第16話クエスト達成
カノンと別れてから俺は一人獣人の子供達の居る檻に向かった。
檻の中には、仲良くおしゃべりしている獣人の子供と、完全に誰か分からない、顔中ボコボコにはれあがった盗賊がいた。
「もう、いいのか?」
おしゃべりしている獣人の子供達に聞いて見ると、いっせいにこちらを向く、そしてその子供達は先程とは見違えたように笑顔だ。
すると、カノンの事を教えてくれた女の子が
「もう、スッキリしたの!」
そう言って満面の笑みを浮かべた。
「よしっ、いまから皆んなでここの外に出ようか」
「「「「はいっ!!」」」」
「しっかりついて来いよ」
俺が檻の外に出ると、しっかりと俺の後を獣人の子供達がついてくる。
そのまま階段を登りアジトの外に出た。
「皆んなもう少ししたら女の子が来るから待っていようか」
「「「「わかった!!」」」」
そう言って獣人の子供達は、元気よくまわりで遊び始めた。
俺はそんな無邪気子供達を見守りながらカノンを待った。
俺は特にすることもなく冷たい岩に腰を下ろし子共達を眺めていると打撃音が響いた。
「邪魔だどけっ!!」
それは子供が殴り飛ばされた音。
俺は焦って走る男の目の前にゆらりと降り立つと、その男の腹を殴り飛ばした。
走ってきた勢いも合わさって、普通は出ない声が上がると、
「グベラッ!?」
口から血交じりの唾液を飛ばし、力が抜けたように地面に倒れおなかを押さえ始めた。
それを見たもう一人の男は、とっさに足を止めこちらを恐怖の目で見てくる。
「お前は...あの女の仲間?....お、俺だけは助けて.......」
必死な懇願、心からの声だったのだろう。
「ああ、いいよ。でも、少しだけ寝てろ」
俺は怖がらせないように、逃がさないようにやさしくそう言うと、男の気が緩んだ瞬間、首に手刀を打ち気絶させた。
「さてと、こいつらどうするかな?」
足元にいる気絶した男と、お腹を抑えてうずくまっている男を見る。
(まあ、カノンが来てからでいいか、けど、その前に....)
「大丈夫か?」
一人気絶をしている少女、頭からは血を流している。
俺は回復魔法で傷を綺麗に直し、血をふき取ると。
「皆、この子の看病してあげてくれ」
ユウキの言葉に皆素直に従い、少女を運んでいく。
俺はこれから起こることを子供たちに見せることに悪影響があると考え、看病する場所はこの場が見えない岩陰を選んだ。
盗賊たちが出てきてから数分で、カノンがアジトから出て来た。
カノンは、布の服を血で真っ赤に染め上げていた。
「どうだ、楽しめたか?」
「はい、最高の時間でした」
ご満悦だった様で、少し頬が赤くなっている。
俺も一緒に行けばよかったと少し後悔した。
「なあ、こいつらどうしたい?いきなり出てきたんだけど...」
俺は足元に転がている、男の頭を踏む。
カノンはそんなことに目もくれずただ平然と。
「んー?特にそいつらに何かされた覚えも無いので殺してくれて構いませんよ?」
殺してくれていいと、この年代の少女がこのようなことを言うのはおかしいのだろうか?
俺にはよくわからない。
「分かった、こいつらから聞きたい事を聞いたら、殺そうか」
とりあえず、腹を抑えている奴にヒールをかけて立たせてやる。
そして、気絶してる奴の横っ腹をけとばした。
「うぐっ!」
そんな声と、共に気絶していた男が起き上がる。
「なあ、お前ら獣人の子供達は、どこからさらってきたんだ?」
俺が無理矢理聞いて見ると、俺の事を怪しんだ目で
「い、言えば見逃してくれるのか?」
「ああ、見逃してやる」
まるっきり嘘だが、頭が悪いのか盗賊達は素直に話してくれる。
「そいつらは、ブルベアの森を抜けた先にある獣人の国から盗んで来たんだ、そこにいる、赤髪の猫耳女は.....知らない、知ってるのはお頭とビーブだけだった....でも殺されて...もういない..」
「嘘じゃ無いだろうな?」
俺が黒剣の切っ先を男の喉元に近づけながら、問う。
男は下手したら殺されることに焦り。
「嘘じゃ無いんだ、本当なんだ!」
「そもそもここで俺らが嘘ついて何の得があるんだよ」
「それもそうか」
「じゃあ、助かるんだな」
喜んでいる男達の首に向かって無慈悲にも黒剣を振り下ろした、男達は、悲鳴をあげる間も無く絶命した。
なにも苦しまずに死ねたことに感謝するべきだろう
(バカな奴らだ、どうせ信じた所で裏切られて、死ぬだけなのに......前世の俺の様に......)
そんな事を思いながら
絶命した男達を冷たい目で見下ろした。
「カノン、ブルベアの森から出るから獣人の子供を集めてくれ」
盗賊たちの死体を適当に埋めおえ、カノンにお願いをする。
「分かりました」
そう言ってカノンは、皆に呼び掛ける。
それにしてもカノンは口調が固い、もっとフレンドリーな感じでいいのに。
全員集まった事を確認して、俺は気絶している少女を背中に背負うと
「少し歩くが、我慢してくれ」
と子供たちに伝えブルベアの森の出口に向かった。
しばらく歩くと、森の奥から太陽の光が差し込んだ。それを確認して、皆に
「もう出口だぞ」
と伝え、森から出た。
森の外には、見慣れた馬車と、見慣れたひげもじゃ.....というかおじさんがいた。
「よぉー遅かったじゃねえか」
そう言って笑う。
俺がクエストを終わらせるのを待っていてくれたのだろう。
正直、有り難かった、もし他の馬車に乗った場合、獣人は、嫌われているので散々言われたりするだろう、だが、多分おじさんは、獣人を嫌ったりしないだろう。
だが、念のため聞いておく。
「おじさんは、獣人が嫌いですか?」
「いや、そんな事はねぇぞ?」
その答えに安堵した。
「すいません、獣人の子供7人と私を乗せて下さい」
「おう分かった、代金は、金貨1枚だな」
俺は袋から金貨を出しておじさんの手の平に乗せる。
「まいどあり、獣人の子供達は、後ろの荷台に乗ってくれ」
獣人の子供達は心配そうにしながら荷台に乗り込んで行く。
だがカノンだけは、俺の記憶を持っているので落ち着いていた。
全員、乗り込んだのを確認してから、
「じゃあ、行くぞー」
とおじさんが言って馬車が走り出した。
10分程で大都に着いた。
(さてと、クエスト完了を確認しに行くか、でも獣人の子供達は、どうするかなぁ.....仕方ないおじさんに頼むか)
「おじさん、しばらくの間獣人の子供達を見ていてくれないか?」
「ああ、いいぜ」
軽く承諾してくれた。
「皆ここで待ってるんだよ?すぐに帰って来るから」
「「「「はーい」」」」
皆が答えてくれる中、カノンだけは、異論を唱えた。
「待って下さい私は、連れて言って下さい」
「着いて来るのは、いいけど俺の奴隷として見られるぞ?」
「別に構いませんから」
なんで、そんなに着いて来たいのか分からないが、意見は変えそうにないので、軽く承諾しカノンと一緒に大都に入って行った。
カノンと一緒に歩きながらギルドを目指し、歩いて行く。
周りから変な目で見られるが気にせず歩いて行く。
そしてギルドに着いた。
ギルドに入りカウンターに向かう、
そして、カウンターのお姉さんに
「クエスト終わりました」
と伝えた、すると
「分かりました、では、こちらがクエスト報酬の金貨1枚です。
あと、申し訳ございませんが、奥の部屋でお待ち頂いてもよろしいですか?」
報酬が馬車代で取られているので、貰ってもプラマイゼロだ。
「何故ですか?」
「依頼主が、貴方に会いたがっているので」
「分かりました」
そう言って俺は軽く承諾し部屋に入った。
しばらく待っていると、[ガチャ]と音がして扉が開く。
そこから入って来たのは、背の高いノッポな男と護衛の騎士3人だった。
男は、こちらを見下すように視線を向けると、席につき話をし始めた。
「まず、一応ありがとうと言っておこう.....下賤な冒険者ごときに贈る言葉ではないがね....まあ、そんな事は、どうでもいい率直に言うと、盗賊団に捕まっていた、奴隷をこちらに引き渡せ。
あれは、私の物なのだ、君の隣にいるのもな、だから私に帰したまえ」
貴族がカノンの四肢をなめるように見て、舌なめずりをする。
「へーそうなんですか、私は盗賊達には、盗んで来たと聞いたのですが?」
真実である言葉を返すがこの程度で引くような連中ではない。
「そんな事は、どうでもいいのだよ?私は、貴族だぞ?君は反抗出来ないだろう?だから、さっさと渡せと言っているのだよ」
「それは、無理ですね、私はあなたのように強引なくそ野郎が嫌いですので、では失礼します」
頭を軽く下げさわやかに退出しようとしたが、当然そんな簡単に終わるわけもない。
「貴族の私に反抗するだと!騎士よこいつを殺してしまえ!」
貴族の命を受け、剣を抜く。
「へへ、今回の報酬は奴隷でいいですよ」
騎士の一人がそんなことを言うと、貴族はにやにやと笑った。
「全く、卑しいやつめ」
もう、すでに勝てる気でいるのだろう、馬鹿なことで。
「くらえっ薙ぎ払い!」
剣を抜いた騎士が大降りに構えると、大剣スキル薙ぎ払いを放つ、小部屋の壁を切り裂きながら、大きな刃がこちらを切り裂こうと俺に迫るが、それを俺は...
「なあっ!?」
素手で受け止めた、普通はスキルを素手で受け止めるなどあり得ない、騎士の頭の中にはそれでいっぱいだった。
「そっちがやったんだ、やり返されても文句言うなよ」
俺は騎士の大剣を持っている手を左こぶしでダメージを与えながら叩き落すと、俺が大剣を手にした。
そして、今奪った大剣スキル薙ぎ払いをやり返しだとばかりに放った。
大剣は騎士の体を綺麗に半分に切り裂いた。
鮮血が部屋に飛び散る。
貴族の男は、いきなりの事でポカンとしていたが、血が自分の顔についたときに何が起こっているのか理解した。
「ひ...!...わ、私は貴族だぞ!こんな事をしてどうなっても知らないぞ!」
「そっか、確かにお前が告げ口をされたら俺殺されちゃうな...」
ユウキのその言い方に怯えていて、恐怖していると感じた貴族はまたもや調子に乗り始めた、だが
「だったら!...」
「だったら、告げ口できないように殺せばいいんだな」
「....え?..」
そんな間抜けな言葉が男の最後だった。
遺体しかない部屋から出ると、お姉さんが
「話は、終わりましたか?」
「はい、終わりました」
そう言って俺はギルドから出て、人殺しがばれる前に急いでおじさんの馬車に向かった。
次の投稿も、あさってになると思います。




