
(やっぱ無理か)
「いや今のは忘れてくれ」
そう言っていつも通りのキリっとした顔に戻す。
「それにですよ?「弱ったキリアならやれるにゃ!」とか言って屋敷の門の前でフィリスさんが出待ちしてますよ?」
(ほお、あの糞猫.....こんな時まで狙ってくるのか)
今度来たときはひもで縛るだけじゃ済まさないでやろう。
そんなユウキの考えなどつゆ知らず
「ともかくダメなものはダメです、私は外の扉で見張っています」
そう言って部屋の外につながる扉をガチャリと占めた。
(この部屋からなら扉以外から出ることは不可能とでも思ったのか?甘いな~)
そんなことを内心思いながら布団に軽く細工をして瘴気魔法を壁に向けた。
「さて、脱出できたけどクリムってどこにいるんだ?」
壁にあけた穴から飛び降りたキリアは率直な疑問を浮かべた。
アリアから特に情報聞き出さずにきたけど、正直家がどこにあるのかもわからない。
(ちゃんと聞いとけばよかった....でも確かカノンが兵士達の稽古をしてあげてるって言ってたよな、そこにいるか?)
一応クリムも兵士だ、ならそこでカノンにしごかれてる可能性が高い。
少しの望みにかけて森の訓練場に向かうことにした。
城の後ろに存在している森。
この森はエルフの集落までを覆っている。
その森の中を歩きながらユウキは一人懐かしそうに歩いていた。
(変わってないな、ここは.....)
昔の思い出で数少ない楽しかった思い出をフラッシュバックさせる。
思い出が頭の中を駆けめぐっていると、ある一つの思いが溢れ出てくる。
過去に戻れないのだろうか、と。
今過去に戻れればすぐにアセロラを殺して孤児院の子供たちが死ぬ未来はなかっただろう、カノンもそうだ、過去に戻って村のやつらを焼き殺せばいい、そしてカノンとカノンの家族だけを助けてあげればいいのだ。
そうすればみんな幸せな毎日を過ごせるだろう、くずども以外は。
そんなことを頭に浮かべたが
「......いまさらだな」
すぐに夢物語だと割り切った。
しばらく思い出に浸りながら森を歩いていると。
何かの声が聞こえた、その瞬間咄嗟に反射的に木の後ろに隠れた。
「あれ、今誰かいなかったか?」
「気のせいだろ、それより話の続きしようぜ」
また、しゃべり始めた兵士達、木の陰から顔を少しだけ覗かせた。
どうやら兵士たちが稽古を終えて休憩しているようだ。
それならカノンの居場所を聞こうと木から出ようとしたとき兵士達の話が耳に飛び込んできて、歩みを止めた。
「なあ、お前カノンさんのことどう思う?」
「なんだそれ、可愛いに決まってるだろ?」
「だよなぁ、やっぱりライバル多いよなぁ」
「そりゃあそうだろ、あの整った顔立ち、綺麗になびく紅の髪、愛らしさを奏でる猫耳、そしてあの強さ、こんな人誰もほっとくわけないだろ」
「お前やたら詳しいな、お前も狙ってるのか?」
「当然だな、カノンさん愛好家クラブの第3席に座ってる男だぞ?」
自慢げにファンクラブのことを話す。
それを聞いて、ユウキは少しぞくりとした。
「マジかよ、ってことは誰が一番のライバルか知ってるよな?」
「ああ、やっぱり一番有力なのは愛好家会長だな、そして一番のダークホースがこの俺よ」
「すげぇじゃねえかよ」
「ふふん!すげぇだろ?」
そう言って自慢げに鼻を鳴らした。
その兵士に俺は嘘だなとため息をついた。
「そう言えば会長がこんなこと言ってたっけ、カノンさんにはご主人様と呼ばれる人がいてその人の事が大好きらしい、まあ噂だがな」
それを聞いて俺は思いきり吹いた。
「ん?今なんか声しなかった?」
「さあ?」
吹いてしまった口を無理やり手で押さえると、ばれたか?と冷や汗を流した。
それにしても.....
(なんで俺の情報が洩れてるんだ?っていうかカノンは俺のこと好きなわけないだろ、ただあいつは俺のことを復讐のための道具くらいにしか見てないはずだ)
これはユウキの持論だが、そう思っている確率は高いと踏んでいる。
「噂だよなよかった、それにしても会長が有力なのか、会長イケメンだしな、これ勝ち目ないかなぁ」
「いや、いい方法があるぞ」
「なんだよ」
嘘だろ、胡散臭い目で提案を出した兵士をにらむと。
おどけるように喋りだした。
「実はな、ここだけの話皆でカノンさんを押し倒してしまおうって話が進められてんだ」
「はああぁぁ!?無理だろ、勝ち目ないって」
「だが全員で行けばいけるだろ?」
「うーん、確かにそれなら.....」
そう言って下を向いて考えるそぶりをする。
そしていやらしい笑みを浮かべた。
「よし分かったその話乗った!!」
「よし、これで会長とクリムさん以外全員参加だな、決行は今日の稽古が終わった後だ」
「おお、そう思うと俄然やる気がわいてきた!」
「じゃあもう行こうぜ」
「ああ、そうだな!」
そう言って元気いっぱいに稽古場所に歩いて行った。
木の後ろに隠れていたユウキは少し不安な気持ちで顔を苦々しく歪めた。
カノンが兵士ごときに負けるわけがない、だが人数は最低60人はいる。
それに今までの兵士とは違う、カノンが強く育て上げた兵士達。
カノンなら兵士たちを殺せばいける、だがカノンは復讐相手以外には優しすぎる、それにこの国の戦力を減らすような真似絶対にしないだろう。
そんなことを悶々と考える。
そして一つの答えが導き出された。
(.......これしかないのか?でもこれは...........くっそ覚悟を決めろユウキ、時間はないんだ!)
そう自分に言い聞かせて稽古に向かった兵士の後ろを追いかけていった。
稽古場ではカノンの前に列を作り、並んでいる。
いつもは誰が一番カノンの近くの列になるかでだいぶもめるのだが今日はすんなりと列を作っていた。
終わった後に楽しみがあるからだろうか。
「さて、全員集まりましたね。では、今から稽古を......」
「ちょっと待ってくれ!」
カノンが声をかけようとした瞬間隣から待ったの声がかかった。
稽古の初めの声を邪魔をされて不満そうにカノンは声のかかった方を見る。
だがカノンは待ったをかけた人物を見て驚愕に顔を緩めた。
「ご!......キリアさん!?なんでここに?」
「悪いけど少し用があるんだ」
そう言いながらカノンに向けて前進する。
「用ってなんで.....」
「すか」、と言い終わる前にカノンを思いきり抱き締めた。
その行動に兵士達は一斉に固まり、カノンは顔を朱に染め、猫耳が挙動不審に動き回っていた。
そんなかわいい反応を示しているカノンの耳にこっそりと言葉を伝えた。
「今から俺のことが好きなふりをしてくれ、あと呼び方はご主人様で」
そう言ってカノンからすっと離れると。
止まっていた兵士の一部が動きを見せた。
「おいてめぇ!何カノンさんに抱き着いてるんだ!!」
怒声を放つと、剣を構えた斬りかかろうとしてくる兵士たち4人。
たったこれだけで切りかかって来るなんて横暴にも程がある、まあそれだけカノンが人気だってことか。
(あんまり戦いはしたくないんだけど、下手したら殺しちゃうだろうし.....)
剣と魔法を使えば死んでしまうため、まえに兵士を殺したときに手に入れたスキル体術を使う。
まず一人目は剣を振り上げたその時に体術スキルLV3『金剛蹴』で鳩尾を鋭く一蹴。
「おっえ....」
呼吸を荒くして、強烈な吐き気に襲われる、口を押さえた手が自身の血で真っ赤に染まっていた。
前のやつがそれだけの目にあっているというのに止まることなく迫ってくる、次の二人の頭を強引につかむとお互いの頭を叩きつけた、鈍い音が響きその場に崩れ落ちた。
そして最後の一人、先ほど叩きつけた頭を使って軽く跳躍、上から迫るユウキの姿に恐怖を覚えた最後の兵士は。
「ひ...あぁぁぁぁあ!!」
無造作に迫るユウキに剣を振った、だが既にそこに姿はなく、きづけば足元に人影が。
気づいた時にはもう遅かった、ユウキから振るわれる自己流『アッパーカット』で顎を殴りつけられ、空を舞っていた。
「ぐえっ....」
普通は体術スキルでこんな威力は出ないがゴーレムから奪った剛力スキルやステータスのおかげで頭の可笑しいほどの威力が出せるのだ。
完全に4人を一撃で気絶させたユウキにカノンが異論を唱える。
「ご主人様、やりすぎです!」
「「「「「「ご主人様!?」」」」」」
兵士がその言葉に一斉に反応する。
なにせ噂の存在が実在していたのだから。
「悪かったカノン、それよりこっち来てくれ」
「?はい」
不思議そうにしながらもこちらに来たカノンをもう一度、今度は力強く抱きしめた。
カノンは先ほど同様同じ反応をしめしている。
「おいお前ら、もし....俺の女に手を出したら殺すぞ」
とんでもない威圧、殺意を向けて言い放つ。
そして最後に見せつけついでに隣の岩を瘴気魔法で消した、その光景に兵士たちは目を疑った。
「もしもだ、もしもこの後カノンを押し倒そうなんて考えてみろ、俺がお前らを直々にこの岩同様消し去ってやるよ」
その圧倒的威圧感と作戦がすべてばれていることに兵士達は冷汗が止まらなくなる。
そんな中ユウキが放つ威圧感にさいなまれながらも逆切れしている奴が二人いた。
会長とクリムだ、勿論ユウキにではない、そんなことを実行しようとしていた兵士たちに対してである。
「ねえ、君たち。僕そんな話全く聞いてないんだけど、それにこんなことしようとして僕が許すと思うかい?」
出来るだけいつも通りの話し方にしようと必死に耐えている会長と言われる男。
だが、こめかみに青筋をたてている。
「あなた達最近少し思いあがりすぎではないですか?一度徹底的にしごいたほうがいいですか?」
クリムは普段と変わらない表情で怖いことを言っている。
そんな様子の二人に兵士が焦ったように噓をつく。
「これは違うんです!?あいつがでたらめなことを!」
「そもそもお前は何なんだ!?ただの農民風情がなんで俺ら兵士には向かうんだよ」
「そうだそうだ」
「ふーん」
これがこいつらの本音か、力の弱い奴らを見下し自分のことばかりを棚に上げる。
一度本当に徹底的にプライドをたたき負った方がいいのかもしれない。
そんな思いが頭によぎるが、取り敢えず口撃に移ることにした。
「へえー、そんなお前らが見下している農民にボコられたのはどこのどいつだ?ああ、そうだった立派でとても強い兵士様だったな」
その言葉にギリッと歯を鳴らした。
「お、どうした文句があるならかかって来いよ、農民の力見せてやる......来ないのか?ならこっちから行くぞ」
そう言って動こうとしたユウキを静かにクリムが止めた。
「すいませんが、あなたが本気でやると死人が出ますので勘弁してください、それよりも何か用事があったのでは?」
クリムが話を変え怒りを収める、そういえば....言われて思い出した、当初の目的を。
「そうだった、俺お前に用事があったんだ」
「そうでしたか、では、その用事とは?」
「実はお前の家にある図書館を見せてもらいたくてな」
「わかりました、当然オッケーです、では今すぐに行きましょう」
そう言ってユウキとカノンの手を無理やり掴みひっぱていく、まるでこの場にいてはまずいように。
「......おい、いいのかあいつらを放置して」
ユウキの異論の声を無視してクリムは無言で引っ張て行った。
そのクリムの表情は初めて見るほど強張っていた。
♯
ユウキたちがクリムに無言で引っ張られて森に消えていくのを確認すると、兵士達は口から安堵と悔しさがにじみ出てきた。
「畜生、あいつの邪魔さえなければ成功していたはずなのに」
「っていうかなんで、あいつは作戦を知ってたんだ?」
「なんでだろうな」
「まあいいじゃねえか、次がある」
「おお、そうだなどうせあいつが言っていた殺すことだってできないだろうしな(笑)」
「あっ、そうだ次は暗がりにでも引きずり込もうぜ」
「おお、いいなそれ」
懲りずにまた作戦を話し合い、笑いあう、また次があるいつも通りの日常が始まる。
そんな風に考えていた、兵士たちに恐怖、日常の終わりの声がかかる。
「そうか次はそんな事を企んでたのか、お前ら」
その聞き覚えのある声に顔から汗がとめどなくあふれるでる。
いやそんなはずはない、こんなタイミングよく......
そんな一塁の望みにかけて後ろを振り返ると、そこには見覚えのある鬼がいた。
「な、なんでここに....」
「全部聞いたよ、お前らが何をしようとしていたか、あいつから」
そう言ってバルザは後ろにいる会長を指す。
「それにしても良かったな、(キリアに)殺されなくて」
「は、はい....」
「でもさ、俺あいつに合わせる顔がないんだよなぁ、お前らのせいで.......」
そう言ってぎろりと横目で睨みつけた。
「だから少し教育してやるよ」
そう、バルザが宣言して、一歩、一歩、殺気をまとったバルザが兵士に近づいていく、すると
「に、逃げろ!!ーー」
一人の兵士がそう叫ぶと蜘蛛の子を散らすように兵士たちがばらばらに逃げ出した。
「誰も逃がさねえぞ、全員半殺しだ!!」
バルザは拳を鳴らしながら逃げる兵士を全速力で捕まえに走った。




