第9話冒険者ギルド
今回の話は、少しありきたりな話になりました。
あと今回の話は少しすくなめです。
冒険者ギルドの中は、とても賑わっていて大柄な男たちが席に座り酒を水のように飲みあさっている。
そんな中3人の男達が俺をまっすぐと見据えると席を立ち、手慣れているようにこちらに向かって来た。
何故か自分の獲物まで手にして。どうしてすぐに気が付いてこっちに来たのか、最初から狙っていたのか。
「おい、ここはてめえみたいなガキにはまだ早いさっさと帰れ」
俺は、そんな事を言う男達をまるで何もないように、見えないかのように無視して素通りする。
「てめえ無視してんじゃねえよ!ああ!!」
怒りを込めて俺に言ってくるがやはり無視してカウンターに向かう。だが男達は、俺を通すまいと前に立ちはだかる。
(はぁーめんどくさい)
「お前、俺達を誰だと思っていやがるCランク冒険者の「アイアンズ」だぞ」
アイアンズ、普通に知らないが多分Cランクの有名パーティだろう、自分達が少しちやほやされたからと言って調子に乗りすぎだろう。
「知らねぇよ」
俺がそう言うと「やれやれ」という感じで肩を竦め
「これだから新人は、嫌なんだよ。俺らの事を知らなかったことは、金を置いて行くんなら許してやるぜ?」
そう言ってにやにやと笑う。
どうしてこいつらがすぐに俺のもとに来たのか分かった。
(なるほど、これがこいつらの手口か、新人脅して金を稼ぐ、クエストに行くより楽だな)
冒険者ギルドに入り浸り、全員の顔をチェック、見たこともない新人の顔が見えたら金をたかる。バカのくせに頭使うじゃないか。
さて、どうするか、今すぐこいつらを殺す事は出来るだろう、だがそんな事をしたら冒険者登録して貰えなくなるだろう、それどころか指名手配なんてことも.....流石にそれはまずい。
(人目のない所で殺るか?)
いや、冒険者ギルドに人目のつかない場所などない。
大体の場所に冒険者がいる。
「おい、ガキさっさと金出せ、それとも俺らと戦るか?」
そんな事を言って挑発しながら強さを証明するかのように剣を振り回す。
だが、こっちからしたら好都合だ。
「じゃあ、戦りましょうか」
「おいおい、お前じゃ俺らに勝てるわけねぇだろうが。金さえ出せば怪我せずにすむんだぜ?」
「それだけ自信があるのなら別に構わないでしょう?まさかCランク冒険者様が新人に負けるわけ無いでしょうし」
「ああ!?」
軽めの挑発をするとすぐに乗ってくれる
(これだから馬鹿は、扱いやすい)
「ああ、いいだろう戦う場所は、 ここからすぐのカトレア平原でいいな」
「じゃあ行こうか」
男達は、俺を逃がさないように前と後ろで挟み込みカトレア平原まで連行された。
カトレア平原にはすぐに着いた。
カトレア平原は本当にただの平原、いや草原と言う方が正しいだろう。
足首あたりまでを包み込む草がびっしりと生えている、少し動きにくい。
「じゃあ戦ろうぜ」
そういって男達の1人が出てくる。
「おい、なんで1人だけなんだ? 3人相手してやるから出てこいよ」
「なめてんのか!?」
「なめてんだよ」
怒り交じりのその言葉に淡々と言葉を返す。
「お前に現実を教えてやるよ」
そういって3人の男達は、大剣、槍、片手剣と盾、を構えた。
(さてどうするか)
少し悩む、殺してもいいのだが、あの現場を見ていた奴には俺が殺したと分かるだろう。
(まあいいか、どうせ大都に居るのは少しだけだ)
「死ねや!!」
その掛け声と共に俺に剣が振り下ろされる、だが俺はその剣に、消化魔法LV1の『消化液』を手に発生させそのまま剣を握りしめた。
「なっ!」
[シュー]と音がして剣がドロドロになり溶けてしまう、それを見て俺に斬りかかって来た男が驚いている、その隙に男の懐に潜り込むと、剣で刺し貫いた。
「うぐっ!!」
小さな呻き声と共に遠くまで吹っ飛んで行く。
まあ、流石に防具をつけているだけあって真っ二つにはなっていないが、内臓には届いただろう。
仲間の1人が吹っ飛んだのを見た残り2人は、
「おい、何やってんだ!!」
そう怒鳴っているがそんなのお構いなしだ、勝負中によそ見をしたこいつが悪い、手に火魔法LV5の『獄炎』を発生させて、槍使いの男の懐に潜り込む。
いきなりのことにびっくりしつつも脊髄反射で槍で振り払った。
それを跳躍しかわすと、ほぼ同時に男の顔面に『獄炎』を叩きつけた。
「うぐっ!?あっつ!?み...びず...」
男の最後は唇が解けてうまく言えなかった「みず」哀れな限りだ。
それにしてもさすがはC級冒険者様、頭以外はのこっていた、まあ殺されてちゃせわないが。
「なっ!?」
大剣の男から驚愕の声が出る。
驚いているうちに大剣の男の首すれすれに黒剣を向ける。
この時、男の瞳が絶望の色に変わる、気づいたのだ、この少年の目は絶対に関わってはいけない人種の人間だったと。
「た、助けてくれ金ならやる...だから」
唯一口から洩れた言葉は命乞いの言葉、ただそれだけだった。
今感じて思っていることは生への執着、生きたいという願望、たったそれだけ。
全く自分の欲など考えられない状況。
「いやなんで? 助けるわけないじゃん」
そんな切実な思いもバッサリと切り捨てられる、それも仕方ないといえば仕方ない事だ、先に吹っ掛けたのはこちらなのだから。
「どうして......」
でも聞かずにはいられない。
「じゃあお前、さっきまで自分を殺そうとしていた奴を助けるか?」
「俺らは、お前を殺そうなんて.......」
「最初に俺に斬りかかってきた奴が死ねって言ってたぞ?元々俺を殺す算段だったんだろ?それがただ返り討ちにあった、そんなどこにでもありふれた話だ」
「そ、それは.....」
「もういいよ、どうせ死ぬ奴の言葉なんて聞いても何にもならない、じゃあな」
そう言って俺が殺された時のように剣を首に突き刺した。
俺は今、死んだ男達のアイテムポーチを見つけてアイテムと金を漁っていた。
(回復薬6本とMP回復薬5本とか少ないなー、金の方は金貨8枚と銀貨14枚はまあいいか)
他にも漁るがとくに何も無い。
(さて殺る事、殺ったし冒険者ギルドに戻るか)
そう思い男達を地面に埋めてから、ギルドに戻っていった。
次の投稿は、できれば明日です。




